参差錯落 肆 その1
ウォーカーズの三人、西下、カンジ、トッポが、ちょうど25号線沿いに天王寺動物園北の交差点を過ぎるところだった。
同じく、恵比寿交差点からも、三つの影が出た。
足を忍ばせ、、、
革靴の踵で、遠慮ナシにアスファルトを鳴らす音。
音を立てず、、、
ベルトに付けてるチェーンがジャラジャラ鳴る。
静かに、、、
ガムをくちゃくちゃ噛むヤツが居る。
気付かれないように、、、
道路に唾をペッ、と吐くアホも居る。
人としてどうなんだって態度で後を尾行てる三人組。
そんなやつらは、言わずと知れた蛇骨会。
こんなお粗末な尾行が成立しているのは、前を行くウォーカーズが動物園の外周に入り、中から聞こえるエレクトリック・ゴーストの鳴き声に意識が持っていかれている所為もあった。
道路に唾を吐いたヤツ、背は高くないが、がっしりとした印象の体躯。
見れば拳が平らに潰れていた。
打撃系の、格闘家の拳だ。
蛇骨会に入ってすぐ佐山に声を掛けられ、高岡のグループに所属した。
「殴り合いのケンカやったら、まだ負けた事無いっス」
と自己紹介した男、近藤。
その近藤が、少し前を歩く二人に聞いた。
「どいつがEG使いと思います?」
近藤が声を掛けたのは、前を行く二人の男の背の高い方。
少し猫背で、やたら首を小刻みに前後に振る鶏のような動きをする。
その男はちょいロン毛で、ギョロっと眼を剥いて振り返った。
少ししゃくれて、イイ具合に人を威嚇する顎を動かして喋る。
「なんや、気になるか?」
エラそうな言い方で解かる通り、使い手とあって近藤より立場が上らしい。
今野彰正、EG使いの“ビートイット”だ。
「はい。オレ、どいつをヤったらええんかな思て」
「あ、ポス見よか?」
今度は背の低い方がせわしない動きで、パンツのポケットからスマホを出す。
もう一人のEG使い、“タンク”こと下平聖也。
ポスシステムを立ち上げて、カメラモード。
「アカン。望遠にしても、反応せんわ」
「当たり前ですやん。後ろから顔見えませんやん!」
タンクの言葉にツッコんでいた近藤。
ビートイット一人、何かをヒラメイタ顔をして言った。
「見えへんねんやったら、望遠はもうえぇん、、、」
タンクと近藤、顔を見合わせる。
「スベッとるなぁ。なぁ?」
とタンク。
後ろの近藤にも同意を求める。
素直にハイと答えれない状況だと思ったら、近藤はそういうの気にしないタイプだった。
「ハイ、スベッてます。完全にスベッてます!」
「なんやねん! オマエ言うのぉ!」
てな感じでわちゃわちゃしてれば、絶対に気付かれるだろう。
その証拠に、ウォーカーズの三人が立ち止まってこちらを振り向いていた。




