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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 五の章
137/192

参差錯落 参 その4

 最近は互いに、()えて見るテレビの話題以外あまりしないようになっていた。

 互いに自分の話をすると、きっと空気が重くなりそうな気がするから。


 今もリビングで、ハピハピとドクターは飲み物を手にテレビの芸能ニュースであれやこれや言い合いをしていた。

 と、そこへ、荒々しくドアの開く音。

 そのまま廊下を踏みつける音が近付いて来たら、リビングに入る室内ドアが乱暴に開いた。


 「なになに?! (ナン)ですの??」


 怖すぎて、ハピハピが声を出していた。

 ドアを開けて入って来たのは、機嫌のよろしくないサイラー。

 二人の顔を、たっぷり五秒づつ(にら)む。


 「もうちょっとしたら、戦争始める。通天閣のヤツらと戦争や。オレの兵隊、マンションから()らんようになるけど、逃げんなよ!」


 これは主に、ドクターへ言い放っていた。


 「おう、ハピハピ、こいつ見張っとけよ! ええな!」


 迫力に押され、つい返事。


 「はいはい!」


 それだけ言い残すと、また忙しそうに出て行ったサイラー。

 玄関のドアが閉まる音をしっかり確認してから、やっと口から本音が出る。


 「EG使いのクセに、自分の掛けた呪を信じられへんて、、、終わってますよね」


 ハピハピはドクターを見ずに、サイラーが出て行ったドアを睨みながらそう言った。

 (おのれ)が掛けた呪。


 火の契約。


 これによってドクターは囚われの身のハズ。

 なのに、、、。

 ハピハピにドクターを見張る様に念を押す行為は、確かに終わってる。

 精神状態がかなり荒れているのが、ハピハピでも解かる。


 「くくく、、、」


 小さく笑っていた。

 これが笑わずに居られるものかと、ハピハピが笑っていた。


 ドクターが、どうした? って表情(かお)を向けていた。

 それに対し、ハピハピは何でもないと手を振る。

 手を振って、まだ笑っている。


 ――アホやな


 サイラーの事だ。

 言わなくていい事を、わざわざ言って出て行ったのだ。


 戦争で、誰も居なくなる。


 言わなければ、自分は知らずにこの部屋でずっとウダウダしていただろう。

 飯食って、テレビ見て、ダラダラしてただろう。

 それが、、、。

 誰も居なくなる時が来る。


 ――教えてくれて、あ~りが~とさ~~ん


 ハピハピは立ち上がった。

 ドクターがハピハピの顔を見上げると、とても明るい表情をしていた。

 その意味を、ドクターは無言で理解した。


 「オレ、行きますわ」


 そうだな。

 そういう事だな。

 リビングを出て行くハピハピを、ドクターは少し(うらや)ましそうに見ていた。



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