参差錯落 弐 その3
振り返ってルネを見る楓、もう右手にM8000クーガーを構えていた。
「アカン! 撃ちなや!」
言いながら楓がルネの手を払う。
ドンッ!
銃声が、夜の街に響いた。
「危なっ!」
すでにルネは引鉄を絞っていた。
楓に手を払われていなければ、ビッグさんが悲鳴を上げていただろう。
「あのな、、、」
ルネに説教のひとつもしてやろうと思ったが、眼がイっちゃってる。
「コイツ今、モノアイって言ったわよね」
「いやいや待て待て。言うただけで、こいつモノアイちゃうやんか!」
しばし思案。
「あ、そうね」
「なんそれ!」
気持ちは、解かる。
気持ちは解かるが、モノアイの名前が出る度キレてたら止める方はしんどいねん。
と楓は心の中で吐き捨てる。
確かに気持ちは解からんでもないけどな~~、と思い出す。
何せあの時、ルネの左眼を消したのはモノアイ。
だけどその後、超低速軟着弾(って言ってたっけ?)を使ってモノアイの左眼を潰したのはルネ。
お互い様やんと思うのだが、そんな理屈はルネには無い。
ルネはいつも、モノアイに逢った瞬間殺すと公言している。
ま~あの時、ルネは眼だけじゃ無くって身体中穴だらけにされたんだから、怒るのも無理ないな~~とは思うけど、名前を言っただけのヤツまで撃っちゃうのはどうかとも思う。
「ままま、とにかくEG使いが来て、その女を助けたんやね?」
頷こうとするもんだから、また痛がる二人。
オモロイ。
楓はスマホに入ってる写真を、画面に出して聞いた。
「この娘か?」
頷く。
痛がる。
オモロ―w
どうやらこいつらが見たのは、間違いなく宮崎佳穂だ。
「どっち行った?」
野暮な質問だった。
身体中に何かがくっ付いている状態なんだから、楓の質問に腕を上げて指し示せない。
「あ、ごめ~~~んw」
楓は土佐堀通から、ルネは天神橋筋からここに来ているので、道的に考えるとルネが来た方角と反対方向へ行ったと考えるのが普通。
「あっちか?」
その方向を、楓が差す。
これには痛がりながらも、うんうんと答えられたビッグさん。
「ルネ、行こか」
楓が歩き出した。
ルネも続いた。
二人の男の呻き声。
「たたた、助けて、、、くれる、ん、、と、ちゃうん?!」
流れ的には、質問に答えたら助けてくれそうな感じだったが、、、?
「ウチ、『助ける』って言うたっけ? え? 誰が誰を? 知らんなぁ、、、」
一見女子プロレスラーの衣装を連想させる楓の後ろ姿が、二人の男の視界からどんどん小さくなって行く。
残された男の感情など気にもせず、楓とルネは谷四から谷九方面へ向かった。




