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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 四の章
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紅朱同赤 陸 その18

 それでも次期当主の口調は変わらない。


 「正直迷うよな~。此処(ここ)を使えば効力を落とさず、()()無尽蔵(むじんぞう)に術を使える。術師にとってこれ以上に無いEG波の磁場。正直うちが独占で欲しいくらいや」


 まゆらの眼が、細くなる。


 「それで、ブン()る気ぃか?」

 「えぇ~? まさか!」


 わざとらしい珍晴のリアクション。


 「他のEG使いを殺して、、、」

 「まさかまさか。無理無理」


 大袈裟に両手を振った。


 「そんな考えはEGを使える人だけや。ボクはただの道具屋やで。そんな大層(たいそう)なこと、考えもせぇへんわ~」

 「ざ~~とらしぃ」


 糸の意見に、まゆらも同意。


 「嘘つけ」


 二人にそう言われても、にっこり珍晴。

 真剣に会話を進める気があるのか、もう次の話題をフリ始める。


 「そうそう、弁天町にはもう行った?」

 「!」

 「確かまだ履行(りこう)されてないよな。継続中やろ。加茂家(うち)から御門系(そっち)に依頼してる造反者(ぞうはんしゃ)捕縛(ほばく)。それもえぇ加減進めて欲しいな~、、、」


 嫌味な言い方。

 これはまゆらでなくともハラが立つ。

 珍晴はワザとらしく『あっ!』って表情(かお)をして言った。


 「こう言う時は『安倍まゆら』やなく、『土御門繭ら』さんと呼んだ方がえぇんかな?」


 まゆらを囲う、空気の密が上がる。

 同時に、EG波も濃くなる。


 「スゴイ凄い! これやから(たま)らんわ! やっぱボクの結婚相手は、まゆら以外考えられへん!」


 ローキック。


 「?!」


 まゆらの足は、空振りをしていた。

 あったハズの珍晴の足が、煙のように形を崩す。

 瞬きをしてもう一度見ると、ソコに珍晴の足は()()()()あった。


 「!」

 「そーゆーの、DVって言うんやで」


 耳元で言われた。


 「?!」


 まゆら、ドびっくり!

 一瞬で“間合い”に入られている。

 思わず身を引く。

 珍晴を見ると、いつもの作り笑顔。


 「いや~、名残(なごり)惜しいけど、今からちょっと寄らなアカンとこ有るから、ボクもう行くわ~。ほなな~~」


 声を掛けるタイミングさえ残さず、珍晴はとっとと歩き出していた。


 ――、、、ちっ

 まゆら、舌打ち。


 術師では無いが、それを上回る身のこなし。

 曲者(くせもの)と言う言葉がこれほど当て()まる人物を、()()()()()()()糸でもそうそう見た事が無い。


 どうやら、ただの“ぼんぼん”では無いようだ。

 流石は加茂家の跡取り、というところか、、、。


 「ぼんめ、、、()()()()()()()? 新しい道具かいな?」


 憎々しく吐いた糸の言葉も、虚しく流され消えて行く。

 夜の闇に消えた背中を、ふたりは暫く見つめていた、、、。



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