紅朱同赤 陸 その17
聞いてた話しと違うので、ちょっと焦る。
「おかしいな。速水颯太の件の後始末は“おばさま”がするんで、まゆらは結界の中のEG使いを捕まえに来たんとちゃうのん?」
まじまじと珍晴を見るまゆら。
「そんなん知らんわ?」
珍晴、仰け反る。
「嘘やん! ええカッコして聞いたのに、意味ナシかいな!」
「こないな次期当主で、加茂家は大丈夫なんかいな?」
糸も呆れる次期当主。
放っといて行こうとするまゆらに、相手にしてほしくて珍晴が必死に話しを振る。
「ほんなら何しに来たん?」
「モノアイを探しに、、、」
「そんなん日本橋に居るって決まってるやん!」
「それは知っとう。日本橋のどこに、、、」
何を今さら言うてんねんと、珍晴がまゆらの言葉を遮る。
「そんなんソフマップなんば店の跡地に決まってるやん!」
「え?」×2
「ミノタウロスが暴れて、まゆら、ジブンが生埋めになってたトコやん!」
「、、、そうなん?」
「あないな、、、瓦礫の下に?」
まゆらと糸の口調がアガったのを感じて、珍晴は『しまった!』と思った。
コレが、まゆらとの交渉材料だったかと悔やんだ。
「なにヘコんどう?」
「何で言うてもたんやろうって、、、まゆらとデートする交換条件にしたら良かった」
「そーゆーのん、マジでキショいから、、、」
悔やんでも悔やみきれない。
「で、ぼんはなんでここに?」
糸が聞いた。
「あ、それ聞いちゃう?」
急に得意気な顔。
珍晴、鋼のメンタル。
「それはやなぁ、この結界をどうするんかで加茂家がモメてるからな、ちょっと実際に見に来たってとこ」
「ほ~~」
「で、どうするん?」
聞いたのは、まゆら。
「まゆらは、どうしたい?」
聞き返したのは、珍晴。
「はぁ?」
まゆらのイラ立つパターン。
質問を質問で返すヤツ。
糸はハッキリ言う。
「最低やねぇ。質問を質問で返す男は、、、」
「え~、そうな~ん」
右から言われたことを左へ受け流す事が出来る男、珍晴。
対する二人は呆れ顔。
「いやいや、まじめに言うとやな、この結界をどうするか結構モメとってな。術屋筋らと道具屋筋とでも見解ちゃうし。更に言うたら道具屋身内でも本家は解除。分家、特に草薙の一派が維持派やねん」
「で、次期当主が見に来たと、、、」
そうなんだよと、言わんばかりの顔がウザい。
糸の問いに、まゆらも続く。
「で、どうなん?」
珍晴は、笑う。
「じっくり見せてもうたよ。見れば観るほどよう出来てんなぁ。感心するわ」
ニヤ付き、まゆらを改めて見る。
「速水颯太。彼が長くも無く短くも無く、キッチリ一年かけて丁寧に作ったんがよう解る。個人的に言うて良えんやったら、、、」
「やったら?」
「確かあん時も言うたけど、潰すん勿体ないな」
「!」
素早くまゆらの表情を見取る。
そして、ウザく指摘。
「あ、今ムッとした~」
そう言われたら、そうでなくともムッとする。
「珍晴ぼん、調子に乗ってるとぶっ殺しますわよ、とうちのまゆらが、、、むぎゅ!」
まゆらの表情は、臆することなく珍晴を睨んでいた。




