紅朱同赤 陸 その12
その一方で術に掛けられている間も、これはあの女子高生の術だと理解はしている。
理解しているのに、考えるのが面倒になる。
考える事を、脳が拒否る。
そして、この女子高生の言う事を聞くと気持ちが良くなる、と脳が言う。
脳は省エネが大好きだ。
なるべく働きたくない。
意思が脳を動かそうとすると、身体中に蕁麻疹が出そうなくらい気持ち悪くする。
楽な方へ、、、快く、楽になれる方へ、、、。
絶対にキライなヤツなのに、そんなヤツが言う言葉に従おうかなと思うだけで、もう気持ちが良くなり始めている。
「そうそう。あぁしの言うこと、聞きや」
気が付くと、少女のように頷く自分が居る。
「これ、何て呼んでるん?」
「“エコー”」
――気持ち良い!
「さ、、、」
名前を呼ぼうとした三木に、糸が警告。
「喋りなはんな! そのコら、自由にしまっせ」
ご飯を待てないペットのように、三木の身体に甘噛みしてくるエレクトリック・ゴーストたち。
「あの男とは、どういう?」
「私の、ご主人様」
――マジで気持ち良い!!
質問に応える度に、快楽が紗結を襲う。
まゆらは、、、?
眉間に皺。
悩む。
――え? ご主人、、様?? どゆこと? この女性、メイドさんなん??
糸の言う通り、厨二病的お子様思考w
悩むまゆらに、笑いを堪える糸。
一瞬の、、、間。
「憐み佇む御身の、、、」
三木もただ黙って観ていた訳ではない。
紗結を助け、反撃するチャンスを探していた。
とにかくまずは自分に付けられているエレクトリック・ゴーストを祓わなければ何も出来ない。
死霊に死んでいる事を知らせる執呪を、唱える三木。
とーぜん糸は黙っていない。
「! 御唱訃を詠むとはエラい古臭いやないの!」
警告は、した。
警告通り、怨虫と餓鬼に肉を喰らわそうとしたら、三木が糸にこう言ってきた。
「今の、御唱訃と思ったのか?」
「あん?」
「“唱える者”と言えど、千年も寝てたら呪を忘れちゃうのかな? 晩霜院暦糸姫さまw」
変にオトコマエな三木の笑顔が悔しくて、糸が半ギレ。
「なぬいを?! 今のは聞捨てなりまへんな! このあてが呪を間違うとでも思うんでっか?! アホなこと言いないな! そっちこそ今のを御唱訃や無いっちゅうんやったら、若生院は何を教えとんのや!」
「そもそもこの呪も、、、」
「この呪がなんでっか! 間違いなく蘇興の呪で千年前と代わりまへんでぇ!」
「なるほど、蘇興か、、、」
「糸!」
まゆら、三木とコミュニケーションする糸を制止。
が、もう遅い。
糸の意識を過剰に自分に向けさせ、挑発の言葉の最後に糸の名を呼ぶ。
思わず返事をしてしまった糸。
、、、引っ掛かった。




