紅朱同赤 陸 その11
さてさてと、まゆらは紗結の声をじっくり観る。
まゆらは、“知る”事が好きだ。
術もたくさん知りたい。
知らない術があったら、知りたい衝動を止められない。
陰陽系を始め、三陰系や、魔術系、文献にあるものなら世界中の書物を漁ったが、そこには絶対に載っていない術がある。
それが、EG使いの術。
彼らは術を、誰にも、何人にも教わらない。
それなのに、術を発動できる。
しかも術の思念となる素は、ほとんどがマンガかアニメだ。
これは正当な術師はもちろん、まゆらも想像できない不思議な術を使う。
それを、知りたい。
EG使いに遭うと、その衝動にいつも駆られる。
今も紗結の能力の解明に、胸がトキメイている。
「いやん観てまゆらちゃん! これ凄いわぁ!」
千年振りに呼び出された糸は、それ以上に興奮しているようだ。
ちなみに、、、
糸の眼は縫われているので、、、って、そもそも実態は無いので人間的に“見る”のではなく霊が“観てる”状態に近い。
そして霊体は神格化が進めば進むほど“神”と呼ばれるモノに近くなり、その存在同様、時間と場所の概念が無くなっていく。
まゆらの左掌に居ながら、まゆらと同じ視線で観れるし、超越して俯瞰的に観ることも出来る。
まったく都合の良い話しである。
、、、で、二人が始めに感じた違和感は、どうやら正解だったようだ。
これは、結界ではない。
声を反響させるためのトンネル、、、のようなモノ。
トンネルの中に、透明のキューブがあちこちに無数に浮いているのが解った。
まゆらが空間に色を付けたおかげだ。
そのキューブに紗結の声が当たると、声の速さと大きさが倍になり、反射する。
それがまた別のキューブに当たると、さらに倍。
紗結が『目標』としたモノに当たるまで、反射を繰り返す。
しかも、声だけに音速。
それがキューブに当ると、倍加する。
反射するごとに倍加する音の威力は、倍倍ファイトに強烈。
その威力は先ほど、重さ43キロのまゆらを簡単に吹き飛ばしたので証明している。
声は空気を、振動させて伝わる。
その仕組みとEG波が上手くリンクして出来た術だ。
今は目標が無いので反響させるためのトンネルが役目を果たさず、2~3度キューブに当たってある程度の速度に達したら、声を外に逃がしてしまっている。
「紗結!」
叫び続ける紗結に、まゆらが声を掛ける。
「紗結、気持ち良えやろ? でもな、声を出しとうから気持ちようなったんちゃうねん。紗結、あぁしの言うこと聞いたからやねんで」
紗結はキョトンとした。
「そうなの? いや違う!! 、、そう、、、なの、え? あた、し、、、」
考えると、吐き気がして来る。
聞こえる声のままに従うと、気持ち良い。
紗結の脳は、この女子高生の言う事を聞くと気分が良くなる、ということを意思では無く感覚で知ってしまった。




