紅朱同赤 陸 その10
同じ呪言を使う術師、まゆらが何をしているのかが手に取るように解る。
「強制催眠か、、、」
三木が歯軋りをする。
「わ~~って叫んだら、気分良うなるで」
「、、、だ、誰が、、、貴、様の言う事、、、なんか」
言いながら、紗結の頭の中で別の考えが浮かび始める。
女子高生が言葉を発して、それに答える度にどんどん大きくなる考えがある。
女子高生が何か言い、反応する度に大きくなるものがある。
女子高生が何かを言うと、それに答えるのが当たり前に成っていく。
女子高生の声が、耳に馴染んでいく。
女子高生の、、、?
――この女子高生の言う事を聞いたら、気分が良くなる?
そういう事かと、脳が理解した。
――この女子高生の言う事を聞いたら、イライラ感が無くなる?
「紗結、さっきみたいに叫んでみて」
「誰が、、、」
「紗結、叫んだら、どんどん気持ちが良うなる」
「貴様の言うことな、、ん、、、か、、」
「ほら紗結、さっきみたいに、ほらっ」
「、、、、、、あ、、、」
「なぁ? もう紗結の気分が良うなってきた」
「、、あ、、、、ああ、」
「3・2・1。はい!」
気持ちを急かされる。
気持ち良いと、急かされる。
「、、あ、、、、、あ、ああ」
「そう! 紗結、そうやで」
「ああああああああ!」
叫んだ。
緊張が、緩む。
解れる。
叫ぶ。
身体が、心が解放された。
紗結は嬉しくなった。
「そう! 遠慮せんでええよ」
「ああああああ! あああああああああああ!」
解放。
歓喜。
紗結が、嬉しそうに声を上げる。
まゆらは、、、EG波を使い、宙に色を付けていた。
声が放たれると、振動が空間を揺らすのが観える。
色を付けたおかげで、空気を伝わる声の振動が波打つのが観える。
どう動いているか、大きさまで。
まゆらは、それを観てる。
声を、観てるのだ。
紗結は声を放つ度に、気分が高揚していく。
止められない、ヤめられない。
もっともっとと、まゆらにけし掛けられる。
そうすると、もっともっと話し掛けて欲しくなる。
まゆらの命令を聞くと、喜びの感情が止まらない。
言われれば喉が潰れるまで、その行為を止められないだろう。
カンペキに、ハメた。




