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カ・ル・マ! ~天王寺の変~(改訂版)  作者: 后 陸
天王寺の変 四の章
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紅朱同赤 陸 その9

 紗結の言動から、糸は彼女が三木を崇拝(すうはい)に誓い愛情で接していると気付いた。

 彼もまた呪言師なので、呪で(あやつ)ったのか本当にそういう関係なのかは解らないが、少なくとも紗結が三木に対する心情はそうなのだと見て取った。

 それが、“そういう関係”と冷やかした発言となる。


 まゆらはよく解ってないが、彼女が自分に対し、敵意()き出しなのは解かる。

 これを使わない手は無いと思ったところへ、三木が不用意に彼女の名を呼んだ。

 呪言童子の前で名を呼ぶとは、術を掛けてくれと言ってるのと同義だ。

 三木は、(おのれ)迂闊(うかつ)さに後悔した。


 「!、、、待て!」


 待つ、、、訳が無い。

 すでにまゆらは、意思が疎通(そつう)した紗結を“印”で捕まえていた。


 「へいへ~~~い! 待つんはあんたはんでっせ」

 「!」


 いつの間に。

 と考える(スキ)も無く、三木の身体に無数の怨虫(おんちゅう)餓鬼(がき)がしがみ付き、(よだれ)を垂らしながら三木の肉に()み付く号令を待っていた。

 当然、その号令を出すのは糸。


 「! EG?!」


 うねうね動くミミズや毛虫の頭に恨みを(たくわ)えた人面が、そして三歳児ほどの大きさの鬼がぎゃぁぎゃぁと声を上げる度に、その姿が青白く光る。

 自分の身体に(たか)っているのは、間違いなくエレクトリック・ゴースト。


 「何を驚いてまんねやwww」


 いや、これは驚くだろう。

 エレクトリック・ゴーストを使うEG使いが、その技術を向上させるために術を勉強して結果的に術師に至る者は存在するが、糸はその逆。


 術師として充分な力がありながら、己を現代仕様にバージョンアップさせる必要性を素直に感じた結果、術師からは“下”に見られ蛮行(ばんこう)とまで(おとし)められているEG使いの技術を会得(えとく)している。


 視線を左の掌から、まゆらに移す。


 この女子高生も、同じだ。

 EGも使えるNG使い。

 有名だ。

 結界内で、知らない者は居ない。


 EG使いたちが、自然霊を相手に能力を使う者。

 皮肉と敬意を込めて自分たちの対義語としてこう呼んでいる。

 ナチュラル・ゴーストを使う者。

 NG(エヌジー)使い。


 四ヵ月前の事件以来、この結界内でその最たる人物となったこの女子高生は、想像のはるか先に居る。

 対峙し、三木はそう認識した。


 「紗結、今気分悪いやろ。何でやろ?」

 「それは、貴様が、、、!」

 「気分が悪い時はな、気分が良くなる事をすればええねん」


 術中のまゆらは、人見知りがどっかへ行く。

 そうなると立て板に水。

 ()()ことも無い。



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