紅朱同赤 陸 その8
一瞬でまゆらの前に、半透明で六角形の光る板みたいなものが出現。
大きさは15センチくらい。
それが幾つも繋がって、六角形がより大きな六角形を作る。
敢えてこれ見よがしに披露した。
――あれが物理攻撃を防いだモノか、、、
三木は思い当たる術を頭で探したが、辿り着けなかった。
対して、まゆらは“声”を使った攻撃に興味津々。
六角剛竺。
物理攻撃、術式物理攻撃のどちらも防ぐ優れもの。
これを出しとけば三木の攻撃は勿論、多分あの声にも吹き飛ばされないだろうと推測。
何でも順番にひとつ一つ解決していきたいのが、まゆら。
今、声の仕組みを知りたい。
受けた感触は間違いなく、EG波。
実際に術を当てられて、肌にピリピリ感がある。
EG波特有のものだ。
この感覚は一般的なものではなく、あくまでまゆらの感覚。
「貴様、、、よくも三木様を、、、!」
後ろの闇から、女性の声が聞こえた。
叫び声の主だ。
まゆらを、吹き飛ばした声。
「は~ん、そういう関係でっかw」
後ろから聞こえる女性の物言いに、糸はピンっ! と来た。
だって言葉に感情が乗り過ぎている。
「え? どういう関係?」
自信有り気に応えた糸に、何で解ったんだと思わず聞いていた。
「お子ちゃまにはまだ早いかのぉ~~」
「握るで!」
「怖っわ! まゆらちゃん怖っっっわ!」
ふたり言い争う間に、三木は後ろの女性に声を掛ける。
「良いんだ、紗結」
冷静になれと、三木は落ち着かせる。
紗結と呼ばれた女性は、それでもこの女子高生にハラワタが煮えくり返っていた。
敬愛なる“我が主”に刃向かい、あろう事か地面に転がせた許し難い所業。
気絶するまで殴り続け、全ての歯を折るまでは許さないと、今決めた。
「紗結、、、」
まゆらが、呼んだ。
――!!!!!
ヤバい! と三木は後悔した。
紗結! 応えるな、、、! と叫ぶ前に、彼女はまゆらの言葉に、脊髄反射してしまった。
「オマエが私の名を呼ぶな!」
紗結は全集中で、まゆらを睨んだ。
呪言童子に対し、絶対にやってはならない事をしてしまった。
名を呼ばれ、反応する。
術師との、コミュニケーションが成立した。
二人の間に、“意思の線”が結ばれる。
「はい。いただきました」
糸、したり顔。




