紅朱同赤 伍 その3
ここまで4秒足らず。
傍目には、李楠が画面を延々スクロールしてるだけに見えた。
そんな李楠の顔が、呆れてから笑った。
――ほほ~、性格出てるよなぁ~。あの管理者、そうとう捻くれてるな~
ニヤニヤする李楠を見て、范蘇円と駱嘉が一度顔を見合わせて質問した。
「何? 何か面白いモノ書いてあった?」
画面から視線を外し、二人を見る。
「いやいやいや、この賞金ポスシステムって、アイツが楽しむためのオモチャだな」
「おもちゃ、、、?」
今度は駱嘉が聞いていた。
「そうだ。よく読むと、参加者同士を上手く戦わせる仕組みになっている。巧妙だよ。それに賞金な、実際は現金化のタイミングなんてほぼ無い。払う気なんてさらさら無いな」
聞いてる二人は今一つ理解できない、李楠の言葉。
「私の感想だが、これは結界に集まったEG使いたちを戦わせて、それを高みの見物する王様気分を味わうためのシステムだ。戦ったらその情報をポスに載せて行くというコレクターの趣向もある。アイツ、相当だな、、、」
李楠の吐き捨てる言葉に、二人は先ほど見たEG使いを思い出した。
対峙して、確かに異常な雰囲気を纏っていた。
「なんで、、、」
そんな事を?
と最後までは口に出さなかったが、そんな范蘇円の聞きたい事を李楠は答えていた。
「オレが主催だと、自慢したいのさ」
「!」
「この結界で行われる戦いは、オレが仕組んで見せてやってると自慢したいのさ」
范蘇円は、まさかという表情をした。
駱嘉は、なるほどなという表情をした。
「自分の事を、“管理者”とはよく言ったものだ」
管理者が去った後なのに、浪速日本橋郵便局のロビーは空気が重くなった。
その空気を破ったのは、やはり李楠だった。
「気分転換しに行こう」
言いながら、腕は大丈夫だよと2~3度振ってアピールする。
「この近くに、例の巨大ミノタウロスが破壊したっていうソフマップなんば店跡地があるみたいだぞ。行ってみないか?」
駱嘉の方を見た。
ちょっとした挑発だ。
さっき顔を赤くさせられたから、そのお返し。
李楠の表情は、かなりの笑顔だ。
「行きたいね」
同じように口元に笑いを浮かべた駱嘉に、范蘇円が反論。
「ちょっとちょっと、うろつくなら昼間の方が、、、」
「バカね。そんな時間じゃ、面白いモノなんて見れないわよ」
言いながら、賞金ポスシステムの登録ボタンを押した。
歩き出した李楠に、当たり前のように駱嘉が付いて行く。
「もう!」
范蘇円は、『知りませんよ!』と吐き捨てながら結局ついて来る。
そりゃこの時間、ここからひとりでホテルまで帰る方が危ない。
三人は、ソフマップなんば店跡地に向かって歩き出した。
歩き出してスグ、李楠はポスで確認したいものがあった。
確認画面で気になった、『多大な影響を及ぼす者』という項目。
管理者が、言わば邪魔だと感じた人物、という事になる。
――アイツがヤバいと感じたEG使いって、、、
興味が湧かない訳が無い。
――あった!
不良参加者リスト。
マイページから見れた。
先ほどと同じような説明がまずあって、賭けられた懸賞金順に並んでいた。
「はぁ?」
画面の1位にある金額に、眼を疑う。
京弁天、、、
懸賞金13億2,400万円??
――13億?! ウソだろ?
麻薬王並の懸賞金じゃないか、、、。
こんな金額が、相場なのか?
“ジャパンマネー”が復活したのか、、、?
――じゃぁ、2位は?
その欄には、結界の創造主速水颯太と結託したと言われてるモノアイ。
その二人を倒した女子高生呪術師の名が並んでいた。
モノアイ。
懸賞金1億9,072万円。
安倍まゆら。
懸賞金1億1,769万円。
――う~むむむ、、、
なんだろう、、、賞金1億円代も凄いけど、1位と2位の差が大きすぎる
この異常さが、管理者が京弁天に対する恐怖の数字なのかと李楠は解釈した。
こうなると、この京弁天って使い手に会ってみたい。
好奇心は収まらず、EG使いが五十音順に並べられてるページへ。
京弁天の欄を必死に探す李楠は、腕の痛みなんかとっくに忘れていた。




