紅朱同赤 肆 その2
青白い光りが奔る。
EG波だ。
それが一瞬で集り、塊り、形を成す。
「なんや?」
青白く光ったと思った塊りは貝の殻を思わせる形態を生成していた。
大きな、1.5メートルもある貝殻。
表面はキレイな褐色と白をベースにした美しい三角の鱗雲のような斑点の模様を現した。
「、、、貝?」
どう見ても、貝だ。
デカい貝。
孝哉が堅そう思ったのは、縦長の殻の下からヒラヒラなのかヌメヌメなのかどちらでも表現が合うような動きの軟体部分も見えたからだ。
「、、、貝、、、ぽい??」
正解だ。
孝哉は知らないが、これはアンボイナ貝。
、、、に、酷似したEG。
「痛っ、、、?」
その貝の一遍から、真っ白なレースのようなモノが出た。
孝哉は見入る。
キレイなのだ。
それがどんどん広がっていく。
眼の前で。
視界が、白一色に包まれる。
穢れを一掃される期待感が、孝哉の気持ちを高揚させた。
「あ、ああああ、ああああ、、、」
言葉に成らない、幸福感。
――あぁ、吞み込まれたい
自身気付いていないが、この時すでに、このアンボイナ貝から放出されたコノトキシンを含んだ毒で精神は壊れ始めている。
その場で立ち尽くす孝哉は、アンボイナ貝が出した吻が袋状に広がっていくのを、自分の身体を覆っていくのを、恍惚の表情で見ていた。
「、、、?!」
思い違いだったか、、、。
呑み込まれたら幸せだと思っていたのに、今感じるのは、脳が喰われていく不思議な感覚。
何か考えようとすると、ソコを喰われる。
――オレ、どうなってる?
と考えると、考えたところを喰われる。
奇妙な感覚。
喰われたところに、新しいモノが入って来る。
脳の空いたところに、ナニカが入って来る。
――錦戸?!
脳に、錦戸が入って来る、、、?!
意味が解らなかった。
だが、孝哉の脳はそう感じた。
抵抗は出来ない。
錦戸が、入って来る。
脳に入って来る。
――錦戸が、オレを、、、オレが?
孝哉の身体が、丸ごとEGの貝に呑み込まれた。
――俺は、、、喰われたのか?
、、、40分後、貝から人間が吐き出された。
吐き出された人間は、、、錦戸?




