紅朱同赤 参 その10
太腿の付け根を上から抑えているナベアツは、声を出さないように唇を噛んでいた。
ちょっと、血が出てる。
「そいつの居場所は?」
「それは、、、有名っスけど居場所までは、、、噂程度でえぇんやったら、、、」
ルネの顔が、一歩近付く。
コーデュロイの全身が、硬直した。
「良き♡」
嬉しそうに答える。
すでに下僕と化していた。
「ハピハピは天王寺のサイラーに飼われてるらしくって、そこでEGユーチューバーしてるっス。サイラーはEG使いの仲間がいっぱい欲しいから、ハピハピの能力でEG使い増やして天王寺に呼んで仲間にしようとしてるらしいっス」
「何で?」
「戦争したいみたいっス。天王寺の駅周辺は確かにサイラーが仕切ってるけど、動物園に住み着いてるエレクトリック・ゴーストをちゃんと片付けんと誰も認めんと思いますわ」
「へ~、、、」
「それに通天閣のモータルフラワーとは前から仲悪いし、反対側には僥倖のおっさんと、もうちょっと先に桃谷のツインピンクスが居てるんで、意外と肩身の狭い感じで、、、武闘派っつうレッテル張られてますけど、実際ホンマに暴れてるとこ見た者居らへんし」
「ほ~」
「でも口癖は、いつか結界内最強の使い手、弁天町の“京弁天”を殺るって言うてます。それで兵隊集めのため、ハピハピでEG使い増やして巧いこと言うて、自分のチームに入れようとしてる最中っちゅうのがもっぱらの噂っス」
「なるほど。一応、スジは通った話ね」
「ですです」
もっと何か質問してくれと、コーデュロイは尻尾を振ってるようだった。
「で、あなた達はここで、何をしてたの?」
もっともな、ルネの質問だった。
「はい。今日、結界内に入るって言う動画の女を追いかけてました」
「あれ?」
「ほんだら変なヤツら出てきて、ちょっと戦闘なりました」
「、、、あれあれ?」
急に曇った顔になったルネに、コーデュロイは焦りだした。
「ルネ様どうしました?! 何かボク、変なこと言いました?!」
と、目の前にルネの手が出た。
掌を、すっと顔の前に立てられた。
コーデュロイには解った。
これは、“待て”だ。
へっへっへっへっと尻尾を振るコーデュロイ。
ナベアツは、相変わらず歯を食いしばっている。
二人から視線を外し、ルネ、思案中、、、。
――アブな~~い。忘れてた。そうそう動画の女の娘。銀のスーツは撃ったから、あとコイツをどうやって撃つ流れに持っていこうか考えてたら、仕事を忘れてたwww
楓に怒られるところだったと、ルネはコーデュロイに耳元で感謝した。
「あなたナイスよ」
「あああぅううう、、、」
今のは、コーデュロイが絶頂した声。
「動画の女は、どっちに行ったの?」
小刻みに震え終えると、天満橋方面を指さした。
「サンキュ」
言いながらルネの唇が窄んで、上唇と下唇が一度くっ付いて離れる音がした。
その音とは、、、。
「ちゅっ」
「あああぅううう、、、」
コーデュロイ、連続の本日二回目。
ナベアツとは番う意味で崩れ落ちたコーデュロイに背を向け、ルネは新たな獲物の匂いのする天満橋へ歩き出していた。




