紅朱同赤 参 その8
だから、動かなかった。
パンッ!
動かなかったら、、、当たった!?
「あああぃぃぃぃいいいい?!」
思ったより、軽い音が銃口から発せられていた。
同時に左足の太腿に、物凄い衝撃。
太腿部分だけ後ろに持っていかれた感覚だ。
「いぃいぃぃい?? い痛ぇえええ!?」
そのまま崩れるように、ナベアツがその場に座り込んだ。
「オレ、撃たれたんか?!」
信じられない?!
という表情で叫びながら、ナベアツは自分の左足を見た。
銀のスラックスに、赤い染みが広がっていく。
「何やねん! 鉄砲の弾は当たらんのんちゃうんかっ!!」
「あ、、、」
コーデュロイのスマホが、闇夜に浮かぶ影にやっと反応した。
歩いてきたシルエットの情報が、画面に出る。
「何や!?」
「今、ポスで出た、、、」
出た画面と歩いてきたシルエットを、何度も交互に見た。
雲で翳んだ月の明かりでも、その美し過ぎる貌を確認することが出来る距離に近付いて来ていた。
一瞬、で虜になった。
「コイツ、誰や!?」
ナベアツの問いに、コーデュロイは呆れてしまった。
「見て解らん? エゲツない美人で二丁拳銃のゴスロリ言うたら、隻眼が赤眼で責眼のルネ様しか居らんやろ、、、」
「え、、、!?」
ナベアツの怒りが、一気にすっ飛んで行ってしまった。
「この美しきお方はデンタイの、、、ルネ様や」
「マジで、、、」
画面を読むコーデュロイ。
「ルネ様の弾丸は、EG波も撃ち抜く、、、データ通りや」
「なに感心しとんねん! オレの足撃たれとんねんぞ!」
「あ、そやな」
返事しながら、ルネに掛けられてる賞金の額が目に入った。
――6,870万、、、
コーデュロイは肌で感じていた。
「これが、一千万クラス。オーラが違う、、、さっきのヤツらとも、全然違うわ」
見惚れるコーデュロイの数メートル先に、ルネが立っていた。
左手を上げながら人差し指を立て、全身モノトーンの中で唯一、真っ赤な色をした唇の前で止めた。
「し~~~~~~~~」
一文字だが、初めて生のルネの声を聞いた。
ゴスロリファッションだが、声がきゃぴきゃぴしてないのがまた良かった。




