蝶舞山揺 弐 その4
いや違った、、、。
乗車している六人組は、全員プチパニック。
特に運転手役はブレーキを忘れ、ついでに我も忘れていた。
「いやだ~♡」
ルネはそれを自分への攻撃と勝手に理解し、再度ベレッタの弾丸をブチ込む。
とことんブチ込む。
悲鳴と呻き声。
運転手役は両膝を撃抜かれ、助手席の男は左肩を二発。
後部座席から覗く格好だった男は右耳と右肩をそれぞれ一発づつ喰らった。
ルネ、ムフフ顔。
と言う事は、、、狙ったのか?
距離と的を考えると、ルネの射撃は神のように正確で悪魔的に無慈悲。
運転手役は痛みでハンドルを抱いて、横に倒れた。
それが急ハンドルをきらせ、バンが耐え切れず横転。
黒いバンは惰性で滑り出すと、ルネの7メートルほど手前で止まった。
後方から追い掛けて来たパトカーの団体は後で停まり、バンを囲うように停車。
一斉に降りて来た制服警官が、開けたドアや強化プラスチックの盾を使って身を守りながら携帯している拳銃を構えた。
これは、念の為、、、。
サイレンが消えた現場は、酷く静かになった。
タイヤの空回る音だけが聞こえる。
シビアな空気が流れ出したと思ったら、ルネの意外と呑気な声。
「あれあれ~? あと三人居るでしょ?」
このセリフを言えるということは、やはり狙って撃ったのだ。
ルネは、ベレッタを左手に持ち替える。
今度は右の脇腹に同じく五連並べて刺してある、グロックのマガジンを一つ抜いた。
それを小指と薬指で挟み持つと、ベレッタを残りの三本の指で器用に構え直す。
左手で収めていたグロックを抜くと、これまた器用にマガジンを装填した。
手早い。
横転した黒いバンを見る。
じ~~~っと見る。
「え? まさか気絶?」
構えていた両腕を下げた。
チェッ、と拗ねかけた時、横転して上を向いたバンのスライドドアが突如爆発して宙に舞った。
中から男が、、、!
「Ohh!」
「何しよんじゃいこのボケェ!」
叫んだ男が、燃えていた。
燃えながら、横転したバンの上に立ち上がる。




