天才の旅立ち。
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春は誰もいない地下施設へと来ていた。
ここでディポーターを完成させる。
ワルサーSSPの金型の中に組み立てる。
常に内ポケットに入れているディポーターの部品達を机に並べる。
そして組み立てる。
小型バッテリーをビュレルの内側へ押し込んで、取り外し器具を溶接。
それぞれのコードを全てバッテリーに繋ぐ。
そして引き金と接続し、マザーボードをねじ込み、座標のディスプレイをグリップの上に溶接し、プログラムをインストールしてバッテリーを300%に定めた。
そして電源を入れて、起動・・・・・・・!!!!!
やはり起動しない。
完成できない。
春はディポーターを床に叩きつけた。
カバーをつけていないディポーターは部品を撒き散らかした。
頭を抱えしゃがみこんでうめき声を出した。
なんてことだ。弱者丸出しだ。
こんなこと死んでもするかと思っていた。
何だろうこの感じ。
血液が沸騰するような感触。
細胞が叫び声を上げる。
血管の温度がどんどん熱くなっていく。
指が赤く赤く染まっていく。
それに引き換え頭は真っ白だ。
なにも考えることができない。
さっきまでは絶望の中で負の言葉が錯綜していたのに。
何か考えていただけましだ。
なにも思考しないのは天才らしくない。
普通の人だ。
俺は普通ではない。天才だ。
天才なのだ。
だから防衛省で働いている。
まだ少年だぞ。
自分でもわかっているがまだまだ若い。
プツンという音がした。
何かが吹っ切れた。
腕が動いた。
足が動き体が動き出した。
ディポーターの部品を集め出した。
脳は指令していない。
体が勝手に動いている。
気持ちが体を動かした。
マザーボードを二つ増やし、ケーブルで全て繋ぎバッテリーに接続する。
これだ・・・・
構えて引き金を引いた。
ヴォンという低い音が部屋を包み、空間に青の切れ口が、次元の切れ口が生み出された。
美しい三角形の切れ口が春を異次元に誘っている。
春は真っ白の目から無意識に涙を流した。
手が震えた。
これだ・・・・俺に足りなかったのは技術でもなく、きっかけでもない。気持ちだった。
そう。気持ちさえあれば何だってできる。
気持ちが最高のテクノロジーを生み出した。
俺は石原春。
天才、石原春。
天才とはなんだ?
ずっと、この問いに悩まされ続けてきた。
しかし、答えが出た。
この世に利用されて終わるだけの才能じゃない。
自分のために使う才能だ。
この世界には飽きた。
この世界の人間には辟易だ。
戦争など起こして、天才を悪用して。
だったら違う世界に行けばいいじゃないか。
春は次元の切れ口に入ってどこかへ消えていった。
この次元はS-BD-Pだった。
石原春S-BD-Pは次元移動を成就した。
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