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天才へのレクイエム。

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春は視線の意味を理解した。


これは自分への攻撃宣言だ。


次にあのモニターのスイッチが入った瞬間自分は一斉放射を浴びることとなる。


同僚の一人がモニターのスイッチを入れてニュースをつけた。


ニュースには高らかに「米国が支給した鹵獲防止システム搭載の兵器が鹵獲され、被害国は加害国が鹵獲した兵器によって制圧されてしまいました。」と報じられていた。


春は唖然とした。


画面は被害国の現地の様子へと移り変わった。


そこには、飢えに苦しむ痩せ細った子供、むごたらしい死体を運ぶ死んだ目をした救急隊。


この状況を一言で表すのならば、阿鼻叫喚だ。


まさに地獄の業火に苦しむ悪人のようだ。


もちろん悪人ではないがこの例え方が最もわかりやすい。


春は基本何を見てもなんとも感じることはない。


少なくとも過去にこのような映像を見ても何とも感じることはなかった。


しかし、今はどうだ。


防衛省の兵器開発部長という、戦争の状況を逐一細かに把握する必要がある立場になってから、天才の定義に苦しむようになってから少し感情を持ってしまったんじゃないか?


涙が溢れてしまうね。


情けない。


人の心を持たない天才科学者である俺がたかが・・・痩せ細った子供や家族の待つ家に帰ることすら叶わなかった兵士の死体を見て・・・・声を上げて泣いている。


なんなんだ・・・・・どうもここにきてからおかしい。何だろうな。モヤモヤが爆発した気分だ。


渦巻きはついに春の心を支配した。


気がつくと春は走り出していた。


開発部から出てどこへ向かうのか。どこへも行かない。どこへも行けない。


自分のせいだ。


自分のせいで、あの兵士たちや子供達の明日に真っ黒な幕が下ろされてしまった。


俺がもっと天才だったら・・・完璧だったら・・・完全だったら・・・・


「完璧な人間などいない」というのは弱者特有の方便だと思っていた。


自分こそが完璧な人間だと思っていた。


しかし、違っていた。


自分は弱い人間だ。


神め。もっと才能をくれればよかった。


いつも弱者が嘆くところを見てきた。


いつも弱者が嘆く様子を自業自得と心の中で嘲笑ってきた。


下にはしたがいると思ってきた。


しかし・・・・しかし、下には下がいるように上には上がいた。


自分だけが天才なんじゃない。


もっと上がいる。


逃げ出したい。この場から消えてしまいたい。小さな穴にでも入ってしまって、どこかへ消えてしまいたい。


春は前を向いた。


目の光を失った。


箒木の色。美しい緑色の目の色を失った。


花言葉は私はあなたに打ち明ける。何をどう打ち明ければいい?もういいんだ。


この状況から逃げたい。


逃げたい。


逃げたい。


逃げたいなら作ればいいじゃないか。


ディポーターを・・・・・

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