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天才の失敗。

被害国が加害国に勝利したことで、世界を大きくどよめかせた。


その影響は決して小さいものではなく加害国のお偉方は焦り始め、被害国の人々に明日への希望を与えた。


春は考えていた。


このまま、全ての戦争を終結させるにはどうすれば良いだろうと。


自分が作った兵器をもっと被害国に送れば前例のように戦争に勝利する被害国が出てくるかもしれない。


しかし、敵国にも天才エンジニアというのはいるだろう。


鹵獲防止システムの穴が見つけられればそこをついてくるに決まっている。


それが今一番の懸念だ。


戦争ではいかなる懸念も人々の明日に関わってくる。リスクがあるなら減らせば良い。


そう考えてシステムホールを探している途中な訳だ。


ブラインドタッチを繰り広げながら、様々なことが春の脳内を錯綜していた。


まずは、戦争のこと。


そしてディポーターのこと。


違う次元にはもっと優れた技術があるだろう、それを持ってくれば勝ちだ。しかしそれは現実的ではない。


もっと生産的な思考をするんだ。


戦争が終結すれば、ディポーターの研究だって心置きなくできるんだから。


ところでずっと気になっていることがある。


心の中にモヤモヤがあるんだ。


特に悩みもない。


戦争だって一つ終結した。


しかも自分が作った兵器によってだ。


何一つ悩めることはない。


ネガティブな気持ちも無くなったし、天才の定義についてもひとまず落ち着いた。


なのに、なんだ。このモヤモヤは。


春はしばらく考えて再び仕事に没入した。


どう見ても、今考えるべきことではなかったからだ。


天才は、特に春は、今何をすべきか一番よくわかっていた。


次の日、鹵獲防止システムの穴が見つかった。


春は大急ぎで修復した。


見つけた時思わず声を上げてしまって、それに驚いた同僚がコーヒーをこぼしていた。


システムホールの存在は一応上司に報告しておいたが、大丈夫だろうという顔をしていたからお咎めはなかった。


ITのことをわかっていないのか。それとも計算した上で問題はないと考えているのか。


どっちだって良い。


その後春は四つのシステムホールを発見し、全て修復した。


敵国にシステムホールの存在を知られていないことを切に願うしかなかった。


正直危機的な状況だ。


四つの内一つの穴ぐらい見つかってもなんら不思議ではない。






二日前、某国。


「おいこっちだ。もう移動するぞ。」


「分かった。」


十余人の兵士が戦地から移動しようとしたその時、爆発音があたりを包んだ。


生き残った者はいなかった。


数分すると、山から二十名ほど兵士が降りてきて、今は亡き兵士たちが使っていた兵器をありったけ集め、完全武装したエンジニアにその場で解析させた。


周りに集まってきた被害国の兵士たちは遠方から片端から殺されていった。


そんなことが一時間続いた後エンジニアは「穴だ。」と言って兵士の一人にディスプレイを見せた。


兵士は頷きどこかに報告した。


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