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MASK 〜黒衣の薬売り〜  作者: 天瀬純
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マドンナ・マンドラゴラ 《失恋》

 俺には幼い頃からの親友がいる。


 保育園で出会った俺らは、いつも一緒にいた。地元の小学校、中学校を経て、そのまま同じ高校に進学した今でも仲が良い。もちろん喧嘩を幾度もしてきたが、その分なんでも言い合える仲になった。先月までは…。


* * *


* *



 高校2年の6月下旬。


 春に新入生を迎えた運動部では、その新体制に落ち着きと慣れが見え始めた。そんな時期の昼休み、


『俺さ、女子バスケ部の高山と先週ぐらいから付き合い始めてるんだ』


親友の瀬戸内が突如、俺に発表してきた。


『……マジで?』


『ああ。ほんと、ほんと』


照れ笑いしながらも、俺と目を合わせないで瀬戸内は肯定する。アイツには俺が、自分の交際宣言に驚いている人間の姿に見えたのだろう。でも実際は()()だけじゃない。


(好みのタイプ、一緒だったもんな…)


実は俺も、女バスの高山が好きだった。


 ショートヘアで明るい性格の彼女は、誰からも慕われており、同級生の間でも話題になることが多い。高山とクラスが同じ俺は、そんな彼女をいつしか目で追いかけるようになり、なんとか顔見知りから知人レベルまで持っていこうと動いていた。


 クラスは違えど男子バスケットボール部に所属する瀬戸内は、練習を通して彼女と交流があったのだろう。陸上部で球技が壊滅的に苦手な俺にとっては、到底無理な戦法だ。俺は友の幸せをいつものように冷やかしつつも、祝福するしかなかった。


 その後、瀬戸内は昼休みに俺を含めた男連中と過ごす一方で、部活終わりに高山と仲睦まじく一緒に帰っているところが目撃されるようになった。実に微笑ましい光景だ。再来月の花火大会には、あの2人で一緒に花火を見に行くのだろう。親友と元片想い相手それぞれの幸せを願う一方で、妬みにも似たドス黒い感情が俺の中で渦巻いていた。


(人間、単純になれないもんだな……)


気づけば、瀬戸内と俺との間に少しずつ距離が出来ていった。


* * *


* *




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