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ウキウキ萌え萌え転生カフェ

作者: 外天ハク

「お帰りなさいませ、ご主人様!」


可愛い衣装に身を包んだ僕とそう年齢の変わらない


女の子達が眩しい笑顔とハツラツな発声で僕を迎え


てくれた


胸の膨らみを強調する上着に、下着が見えちゃうん


じゃないかと逆に心配させるも視線を送らずには


いられないフリフリヒラヒラスカートを目の前に


思春期の僕の心臓は高鳴り、下半身も何だか騒々しい


ついに来てしまった、このカフェに




遡る事一週間前。近所に出来たその場違いなカフェは


静かで平和な住宅街で異彩を放っていた


僕も例外ではない。学校の帰りに突如として現れた


そのド派手な建物と、デカデカと掲げられた怪しい


店名に色んな意味で釘付けになった


ウキウキ萌え萌え転生カフェ・・・


ウキウキも萌え萌えもギリでメイドカフェを連想させ


たが、転生カフェって何だよ!。そう心の中で何度


ツッコミを入れた事か


気になる。気になり過ぎておちおち勉強も出来ないし


夜も眠れない程に重症だ


誰か友達が冗談で誘ってくれれば、その冗談に乗っかって


来店する事も叶うが、僕の友達は皆草食系・・・女子との


リアルコミュニケーションが苦手な奴しか揃っちゃいない


僕は奴等ほどではないが恋愛にまで辿り着いた覚えがない


恋愛未経験草食男子だって事は認めざるを得ない


あーでも行きたい!行ってみたい!何なんだよ!転生カフェ


って何なんだよ!。モヤモヤがイライラに変わった頃に


ようやく行く決心がついた。もう行くっきゃない


じゃなきゃおかしくなる



そう決心したものの結構日、小心者の僕は店前を行ったり来たり


アッチ行って振り返りそっと店内を伺い見る。コッチへ


来て自分の好みの娘は居ないか雄本来の本能が顔を出す


再度向こう側へ行こうとした時だった。不意に扉が開き


生でリアルな「行ってらっしゃいませ!ご主人様!」と


見送られ出てきた男と衝突しそうになるも、僕はサッカー部で


養ったフットワークで軽く避けてみせた


が、そこは店の正面入口。途端に


「わー」と黄色い歓声を上げたメイドさんに自然と店内へ


誘われ冒頭のシーンへ続いた訳だ



席に案内され腰掛けるも僕の視線は何処か忙しい


と言ってもその先は決まってメイドさんのフリフリスカート


から除く綺麗な美脚だったりアイドル顔負けな可愛らしいメ


イドさんの顔面に注がれていたんだが


メニューに目を通す。萌え萌えオムレツ、萌え萌えパフェ


萌え萌えジャンケンと付いて行けない名前のオンパレードに


頭がクラクラした。そんな中に見つけてしまった


異彩を放つ店構えに負けまいと異彩を放つメニュー欄に


転生メニュー。両脇にハートがあつらえてあるが怪しさは


払拭でき切れてないのは明らかだった


頼まなきゃ、この謎過ぎてちょっと怖いメニューを


その為に来たのだから。モヤモヤを打ち消す為に勇気を


出したのだから


勇気を、出して手元のベルを鳴らした



チーン・チーン・チーン



「はーい、只今お伺いいたしまーす」リーダーらしきメイド


さんの一声後間もなくやって来たひときわ可愛らしいメイド


さんが膝を地面に着き、キラキラな瞳で僕をとらえ


注文メモを広げた


「何になさいますかご主人様」


ご主人と言われる度に恥ずかしくなる僕の反応は、思春期と


して間違っていないだろい


「えっと、コレ・・転生メニューで」


恐る恐る指で指しオーダーする


「かしこまりました、転メですね!」


転メェェェェェェェェェェェェェェ!?そこ略しちゃうの?


王道メニューなのーーー!?僕は声にならない感情で


思いっ切りツッコミを入れたい衝動を懸命に抑えた



その衝動も忘れそうになる程に時間が経った。のに来ない


何も来ない。オーダー物はおろか、メイドさんさえ、寄り


付かなくなってる事に気が付いたのは随分時間が経って


からだった。ひょっとして忘れられてるのかと急に


不安に襲われた。全然ウキウキ萌え萌えじゃねーじゃねー


か!意前持ったイライラに似た感情を覚えた頃に


たまらず近くを歩くメイドさんに声を掛けた


「あの、すみません」


「はい、ご主人様」


「注文したやつ来ないんですけど」クレームを付ける嫌な


客リストに殿堂入りする事を覚悟して聞いてみた


すると目をクリクリさせながらメイドは、応えた


「ご主人様の注文されたオーダーは確かに転生されましたよ」


「・・・・はい?」


「いや、だから、既に転生済ですよと」


「転生されちゃったんですか」


「はい、転生されちゃいました」


漫才みたいなやりとりは、騒がしい店内には響かなかった


周りを見渡せば皆恥ずかしいオーダーを放ってやって来た


目の前のご馳走と、萌え萌えキュン!とメイドさんと同じ


ポーズを喜びはしゃぐ客に、萌え萌えジャンケンに忙しい


妥当なオタク連中しか居なかった。テーブルに何も無い


自分が急に恥ずかしくなってきて、カァーと赤くなってく


感覚を覚えた


「あの、じゃあお勘定お願いします」声を振り絞って


伝えた。何も口にしなかったが支払いを請求されたのは


きっとサービス料なのだろう。人はコレを純然たる


ぼったくりと決め付けるかもしれない。店長を出せと


騒ぐかもしれない。でも僕はそんな気にはなれなかった


だって支払った額は微々たるものだったし、その分


十分にドキドキを、与えてくれたのだから。逢いに行け


るアイドルのイベントへ参加したと思えば逆に安い位と


感謝したい位だった



にしても、僕のオーダーしたブツが何処へ転生されたのか


考えると馬鹿馬鹿しくて笑えてくるのである








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