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第36話 聖皇国の守護者

バウバウカーン率いるクラブ帝国が輪の国に向かってその矛先を向けようとしたころ、まるでハイエナのように輪の国を害する集団がいました。

それは趙謖の妻ダーク・ムーンの故郷であるダークゴブリン由来国でした。


この国の特徴は、弱った国を見ると他の国と協力して攻勢に転じ、ハイエナの如くその国の技術、財力などを奪っていくことでした。

ダーク・ムーンの実家もその点は同じで、国家というのは弱みを見せてはけないというのが彼らの常識でした。


そう言うわけで、クラブ帝国の動きを察知した彼らを見て四英雄も対策を練ることにしました。

スパイ天国である輪の国は弱点だらけです。


それに対して、司馬家が輪の国で力があると言ってもその能力には限界があります。

四英雄たちは輪の国の弱点の中でももっとも致命的な弱点について話し合うことにしました。


なお、この話を紹介する前に一つ復習しておきましょう。

長男の馬括は趙という国の王を戴いていました。

次男の趙謖は漢の皇帝を、そして三男の信景と四男の信頼は天皇、帝をそれぞれ戴いていました。


この、国家元首、または国家の象徴がある国において、こうした帝王というのは強みでもあり弱点でもあります。

四英雄それぞれ時代の違いはあれど、もし輪の国を弱体化したいのであれば、そうした頂点に立つ存在を潰すのが有効であることをよく知っていました。


輪の国には聖皇がいます。

これは四英雄たちの帝王とほぼ同じ扱いです。

厳密にいえば、権力をあまり持たないという違いはありますが、いなくなると国家が動かなくなるという点では古の帝王と同じでした。


というわけで、聖皇をないがしろにする勢力について彼らは話し合うことにしました。

まず、ラッキー・ホット・コモリとその一党はこうした皇族という存在が体質的に大嫌いでした。


ゆえに彼らの言動を見ることはとても重要だと認識しました。

しかし、他にも危険な存在がいます。

それはなんと与党の中にいました。


与党の中で約五分の一を占める「協陽党」という政党です。

協陽党の党首は「カリスマ」と呼ばれ党員から熱狂的な応援を受けていました。

彼らは聖皇よりもカリスマの方が地位が高い、あるいは価値があると考えていました。


それゆえ、隙があれば聖皇の社会的地位をはく奪すべく、法律や地方の条例で反聖皇の法案を度々提出していました。

ほかにも、聖社会党という野党は貧困層の支持を獲得しつつ、現代の身分や財力を革命で逆転させようと奮闘していました。


もちろん、名門の司馬家から見れば、これらの存在は「敵」です。

問題はこうした集団が、クラブ帝国やダークゴブリン由来国から資金や人材を援助してもらい、国内で活動することでした。


しかし、司馬家には出来ることが限られています。

司馬家は与党の中でそれなりの発言力がありましたが、吟遊詩人や瓦版とは距離を置いていたため、民衆扇動などの工作は苦手でした。


そこで、司馬家として出来ることを考慮しました。

まずは最悪の時代を想定して聖皇が暗殺などされた場合に備えて次の聖皇の準備をさらに念入りに行う事をします。


これなら宮内庁の中だけの問題なので、比較的簡単にできます。

また、皇室の順位をさらに広め、今まで順位が一桁だったのを、三ケタまで増やしました。


これは表向きには発表しませんでしたが、万が一皇室を潰そうという勢力が力を増した時に、聖皇になる人がいないという事態を避けるための処置でした。

四英雄たちはみな戦乱を生きてきました。


王や将軍といった存在が死んで空位になることは比較的ありましたので、そうなった時に反皇室派に決して勝利を与えないための仕組みを作る必要性を感じていたのです。


逆に言うと、皇室の存亡を心配する事態になっても、巻き返すためのプランをこの時期に決めておこうという強い意思でした。

登場人物 

司馬馬括しば ばかつ       長男 紙上談兵の人    

司馬趙謖しば ちょうしょく    次男 泣いて○○を斬るの人 登山家

司馬信景しば のぶかげ      三男 一乗谷 越前の朝倉の人

司馬信頼しば のぶより      四男 甲斐の虎の四男

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