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第35話 バウバウカーンと輪の国

クラブ帝国の大皇帝バウバウカーン!彼はダークゴブリンの帝王という地位にいます。

ダークゴブリンは全体的に背が小さく、バウバウカーンもその傾向を受け継いでいます。


実はバウバウカーンは輪の国にある種の尊敬と憧れを抱いていました。

輪の国のドワーフは武術に優れ、武道をたしなむ者も多かったのです。

バウバウカーンもまた、武道をたしなみ、日々鍛錬を繰り返していました。


彼の尊敬する輪の国は、かつて美麗七州国相手に圧倒的に不利だったにも関わらず戦闘を行った姿によるものです。

ゆえに、彼にしては珍しく、他国と比べて礼を尽くし親しみを持っていました。


しかし、これは態度がよりましということであり、輪の国から見ると、傲慢な人間が少しだけ言葉づかいが丁寧になった程度のことで、とても外交の礼儀に沿ったものではありませんでした。


一言で言えば、無礼すぎる!ということです。

この関係はある意味バウバウカーンの病的な片思いと言えるかもしれません。

彼は輪の国に好意を持っていますが、それはDVの夫のようなものです。


輪の国からは到底受け入れられません。

そうこうしているうちに、ゴブライナと戦争になり、国際的に孤立することになりました。


辛うじて、ダークエルフ連合国群としての体裁は保っていますが、他のダークエルフたちの国はクラブ帝国から距離をおいてしまいました。

このような、八方ふさがりな状態になり、ついにバウバウカーンの片思いが壊れていきました。


かつて、勇猛果敢に戦った輪の国はもはやなく、今あるのは美麗七州国やエルフ連合(EU)に押さえつけられた弱小国である!そんな思いが彼の心を支配していきました。


でも、バウバウカーンは軍事一辺倒ではなく、むしろ搦め手で相手の国を攻めることを得意とする人物です。

輪の国が名前のようにしっかりした輪で出来てないと彼は判断しました。


輪の国にあるクラブ帝国大使館からの情報によると、輪の国は愛国心が弱くスパイになれそうな輩が多くいることが伝えられていました。

そこで白羽の矢が立ったのが、ラッキー・ホット・コモリと彼の一党でした。


クラブ帝国はその手を大きく広げ、与党や聖皇周辺にもその影響を広げていきました。


以前、ラッキー・ホット・コモリの時にも紹介しましたが、クラブ帝国と輪の国の国境線に近い地域では経済活動や人的行き来も盛んなため、おのずと付き合いが出来ます。


クラブ帝国の美人局つつもたせは有名で、国境沿いの実力者の中ではねんごろに付き合う輪の国の民も多くいました。

なにしろ、ダークゴブリンが擬態した時の姿はとても美しく、女性に飢えている輪の国の民にかなりの需要がありました。


こうしたソフトなアプローチの他にも、かつて戦争でお互いが傷ついた歴史について、クラブ帝国は自分たちに都合の良い被害の歴史のみを広げようと画策していました。


戦争とは双方に問題があって生じる場合があります。

少なくとも輪の国とクラブ帝国のかつての戦いはクラブ帝国側が条約を破って輪の国に攻めてきました。


それをあたかも、輪の国の方が先に仕掛けたものとしクラブ帝国は一方的被害者であるかのように宣伝するのは明らかにやり過ぎでした。

しかし、経済的交わりやクラブ帝国の調略により、そうした歴史的事実を無視したいと考える輪の国の民も少なからず存在しました。


クラブ帝国の最終目標は輪の国との親善有効ではありません。

領土的、経済的野心をもって相手国を屈服させることが目的です。

輪の国の多くの人々はそれに気づいていませんでした。


しかし、司馬家の四英雄はかつての自分たちの時代の常識を覚えていたので、こうした侵略や調略も、まるで臭い匂いを感じるがごとく理解することが出来ました。

それだけに彼らから見ると輪の国の平和ボケはおめでたいレベルであり、心配の種でもあったのです。

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