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第33話  新党「平和」(ピンフ)

新党「平和」(ピンフ)とは国を売ることにエクスタシーを感じる輪の国の芸人、ラッキー・ホット・コモリが政治という手段を通じて売国をしようと立ち上げた集団です。


彼らはまず、自分たちの根拠地であるはにわ市の独占を狙いました。

はにわ市に縄張りを持つ吟遊詩人や瓦版のシンパに大量の金品をばらまきます。

それは宴会や飲み会などといったパーティにかこつけて行われたため、その場の雰囲気に飲まれ断る人はほとんどいませんでした。


ついで、吟遊詩人組合や瓦版組合に少しづつ、自分たちの宣伝をしてもらうようにさりげなく頼みます。

人情の街はにわ市ではこうした行為を歓迎する向きは多く、賄賂だなんだと騒ぐ者はほとんどいませんでした。


そして、選挙の前までは比較的上品にふるまい、対人関係を丁寧に強めていきます。

そして、選挙の時には人が変わったかのように、まるで祭りの気分かのように賑やかに選挙活動をします。


その時には選挙候補者が公職選挙法で捕まるギリギリ手前の行為で金品の受け渡しや、後日のふるまいの約束をするなど巧みな仕方で吟遊詩人や瓦版の者たちを丸め込みます。


結果としてはにわ市では新党「平和」(ピンフ)は選挙で大勝しました。

でもこれで終わりではありません。

むしろ、選挙で勝った後の方が、新党の腕の見せどころです。


彼らははにわ市などの地方自治体で請け負っている仕事を新党「平和」(ピンフ)とつながりのある会社に委託します。

見かけ上の数字では安く請け負ったように見せかけて契約をします。


すると、新党「平和」(ピンフ)は行政の無駄を省いたという名声が広がり、さらに支持者を増やします。

しかし、これには大きく二つの穴がありました。


一つは、予算を削減することで、仕事の内容が簡素化されていました。

もし、それが問題のないレベルなら良いのですが、無理のある仕方で、ギリギリまで予算を削ったために、後から事故や担当者の自殺などの問題が多発しました。


もう一つは悪辣な事に、新しい事業を作り、その経費を水増しすることで新党関係者が美味しい思いをしつつ、表向きは問題がないように仕向けたことがあります。

要するに裏で帳簿を合わせたという感じでしょうか。


しかし、こうした問題も吟遊詩人たちや瓦版の担当者が買収されているためにほとんど問題になりませんでした。

こうして、はにわ市を手中に収めた新党は、その勢力を広めるべく周りの地域も同じ方法で広げていきました。


とりわけ、ラッキーが頑張ったのは外国との交易でうまい汁を吸う事でした。

たとえば、クラブ帝国やダークゴブリン由来国、義の国などと輪の国の国境に近い地域に勢力を伸ばします。


そして、輪の国の土地を外国の勢力に少しづつ売却することで国と国との関係をよくすることにしました。

もちろん、輪の国の不利になるような法律や条例を地方で可決させて、その後で外国に土地を売るという用意周到な方法でした。


もちろん、大っぴらにしたら、輪の国の民の怒りと不信を招くことを彼らは理解していました。

なので、ここでも吟遊詩人たちや瓦版の者たちを買収して問題を隠ぺいする手際の良さを見せています。


彼らは売国奴でしたが、彼らなりの理屈を持っていました。

「輪の国民は馬鹿なので、外国からの援助が必要だし、仲良くしておけば戦争をせずに済むということです」


かつて、ラッキー・ホット・コモリが「戦争が起きたら逃げるか降伏しろ」という名言?を発しましたが、少なくとも彼らの中では完璧な外交と国防をしているという自信があったのです。


しかし、時代が変わり、世界の情勢が変わるとこの考えがただの妄想だったと知られる時が来ます。

しかし、今はまだその時ではありませんでした。

登場人物 

司馬馬括しば ばかつ       長男 紙上談兵の人    

司馬趙謖しば ちょうしょく    次男 泣いて○○を斬るの人 登山家

司馬信景しば のぶかげ      三男 一乗谷 越前の朝倉の人

司馬信頼しば のぶより      四男 甲斐の虎の四男

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