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第29話 才女ダーク・ムーン

さて、輪の国には四英雄がいます。

彼らの中で最も情報に関して詳しいのは次男の趙謖でした。

彼は尊敬する丞相が民の空気を読む事と、情報戦を重視していたことをよく覚えていました。


それに加えて彼の妻はダークゴブリン由来国の出身で輪の国の民とは違い、情報は常に吟味し疑うことを知っていました。

そんな彼女を趙謖は愛し信頼していました。


ダーク・ムーンの名を持つ彼女もまた趙謖を愛し、その信頼に応えようとしていました。

彼女は一つの提案をしていました。


それはダークゴブリンの数少ない良識派と輪の国にいる司馬家に忠誠の熱く情報分析力に長けた人材を集め、司馬家私設の情報部を作ることでした。

趙謖は彼女の聡明さに喜び、早速他の英雄たちに提案しました。


この話題に関しては英雄それぞれが別々の反応を示しまました。

まず、長男の馬括は趙謖の意見に同意しました。

彼は前世において、国の中枢にいたので、軍事だけではなく朝廷における空気というモノを理解していました。


朝廷の空気とは、すなわち騙し合いの空気です。

いわゆる宮廷闘争というやつで、何を考えてるか分からない公家みたいな連中があれこれ言葉の煙幕を撒いて討論するやつです。


輪の国にいて、あまりの平和ボケに呆れていたというのもあり、趙謖の妻、ダーク・ムーンの構想に大いに理解を示しました。


馬括の言葉です。

「国を預かる者が騙すか騙されるかのやり取りをするのは当然のことである!正確な情報を得て判断し、敵には偽りの情報を流す!」

「そのための情報部なら我が司馬一族には必要であろう!大いに金と人材を集め組織を作るべきだ!」


三男の信景は謀略に関しては詳しい人物でした。

何しろ彼の前世は将軍家と親密で、朝廷とのやり取りを頻繁に行っていました。

ただ、二人の兄と比べると朝廷での緊張度は若干弱めでした。


信景には失礼ですが、日本の朝廷は中国の朝廷よりも緩い感じでした。

その差が出たのかこのような意見をしました。


「兄二人は乗り気のようですが、まだ輪の国は平和です。そんなに肩ひじ張らなくても良いのではないですか?朝廷工作の資金の必要もあります。あまり肩入れしすぎるのもどうかと思います」


ここで朝廷工作について説明します。

輪の国には聖皇せいこうという国家の象徴がいます。

この聖皇が国家の責任者である首相を任命します。


基本的に聖皇はお飾りなのですが、発言力はあります。

ここが日本の天皇と違う所です。

なので、天皇や将軍などの工作に詳しい信景は、尊い君である彼らに力を入れる(金品の受け渡しや工作をする)方が大事と考えていました。


そして、同じ時代に生きた四男の信頼も同じ考えではないかと推測していました。

しかし、信景の予想に反して信頼は二人の兄の意見に賛成しました。

「聖上も大事ですが、民草も大事です!信景が朝廷に力を入れているのですから、そこは信景の手腕を信じましょう」


「私たちは外国のことも国内の事も良く見渡す必要があります!孫子を思えばこれをおろそかには出来ません!」


さすが思慮深い信頼というべきか!

彼は信景のプライドをくすぐりつつ、二人の兄の面目も保ち、なおかつ自分の尊敬する御屋形様直伝の教えも活用してこの場の空気を一気に決めていきました。


このファインプレーを見て、参加者全員は信頼を大いに信頼しました。(信景が言葉にしましたが、さすがにそれはスベッタヨウデス(笑))


こうしてダーク・ムーンの提案はほぼ彼女の思い通りの形で司馬家の会議を経て実現することになりました。

早速彼女は司馬家の各成員が作成したリストと自らが選び抜いた人員を合わせて、情報部のひな型を作り上げていくのでした。


もちろん、一朝一夕にできるものではありません。

人員は綿密に調べ、敵性のある者のみを集めます。

頭がよくても女に弱いとか、人がいいとかでは情報部員は務まりません。

かと言って怪しいだけの人間も信頼できないということでアウトです。


ダーク・ムーンはそうした難しい人間の機微を見極めて夫である趙謖の期待に応えるべく頑張るのでした。


登場人物 

司馬馬括しば ばかつ       長男 紙上談兵の人    

司馬趙謖しば ちょうしょく    次男 泣いて○○を斬るの人 登山家

司馬信景しば のぶかげ      三男 一乗谷 越前の朝倉の人

司馬信頼しば のぶより      四男 甲斐の虎の四男

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