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異世界タダヤス  作者: 多田 康史
6/20

旅のごたごた

新たな目的地の決まったタダヤスたち一行だが


「リセ殿服のことを言ってましたが拙者の手持ちで買いましょう」


「リセでいいわタダヤスも殿要らないわよね?」


「そうだな呼び捨てでいい。何日もかかるだろうし旅支度をしよう俺は金欠だが」


「そこは良いのでござるそれならまずもろもろの準備をして洋服店へ向かいましょう」


洋服屋


「魔女のローブかいうちで代わりをかってもいいけど専門のみせがあるから教えてあげる」


「そうなのありがとう」


「店の名前は黒猫亭よ魔術師ギルドから東門へ向かえば黒猫の看板で分かるはずよ」そう言われまた魔術師ギルドの方へ向かう一行


黒猫亭


「此処がそうだな魔術師御用達の店のようだ服以外もいろいろ売ってそうだな」


「リセは何をうずうずしておるのでござるか?」


「何って見ればわかるでしょこの毛並み、店の名の通りの黒猫よ」


「お前やっぱり猫好きなんだな錆々のティアラそれ猫耳だろ」


「よく見てるわね私のことそんなことだと新たなローブ姿の私に見惚れてしまうわよ」


悪戯っぽい笑みでタダヤスをからかって見せるリセ。


するといつもと違った対応をされ逆に赤くなるタダヤス


「うるせ~さっさと買っちまおうぜ」そう言いごまかす。


「なにを乳繰り合ってるでござるか拙者やはり邪魔でござったか?」と言いあきれる桜


「タダヤスが直接的に褒めたり観察したりするからよ」


「まぁ怒られないならよく見るよなそれなら桜もよく観察しようか。目元の涙ぼくろがかわいいね~」


「タダヤスそれふざけすぎで気持ち悪いでござる。」


「「「はははは」」」三人で笑う


大き目の店内で二人がローブを選ぶ間精霊眼で店内を物色する。


「さすがに手の届くところにマジックアイテムはおいてないか勝手に使われたら危ないもんな」


「マジックアイテムがご入用でしたら目録を用意しますよ」と店員に言われる


「目録か知見を深めるために見ておきたいが金がないのでいいや」そう言い断る。


「かしこまりました」


そういえばリセは精霊眼で見たことがあるが桜はなかったなと思い桜を見るすると本人の魔力量はそこまで多くなさそうだが腰の刀がわずかにマナを帯びていることに気がつく。


「おい桜その刀マジックアイテムだったのか?」


「いいや違うでござる家宝の紅月名刀ではあるでござるが」


「ああ精霊眼で店の中を観察してたのね桜は魔法剣を使うと言ってたからその繰り返しでマナを帯びたのではないかしら。私の杖も見てみるといいわ」


リセの杖を見てみると頭部の石だけではなく杖全体もマナを帯びていた。


「さぁタダヤス暇だったらどっちのローブがいいか答えて」


「リセそれはひどい質問でござるな」


「どうしたんだ左の黒のローブの方がよさそうだが」


「答えは決まってるでござる右の紺色のローブでござる」


「そうねそうしましょう」


「なんだ黒は嫌だったかああ胸元の黒猫の刺繍が見えないからか」


「よく見てるわねタダヤスでも違うのこの黒のローブ値段が五倍よ」


「それじゃ無理だわな」


「この紺色のローブも気に入ったのよただこの黒のローブを着るころには頭のティアラも銀製にでもなってるでしょうね。」


「店員さんこのローブをください」


「丈は良いですかフードのあるローブでよいですか?」


「はい良いです」購入し着替えるリセ


「「よく似合ってるな・でござる」」


黒猫亭外


「さて必要なものは全部そろったでござるいざリンド・バルへ」


「とはいってもどうすればいいんだ」


「西門から馬車にのりましょうか」


「うむ馬車賃はどれくらいでござろうか」


「どうしたローブが思いのほか高かったのか?」


「そうではないでござる財布の紐はきっちりとしめておかねば」


「そういうことねじゃあ西門へ行きましょう」


冒険者ギルド前高台


西門までの間あまり疲れなくなった精霊眼でタダヤスは街の中を見ていた。


冒険者ギルド横の高台から街を見下ろすと人だかりと、離れていてもはっきり見えるくらいのマナの塊が見えた。


その瞬間そのマナの塊が爆発した。


なんだ今の音冒険者ギルドから人がぞろぞろと出てくる。


タダヤスはとっさに

「なにかマナの塊が爆発したヒーラーを」と冒険者たちに叫んだ


爆発現場


阿鼻叫喚だ


「みんなヒーラーを呼んできたぞ何があった」そう言いつつあたりを精霊眼で警戒するタダヤス。


すると離れた場所からマナの塊を見れずにいたと言う男が


「人形だまたあの人形爆弾魔の仕業だ」


「人形爆弾魔?」


「タダヤス殿この件厄介でござるかかわらぬ方が身のため」


「どうしてだ人が死んでるんだぞそれに俺がいればあのマナを見付ければ今度は間に合うかも」


「拙者この話少し聞いたことがあるでござる数か月にいっぺん起こる爆弾魔事件でござる拙者たちの出自が分かれば目立ち疑われるかもしれません今はこらえて本来の目的に戻りましょう」


そう言われタダヤスは折れたが恐怖で馬車まで精霊眼を使いっぱなしだった。


リンド・バルへの道中の馬車


「爆弾魔事件何もできないのは答えるわね」


「それでもタダヤスのおかげで助かった命もあるでござる」


「それだけが救いか」


「それにしてもなんで止めたのかしら?」


「死者の出ている厄介ごとかかわらないに越したことはないでござる拙者たちパーティーに解決できる類の問題だと思えなかったからでござる。それに異世界人怪しく見られてもおかしくないでござる」


「冷静に判断した結果ってことか」


「そうすると衛兵に任せるのが一番ね。私はこちらで育っているけどね。」


「わかったよ確かに怪しくみられる危険性もあったなそこまで気が回らなかった」タダヤスはしぶしぶ折れた。


街道を行って二日目馬車が突然止まる。


小窓からタダヤスは

「どうしたんだなにかあったか?」と聞く。


御者は答える


「オークですオークが道をふさいでいます」と言った。


「オークか厄介ね戦闘になるかも」とリセは懸念する。


「とにかく馬車を降りよう」


馬車を降りると一匹のオーク、筋骨隆々な奴がが街道を塞いでいた。


「オッ女モイルナ、ココヲ通リタケレバ女ヲ置イテイケ」


「馬鹿なことを言うな仲間を売れるか」憤るタダヤス。


「ナラバ俺ト戦ウカオマエハ、コロスゾ」手に持った大きなこん棒を振り下ろすオーク。


「お前にかまってる暇などない」タダヤスは集中するあの時のイメージを思い出す闇の牙。


「喰らえ」するとイメージを凌駕するオークの背丈ほどの結晶がオークを貫く。


「これがタダヤスの精霊魔法でござるかオークを一撃で倒すなんてすごいでござる」


「少し立ち眩みがするがな」


「お客さん気をつけてもう一匹いる」


こちらに走り来るオーク


「ヨクモ兄をヤッタナ、ミナゴロシタ」


足を留めようと精霊魔法を使うタダヤス出力はかなり抑えられているがオークを()けさせるのには十分だった。


扱けながら攻撃してくるオークの一撃を桜が刀をうまく使いはじく。


「無月」攻撃をそらす技のようだ。


(すか)さずリセが

「アイススピア」氷の槍でオークの心臓を貫いた。


「いや~お客さんたち良い連携だねおかげで助かったよ」


「おかげでマナをだいぶ使ってしまったようだがな」と精霊眼で自分を見るタダヤス。


馬車に戻ると今回の連携に盛り上がる一行だった。


「タダヤスが足に攻撃しなければオークの踏み込み、やばかったかもね、それにしても桜の無月って言ったかしらあの技もなかなか」


「あの技は攻撃をそらすものなのか?リセの魔法も普通に高威力だったがな」


「そうでござる無月は攻撃をそらすスキルでござる臆病風に吹かれて守りのスキルが多いでござるだが確かにお二人の魔法と合わせていい連携でござった」


リンド・バル


湖と船の街。


湖はリベルト公爵が治める水の都、王都グラン・ミュエールと遠方の深奥山脈を水源としており広大な面積を誇りリンド・バルとグラン・ミュエールを船で繋いでいる。


街は港湾地区と市街地別れていて船での物流の多い発展した街である。


一行はまず魔術師ギルドを目指すことにした。


「この町に来るのは初めてなんだよな?」


「そうでござるな」


「私は小さいとき過ぎておぼえてないわ」


「そうか、まずギルド探しだな」


「魔術師ギルドは確か港湾地区だよ長旅ご苦労さん」御者の親父が言う。


「お世話になったわありがとう」


「世話になったでござる」


「ありがとう探してみるよ、じゃ~な」手を振り別れを告げる。


「それにしても街道のオーク切り取った耳で金をもらえるらしいから切り取って持ってきたが、あの時のゴブリンたちの耳も金になったのかな?」


「ゴブリンは渋いわね通常のゴブリンと違ったホブゴブリンやゴブリンリーダーも同一金額だしそれ以上の種となればオーク以上か同等の評価よ。それにあの依頼の仕方は耳を持っていったらもしかしたら追加でお金をもらえたかもって感じじゃない?」


「依頼と言っても今回の様な敵対的なものを討伐したら貰える物もあるでござる邪龍なんかだと龍殺しの称号白金から昇級間違いなしでござれる」


「白金以上はそれぞれに由来した称号にね鉄級は依頼があればアッという間だろうけど金以上は我々の潜在能力次第ね」


「拙者も臆病なのが治れば銀はすぐとよく言われまする。」


「ああこんな話をしてたら白金以上の苦手なやつを思い出しちゃった」


「知り合いがいるのか白金以上にすごいな」


「私リノスティアでは貴族だったのそれでそいつが冒険者になる前から知ってて求婚されたこともあったのだけど私の家は没落して有耶無耶なったってこと」


「ふ~んそんなこともあったんだな」興味なさそうに答えるタダヤス


「もしかして水鏡のアルティーヌ・テンペストでござるか美少年と名高い」


「知ってるのか」


「タダヤスは知らないかも知れませぬがそんなに数が多くないでござる彼以外だとロリコンになってしまうでござる」


「ロリコンっビックリしちゃったよいきなりそうかあっちの無駄知識もあるんだったな、まてよお前の時代じゃ別に変じゃないんじゃないか?」


「そうでござるが何か齢二十六のタダヤスが十七のリセや十六の拙者に気を持ってもおかしくないでござるそれはこちらの世界の常識でも十五というのが一端の区切りだからでござる」


「タダヤスって結構顔に出るわよね」


「うるさい恋に餓えるお年頃なんだ」


「はははは」桜に笑われた


「見て湖よ近くに見えてきたわ透き通って...あっ魚がいた」


「本当にきれいだ」


湖越しにリセを褒めるような形になってしまった。


赤くなるリセ。


口を手で隠し笑う桜。


泳いだ目の先に人だかりができている


「また爆弾事件じゃないだろうな」


「いやな予感がするわ」


「どうやらそんな様子じゃないぞ人気者みたいだ」


人だかり


「いや~んアルティーヌ様こっちを見て」


「いやわたしをみて~」


「アルティーヌ結婚して」


黄色い歓声が聞こえる。


困るアルティーヌ泳いだ目線がこちらを見て目線があうそして少し下を見る。


リセがタダヤスに隠れていた。


相当眼のよさそうな様子のアルティーヌどうやらさびた猫耳ティアラと杖でリセを認識したようだ。


アルティーヌは

「すまない皆知り合いを見つけたようだどいてくれないかい」人をかき分ける。


響く黄色い声。


すると群れを成していた人だかりの最後尾の少女が押され湖に落ちそうになる。


それを人間離れした速度と優雅さで助けるアルティーヌ。


少女はくらりと気が抜けてしまう。


「みんな気をつけてまだ水浴びには少し早いよ」


「きゃぁ~アルティーヌ様」


まだタダヤスに隠れ何かをぶつぶつと言っている。


「もし、リセ、リセ・ガーランドではないですか」


「やぁアルティーヌお久しぶりねいつ以来かしら」


「さらに美しくなられたあぁリセいつになったら私の思いは届くのでしょう」


「届かないわ私このタダヤスと結婚したのお金がなくて一緒に支えあえる人をってね」


「「えぇ~」」思わず桜と一緒に驚いてしまうタダヤス。


アルティーヌは体勢を崩し湖へ。


すると不思議なことに湖はアルティーヌを映す鏡となり水の上を歩いた。


「いやぁ~びっくりしたタダヤスさんも驚いているじゃないか冗談なんて」


「こっちもびっくりしたよリセ」


「なんだ合わせてくれればいいのに、それにあの水浴びの夜の責任取ってもらわなくちゃ」と悪戯に笑う


「せっ責任」一瞬雷光のごとき一閃がタダヤスの首元に、レイピアが突き付けられる。


「どういうことかいタダヤス君。君リセに何をしたんだい」お怒りのアルティーヌ。


レイピアを突き付けられ余裕のないタダヤス。


「ちょっとだけじゃないかそれにあれは(水浴び)君が誘ったんじゃないか」


「もぅどこがちょっとだけよがっつりだったじゃない」


(リセ)がっつり覗かれたから魔法で追い払っただけだけど)


「がっつり」レイピアをしまい(くずお)れるアルティーヌ


「意地悪でござるな」


「さぁ行きましょうか」


「おいおい置いて行っていいのかよ」


「良いのよあなたたち傷心の彼を慰めてあげて」


そういうとアルティーヌは女性たちにもみくちゃにされるのであった。


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