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異世界タダヤス  作者: 多田 康史
5/20

新たな仲間と目的地

阿保みたいな提案をした割には二日酔いにはならなかったようだ。


もう一度財布を確認してみる数ゴールドしかなかった。


「夢ではなかったか」落胆するタダヤス。


「おはようタダヤスあなたうまく乗せられたわね」と笑うニア


「おはようニア」


「あなたをおだて続ければしばらくごはん代に困らなそうねそれとタダヤスあなたに聞きたいことがあるの精霊魔法のことよ」


「それならあの時声が聞こえてきたんだその声の言うとおり力を使ったら気絶した」


「そうやっぱりあの女精霊の仕業だったのかしら全部」と何か思い当たる節のありそうなニア


「どういうことだ?」


「日本に行く時の座標のズレや、リノスティアこちらの世界のことをはそう呼ばれているわ。リノスティアに戻るときの違和感誰かに干渉されているようだったの。」


「俺のことを気に入っている素振りだったなあの声の主」まだ見ぬ精霊に心を踊らすタダヤス。


(旅を続ければいつか会えるだろうか)


「やはり最初から勇者の代わりにあなたを連れてこさせる算段だったのかしら?」


「勇者の代わりに物語にあったような妖精と、ともに居る精霊魔法の使い手か少し期待されるのも分かるような気がするな」と照れるタダヤス。


「まぁでも期待されるのもいいことばかりではないわよね」


「それもそうか浮かれすぎはいかんな」


「私は貴方が無事なうちはひとまず問題ないわ。私の方は食事も気分ねたまにマナをもらうくらい。あぁマナっていうのは簡単に言えばこの世界にありふれている魔法を使う力よ」


「食事の件は良い菓子でも見つけて余裕があったらプレゼントするよ」


「ありがとタダヤス。マナの方はもしかすると精霊眼で見えるかもしれないわね」


「試してみよう」目に集中をするそして精霊魔法を使った時のことを思い出す。


「ふっ」ニアを見てみるぼんやりとだがニアの形に添って魔力の流れマナを感じる続けて自分の手を見てみると血液の流れのようにマナを感じた。


「見える見えるようになったぞ少し眼が疲れるが」


「慣れの問題よ気になることがあったら使ってみると良いわ」


「さて新しいスキルも得たし飯にでも行くか」と寝室をでる。


宿屋


「おはようタダヤス二日酔いになってない?」


「おはようリセそれは大丈夫だが財布は寒いぜ」


「あはは、あの人数の食事じゃね酒代まではみんな遠慮したみたいだけど。またこれを担保にしなければいけないかしら」と懐を見て首を傾げるリセ。


「さすがに朝飯代くらいはあるよどうする?」


「あのパン屋に行きましょう謝りたいし」


「そうするか」そう言って宿屋を後にする。


宿屋外


外に出ると一人の少女が宿屋の外で顎に指をあて行ったり来たりを繰り返していた。


「確か桜さんだったかな、おはよう」


すると話かけられたのを少し驚いたように桜は

「おっおはようでござるタダヤス殿リセ殿」と答える。


「おはよう」リセは笑顔で答える。


(同志を見る目だ。そんなにその本面白いのかステラーというのが大きな功績を残した人物の代名詞になってるようだが。)


「こんな所でどうかしたのかい?」タダヤスは聞く。


「実はタダヤス殿たちに提案があって」そう言いもじもじと上目遣いでこちらを見る。


一瞬気を取られながらタダヤスは

「提案って何だ」と聞く。


「せっ拙者をパーティーに入れて貰えぬだろうか?」


「そういうことならいいわよ」リセが即答する。


「えぇ即答何の考えもなしに。嫌良いけども昨日のあいつ等とパーティーを組んでいたんじゃないのか?」


(可愛い子の加入は嫌じゃなかった)


「おぉ良いのかうれしいでござる彼等とはタダヤス殿たちに加勢するために集まった仮の物でござる」


「良いことは良いのだがなんで俺たちなんだ?」


「ステラーの本の件もあるのでござる精霊魔法にひかれまして。それと正式に同じパーティーになるなら言っておかなければいけないことがあるのでござるが拙者実はリノスティアの出身ではござらん」


「確かに侍っぽいわね」そう答えるリセ。


「そう拙者は侍の国、日ノ本という所からリノスティアに召喚された召喚者でござる」


「召喚者に転生者それに転移者のパーティか何だか運命の様なものを感じるな」


「えっ拙者だけではなくてお二人も」とても驚いた様子の桜


「引き合わされてるのかもしれないわね」


「ただ俺は桜のいた時代からだいぶ後の生まれで違う世界線の生まれだと思うぞ」


「それは私も思うわ」


「後の生まれに髪の色でござるか」何か納得した様子の桜


「あと俺のいた時代には侍はいないそれに桜色の髪の人間を染めたの以外で見たことがないこの世界以外ではな」


「ああこれは地毛でござる拙者も日ノ本では黒髪以外見たことがござらぬ」


「特殊な例で別の世界線ってわけではないのか?」と驚くタダヤス。


「そうみると赤髪の美少女と桜髪の美少女に黒髪の男って俺だけ地味だな嫌この世界じゃ髪の色は関係ないか」


「「精霊魔法があるじゃない・でござる」」


「皆そこに期待するんだな」と少し億劫になるタダヤス


「そこはそうねある種の期待はあるわねそれに三人の異世界人と妖精による新たな物語が始まりそうね」


「妖精?妖精もいるでござるか?」あたりを見回す桜


「えぇいるわ~私ニアよろしくね~あと人がいるところではあなたたち以外には見えない様になっておくからそこん所よろしく」とニアはタダヤスの胸元に消えていった。


「まさか妖精殿までいるなんてさらには名前まで教えていただけるなんで光栄でござる」と目を輝かせる桜


「そういえば桜あなた召喚されるくらいだから何か特異な者を持っているのかしら」

「拙者にあるものと言えばこの世界に来るときに門を通ったのだがその時に得た常識ぐらいでござる。かなり高位の儀式魔法を使って召喚したようでござる」


「常識それは真理とかじゃなくて?」


「真理?何でござるかそれ、拙者スマホとか知ってるでござるよ」


「あっちの世界の常識かよ!」と突っ込むタダヤス


「もちろんリノスティアの常識も知ってるでござる。リセ殿は何かあるでござるか」


「痛いとこつくわね私なんかただ魔力量が多いだけよもっと上の魔法を学べればよかったのだけど予算と家の都合で学べなくて冒険者ランクは鉄級どまりね」


「別に何かないといけないという訳ではござらぬただ聞いてみただけでござる」


「少なくとも金級冒険者以上の魔力量はあるわよその子」と声だけで答えるニア


「精霊眼で見てるよ」思ったよりすごかったと呆然とするタダヤス


「精霊眼ででござるか?何でござる?」


「俺の成長途中のスキルの一つさ今はマナを可視化できるようになった」


「それは割とレアでござるな」


「それでリセを見たらかなりの量だった」


照れたリセが

「さてこんな所でいつまでも話しているのもなんだし場所を移しましょう」と言った。


パン屋


「焼き立てのパン~いらんかね朝食に如何だい」


今日も元気そうに店先に立つパン屋。


「おはよう」リセは元気よく話しかける。


「おまえはあの時の臭いのって今日はきれいだな」


頬を染めるリセ。


「臭いくないなって意味だよ」


「なんだ。今日は客よ、え~と桜はもう朝食は食べた?」


「まだでござる」


「じゃあ三人分ください」


「はいよ三個な」


「あの時はごめんなさいねおなかが減ってどうしても抑えられなかったの」


「良いんだそんなの今は客として来てくれてるじゃねぇか」


「さぁ此処のパンは絶品よ」


「「「うまい」」」


高台


冒険者ギルド前の高台に場所を移したタダヤスたち。


「さてこれからどうするかひとまずは金か」


「そうねまた空腹で魔が差す前にクエストかしら?」


「拙者提案があるのでござるが手持ちの金はまだ余裕があるでござる。せっかく魔法が使えるようになったのだから魔術師ギルドに行ってみようでござる」


「魔術師ギルドねあんまりお世話になったことがなかったわね魔術師なのに」


「一番関係がありそうなギルドだが」と失笑するタダヤス


「つい最近まで生きていくので必死でそれどころじゃなかったのよ」


「あぁ笑ってすまなかった」


「良いわ気にしてないわそれよりなんで魔術師ギルドへ」


「拙者がリノスティアに来て得た情報の内にノクターという高名な魔法学者がいたでござるその方が精霊魔法についても研究しているとのことだったのをおもいだして」


「それで会いに行こうってわけね」


「それでその人物を知る人間を探しに魔術師ギルドに行くってわけか」


「そうでござるでは場所はわかるでござる向かいましょうぞ」


魔術師ギルドへ向かう道中


多くの荷物をおっかなびっくり運ぶ小さな亜人を見かける。


「なんだか危なそうだなあいつ」


すると荷物から何かが落ちる。


「あなた何かおとしたわよ」


亜人はくるりと回るとまた何かを落とした。


「あぁまた落ちたこんな大荷物になるなんて一人で来るんじゃなかった」そう落ち込む亜人


三人で顔を見合わせ頷く


「なぁあんた俺たち三人が手伝うよどこへ向かっているんだい?」


荷物を置く亜人。


すると大きな耳が特徴なふわふわの亜人が現れた。


「おお助かるよっ僕はヨタ、いくら何でも僕には多すぎでね。魔術師ギルドへ向かっていたんだ」


タダヤスは手を伸ばしヨタの頭を撫でる。


「俺たちも行先は同じだちょうどよかったな」と顔を緩ませ答える。


「なんだい君はもしかして獣人が好きでたまらない人なのかい」と困惑するヨタ


「いや珍しくてな、つい、いい毛並みで、すまなかったよ」


「良いのさそれくらい、そして獣人にとって毛並みを褒められるは光栄なことさ」


「さぁ荷物を分けましょう」リセが言う


「重そうなものはタダヤス殿と拙者で」


「あら私だって鍛えてるわよ」と冒険者の意地か膨れるリセ


(確かにあのゴブリンの頭のつぶし方鍛えてるよな)


こうして四人で魔術師ギルドへ向かった


魔術師ギルド


ドアの前でこちらに手を振る女性がいる。


「よかった~手伝ってもくれる人がいたんですね」


「なんだ荷物が多くなるのに僕一人で行かせたのかメルラ」怒るヨタ


「あなたがせっかちすぎて私が出勤する前にあなたが一人で向かったんじゃないですか」


「そういえばそうだった楽しみにしていた品があったのでなすまない」


「それでギルマスお目当てのものは手に入れられたのですか?」そう聞くメルラ


「あったよこれだ」と突き出すヨタ


「あなたギルドマスターだったのヨタ」驚くリセ


「君のことは知ってるよ臭いって有名さ。まぁ臭くなかったんで別人かと思ったが本人だったらしい」


「最近まで身だしなみに気を遣う余裕がなかったのよ、それにこの襤褸(ボロ)だってそろそろ変えたくなってきたし。全くタダヤスが宴会に使わなければ買えたのに」


「悪かったよお酒は程々にしとくよ」しょんぼりするタダヤス


「そういえばリセ君こんな話があるのだが、君は風魔法は使えるかい?魔力量が多いと噂にもなっていたから金に困ったらリンド・バルの魔術師ギルドへ行って風魔法を使った交易船にのると重宝されるだろう」


「確かに使えるけど中位魔法ぐらいまでよ」


「それだけ使えれば十分さモノを言うのは魔力量だからね。さぁ手伝って貰った俺にお茶とお菓子を上げよう入りたまえ」


応接室


荷物を選別するヨタ、あーではないこーではないと本人は困ってるようだがはたから見れば愛くるしい様子だった。


トントントンドアをノックする音


「お茶が入りました」とメルラの声がする


「入りたまえ」とヨタが答える


「さぁ皆さんお茶とお菓子ですよギルマスはお砂糖とミルクたっぷりですね。皆さんはご自由にどうぞ」


「俺はそのままで」


「拙者も」


「私は両方入れようかしら」


「う~んどうしたものか」タダヤスはお菓子を目の前にして顔の前を飛ぶニアに困惑していた。


見かねたリセが

「姿を見せてもいいんじゃない妖精さん」と言った。


それを聞いたヨタが手をとめ

「妖精珍しいな」と言った。


「はい妖精ですよお菓子につられて出てきました」とタダヤスの困惑した表情を見て膨れるニア。


「おお本物の妖精だ二十年ぶりくらいに見る」と驚くヨタ


そんなニアを見てタダヤスは

「俺のは全部やるよ」と言った。


「お菓子を用意するなら多めに用意しろさもないと妖精に食われるぞと言ったもんだな」そう言ってヨタは笑う。


ニアの食べっぷりに皆が微笑む当の本人は格闘しているようだった。


(フードファイターのようだ)


「妖精殿拙者のもどうぞ」そう言い桜はニアに菓子を上げる。


「ほおありがとふ」行儀悪く貪るニア


そんな様子を桜は気に入ったようだった。


お茶を飲み終えるとヨタが

「本題だが君たち魔術師ギルドを訪ねてきたんじゃないのか?」そう言う。


「そうだった俺精霊魔法が使えるんです」


ニアが

「精霊眼も精霊魔法の一種よ」と言った。


「ほうその口ぶりだと二つは使えるようだねどんなのだい」


「精霊眼なら今からでもつかえます」とタダヤスはヨタのマナを見るすごい量だ。


「あなたが凄い魔術師なのと魔力の宿った物品が見えました。」


「ほう面白い僕も感じることはできるが見ることはできないそれだけで仕事が見つかりそうだね」と興味津々なヨタ。


「あと一つは闇の牙といった感じの物でしょうか初めて使ったときはすぐ気絶してしまいそれから使ってませんが」


「あああの水晶みたいなのねおかげで死なずに済んだわかっこよかったわよ」と少し頬を染めるリセ。


「気を失ったのは初めて使ったからだろう窮地に使った魔法ならなおさら手加減できまいそれと牙というのは君がそれを強力だと思って作り出したからだろう。精霊魔法というのはもっと柔軟だと聞くよ」というヨタ


「柔軟か。実は俺たちもっと魔法特に精霊魔法について知りたくてある人物を探しているんです」


「ノクターという名を聞いたことはあるでござるか?

「ああよく知ってるさ僕の名前はヨタ・エクルミル、ノクター・エクルミルの弟さ」


「そうだったのかそれでノクターさんはどこに」


「さっきも話したリンド・バルにいるはずさ。あいつも精霊魔法がみられるとなると喜ぶだろう紹介状を書いてあげよう」


「ありがとうございます」


「そうするとリンド・バルで交易船に乗るはめになりそうね私」と交易船と聞いて肩を下すリセ。


「いや君ほど魔力量が多ければ何の苦もないだろう。それにノクターは好奇心に金を使うタイプだ君たちなら逗留させてくれるだろう」そう言い親指を立てるヨタ。


「君たちってタダヤスだけじゃなくて私たちもって事?」


「そうだね君たちも魔法について教鞭を受けたらいいのではないかな」


「確かに拙者の魔法剣も強くなればパーティとしてもより強固なものになりそうでござる」


「あなた魔法剣なんてもの使えたのね、いがいだわ」


「拙者前衛の剣士でござるが前衛が苦手でござる」


「確かに普通は直接敵と戦うのは怖いよな」


「ノクターは武器戦闘もなかなかのものだよもしかしたら稽古をつけてもらえるかもしれないね」と書きあがった紹介状を渡すヨタ。


一同はまだまだ物品の仕分けが終わらなそうなふわふわの生物にお礼を言い魔術師ギルドを後にした。


魔術師ギルド外


「思ったより簡単にノクターさんの手がかりが見つかったな」


「よかったでござる」


「魔術師ギルドのマスターのお兄さんだったなんてびっくりしたわ」


「それじゃあ準備を済ませリンド・バルへ向かおう」


「「お~」」






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