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様々な世界・世界の詩

毒まみれの世界

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/02/18



 その世界は、毒まみれだった。


 どこもかしこも、たくさんの、毒が溢れている。


 山も、湖も、植物も、空気もすべて毒でできている、そんな世界だ。


 だから、生き物は生きられない。


 だから、人間など一人も生きられない。


 けれど、そんな場所に一人の女性がいた。


 女性はずっと、そんな世界で一人で生きていた。


 けれども。


 偶然その世界に迷い込んだ人間がいた。


 その人間は、毒に体を焼けとかされながらも、女性を助けようとしていた。


「こんなひどい世界で、人が生きられるわけがない」


 だから、ここから脱出しよう。


 一緒に人が生きられる世界へ行こう。


 人間は、そう言って手を差し伸べた。


 しかし、女性は首をふる。


「私はこの世界でしか生きられないのです。だからどうかおかまいなく。だからどうか一人で逃げて下さい」


 毒を口にして飢えをしのいでいた女性は、他の者が食べられないと言う。


 よく見れば、女性は毒の影響を受けていないようだった。


 だから、その世界で生きてこられたのだろう。


 けれども、それができるのはおそらく彼女だけ。


 男性は手を差し伸べ続けた。


「一人だけしか生きられない世界に生きて、何の幸せがあるのでしょう」


 何度も、何度も。


 その世界から脱出しては、またそこに戻って来た。


 やがてその女性は、男性の手をとろうとした。


 しかし、その決断は遅かったのだ。


 毒の世界に長く生きる彼女は、彼女自身も毒になってしまったのだった。


 男性の手をとかす、己の手を見て、悲しげな表情をした。


 女性は悲しみながら再び、首をふる。


「あなたは人の生きられるる世界で生きて、幸せを掴んでください」


 毒になってしまったその女性を救う術はない。


 その世界に来るときに使った乗り物も、他の世界へ向かうための道具も、毒で溶けてしまうからだ。


 男性は悲しみながら、その世界を後にした。


 やがてその女性は、毒の世界を統べる存在になる。


 その命の存在しない世界で毒姫となり、長い孤独な時間を過ごす事になる。


 毒の影響をうけない、機械の命が彼女の手に触れるまでは。



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