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07話 ウリヤーナ、そして都市「ヴァルータ」


「ところで、ここに3人いてるっちゅーことは、この場所でマジックボックスの食べ物を作るための材料を栽培したり、導具を作ったりするんやな。んで、そのために魔物を全滅させると」

「そういうこっちゃ」


「若、ウリヤーナのような言葉をお使いになるのはちょっと‥‥」

「シルヴィ、なんでやねん、アタシはずっとこうやねん。若も同じでえーやないか」


「ははは、シルヴィ、ちょっとした冗談だよ。普段は使わないから安心してよ」

「安心しました‥‥」


「ねえ、ウリヤーナ、きみは大精霊ということだけど、妖精達の協力も得られるの?」

「もちろんや。妖精はスプレーマ以外には見えんけど、羽の色はそれぞれで、身長10cmくらいで、ぎょーさん存在してるで。ほい。いま、若にも見えるようにしたで」

「うわ、ほんとだ! すごいなこれは」

「もう既に妖精達の協力を得て、このあたりの魔物の種類と数、土地・海・湖・川の状況については報告を受けとるよ。できる女はほんま違うでー」


(う、うん‥‥)


 ウリヤーナの報告の概要はこうだ。


 魔物は南部全体に生息しており、A級・S級の魔物が1,000頭ほどで、それ以下の魔物もかなりの数がいるようだ。


(これまでアルベルトとして多くの魔物を討伐してきたが、エング辺境伯領で目立つのはまだ早いと考えて、ここ南部には手をつけていなかった)


 土地については、魔物さえ殲滅させれば、農業・畜産業も十分に可能だそうだ。あとは魔素の濃さが問題となるが、それは、ここ南部に作る新都市用の結界魔術などへの魔力供給に大いに利用できる。


 海については、対岸に魔族島があるが、現魔王が穏健派であるため、その点については問題はないようだ。A級魔物のシーサーペントやクラーケン(元祖「たこ焼き屋」はここから生まれることになるだろう‥‥)を殲滅すれば、漁獲量も期待できるとのことだ。

 いい具合の入り江もあるから、港を造って海運業も可能かもしれない。港湾都市としての繁栄も十分ありえる。


 湖については、透明度が高くて18mもある。また、近くに火山はないが非火山性温泉は可能なようで、観光地としても成功する可能性がある。


 川については、水質が良く、未開地の北東から南に向かって流れており、農業用に取水が可能とのこと。


 捕らぬ狸の皮算用にならずに済みそうだ。



---



「ウリヤーナ、きみは妖精達の視界を共有できる?」

「できるで」

「それ、僕にも共有させてもらえるかな?」

「ほい。できたで。シルヴィもな。妖精達の現在地も分かるから便利やで」

「おお、ほんとだ。便利だなー」

「あら、便利ですね」


 南部全体を3区画に分け、3人は妖精の視界共有によって、各自が詳細に観察している。


 1時間はかかりそうなので、アルフォンスはマジックボックスから(2人にはまだ提供していなかった)様々な種類の小さめのサンドイッチとミルクティーを渡した。座って飲食しながら観察ができる。

 シルヴィは満面の笑顔だが、ウリヤーナは「こんなん、入ってへんかったがな‥‥」とぶつぶつ言っている。


「2人はアイテムボックスを持ってるよね。僕が構築した自動回収・自動最適解体の術式を付与していいかな。改良を重ねてかなりの優れものに仕上がってるよ。時間短縮できるしね。あ、素材はいい状態で欲しいから、傷を付ける魔法や魔術は使わないでね」


 2人は頷いた。


 そして、この南部全体に結界を張るようにと2人に頼んだ。

 その結界はこうだ。


・結界が張ってあること自体気づかれないものであること


・結界内部の魔物は殲滅中も殲滅後も、以前の通り存在しているかのように外部からは錯覚させること


・結界内部に仮に何者かが存在していた場合でも結界の外に出られず、思念伝達を含む全ての情報伝達を不可能にすること



 2人はアルフォンスの真意を理解し、希望通りの結界を展開した。


「じゃあ、魔物討伐といこうか、各自の担当区域で。72時間後にまたここで」とアルフォンスが告げるやいなや2人は直ちに転移して行った。


(ここらは人がいないけど、念のためアルベルトに変身しておくかな)


 72時間後、3人は元の位置に戻ってきた。

 南部の魔物は壊滅した。



 2人はアイテムボックスにある討伐した獲物をすべてアルフォンスのマジックボックスへと移した。

(これらの獲物の半数ほどは、いずれ「アルベルト・オークション 2」の出品物となる)


「2人ともお疲れ様。今日はゆっくり休もうか」

「いやー、久しぶりの海の魔物はおもろかったわー。でも全く疲れてへんで。アタシらの魔力量で疲れることなんかほぼありえへんからなー。若も魔石が大量にあるから同じやろ」

「そうですね。それにしても自動回収・自動最適解体は便利でしたね」

「それは嬉しいよ。ただね、僕の構築する術式は、いずれ3種に分類する必要があるんだ」


 アルフォンスは説明した。


 例えば、自動最適解体を誰もが使えるようになると、この世界に多くいる魔物解体職人たちの解体技術が完全に失われてしまう。それは困る。

 解体職人たちは、高度な専門知識と経験を有し、誇りを持って楽しそうに仕事をしている。そういう特殊な職業は無くしてはいけない。


 もちろん、これから行われるアルフォンスの計画の過程で数多くの職業が失われることになるが、最低限にしたい。

 職業が失われることはやむ得ないことであるが、職を失った人たちには別の職を用意する予定である。

(前世でも産業革命やIT革命によって、多くの職業が失われた)


「だからね、3種に分類とは、(1)僕が死ぬ前に完全に消滅させるもの、(2)スプレーマのみんなのように絶対的に信頼できる者しか使えないために一部にのみ残してよいもの、(3)多くの魔術師が術式を容易に理解して誰もが使えるようにした方が世界にとって有益であるため残してよいもの、かな」

「若、死ぬなどと‥‥」

「いや、女神ペルーサーさんとの約束だからね。でもまだまだ先だよ(人間の寿命だとね)」


 ところでね、とアルフォンスは続けた。


 この南部一帯を世界最高の都市にしたいんだ。農業、漁業、林業、鉱業、畜産業、採石業、建設業、製造業、運輸業、卸売業、小売業、金融業、宿泊業、飲食業、娯楽業、観光業、学術研究や医療研究なんかもね。

 もちろん僕がいなくなっても持続可能な技術によってね。


 そして、この南部一帯を1つの都市として「ヴァルータ」と名付けるよ、と宣言した。


(ベクレラ王国の、エング辺境伯領の、南部都市「ヴァルータ」)




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