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04話 初の盗賊討伐


 ギルド依頼の薬草を採取した後で、盗賊の隠れ家の近くに転移した。古い一軒家だ。

 探知魔術により、盗賊は30人(うち賞金首は5人)、人質は6人と判明した。


 建物の外部にいる見張り役3人を睡眠魔術で眠らせたうえで拘束魔術をかけ、倒れて音がする前に捕らえ、一瞬のうちに転移で1kmほど離れた場所に移動させた。10時間は起きないだろう。


 建物内部の盗賊の行動を探知してみたが、気づかれた様子もなかったので、建物に近づいて睡眠魔術と拘束魔術をかけた。

 しかし、最高金額の賞金首である1人だけは、強力な耐性魔法によって睡眠魔術が効かなかった。


 その盗賊の背後に転移し、身体強化した手刀でうなじ(後頸部)を強打したが、不殺魔術(HP1のみを残す術式)も同時発動したので、死なせずにすんだ。

 この状態だと睡眠魔術が効いたので、彼も10時間は起きないだろう。


 建物の外に出て、盗賊27人を、先の3人の盗賊を捕らえている古い小屋へ転移によって連れて行き、念のため簡易の結界を展開して、魔物に襲われないようにした。

(人道的見地からではなく、賞金首が重要だっただけなのだけど‥‥)


 盗賊全員に浄化魔術をかけ、下着や安価な衣類を除いて、防具や所持している金品と貴金属などは全て(自動回収機能付き)マジックボックスに回収した。


 建物内部の一室に監禁されていた6人の若い人質の女性たちを確認したので、鍵を開けて部屋の中に入った。

 みな憔悴しきっており、中には暴行を受けた形跡がある者もいた。

 自分は敵ではなく救出にきたので恐れる必要はないことを説明し、全員を治癒魔術で治療して、浄化魔術で身綺麗になってもらった。


 傷がすべて治ったのを確認して、高価そうな衣服を着用した1人を除く5人には体全体が隠れるほどの(こちらの世界の)古いが大きな布を渡した。

 また6人全員にマジックボックスにあった(複製した)温かいポトフ、木製スプーン、白湯をゆっくり食べるようにと渡した。

 少し落ち着いてきたようだが、まだ空腹の様子だったので、うどん大盛り、木製フォーク、果汁100%のリンゴジュースを渡した。


 これらの飲食物については誰にも口外しないよう切にお願いしたら、全員が口外しないことを誓ってくれたが、慎重を期して、全員に『血の契約』と交わすことを了承してもらった。


 『血の契約』とは、当事者が秘密と決めた事項について、口頭でも文字でも態度でも、誰にも秘密を漏らさず、(例え家族が人質になっていたとしても)契約に反した場合には、命を失うというものである。


 もっとも、アルベルト(アルフォンス)の『血の契約(改)』は、契約違反時の対応を工夫して、「命を失う」のではなく、契約者が契約違反行為をしそうになったり、誰かが契約者に契約違反を誘惑・強要するような場合には、直ちにその場の全員を拘束する術式が発動し、思念伝達と場所映像共有で転移してくる者によって相応の対応が可能となるようにしたものである。


 その『血の契約(改)』の内容を説明したところ、救出されなければ全員が闇の奴隷商人に売られるところだったようで、『血の契約』は当然のことですと感謝された。

 1人を除く5人は、監禁場所から遠くない小さな村から拉致されてきたようだったので、その村に転移で送っていくことにした。


 村の人々(特に人質の家族)は大いに感謝してくれたが、貧しい村のようで、お金ではなく、野菜や果物を分けてくれた。

 女性たちも村人たちも、金品や貴金属などで盗まれた物はなかったようだ。

(そもそも持っていなかったのだろうけど‥‥)


 果物だけいくつかもらった。十分である。

 宴に参加するよう村人たちからお願いされたが、盗賊たちの処理もあるので、辞して村を後にした。



---



 村娘ではない残りの1人も送り届けようと申し出たが、断られた。

 彼女には暴行の跡がなく、丁重に扱われていたようだ。


 彼女は、セヴリーヌ・フロベールと名乗り、フロベール子爵家の三女であることを明かした。


「えー、わたしはアルベルトという冒険者です。ひとまずご家族にあなたが無事であることくらいは伝える必要があると考えますが、どうでしょう?」と確認した。


 セヴリーヌ嬢は「既に家族には思念伝達と映像共有で、救出されて心身ともに無事で元気である旨を伝えてありますので大丈夫です。それよりもギルド支部への盗賊たちの引き渡しに連れて行ってくださいませんか? 家族の許可ももらっていますので。社会勉強にもなりますしね」との意外な反応が返ってきた。


 まあ、そういうのであれば、盗賊のことは早めに処理しておきたいので、一緒に転移して盗賊の隠れ家に戻った。


 盗賊の貯め込んでいた金品財宝などは全てマジックボックスに自動回収した。

 セヴリーヌ嬢に何か奪われたものがあるかを確認すると、特に何も取られていないとのことだった。


 30人の盗賊を閉じ込めてあった古い小屋に、セヴリーヌ嬢と転移して、睡眠魔術を解き、全員を起こした。

 猿ぐつわをかませているので何を言っているのか明確には分からなかったが、どうやら「てめーーー!ぶっ殺してやる!」などと息巻いているようだ。


 30人を金属の縄でつなげて、ギルド支部の付近に転移して、ギルドの受付で依頼の薬草採取の完了を報告した。

 受付嬢はそれどころではなく、後ろの30人は何なの?と目で訴えつつ、「ただいまギルド支部長を呼んできます」と慌てて上層階に走っていった。


 ごつい体つきをしたギルド支部長が現れて、30人の盗賊を確認し、「この5人は賞金首だな。中でも1人は殺人・強盗・強姦・誘拐などの常習犯で高額賞金首だ。こいつだけで金貨3枚。残り4人は合計で金貨1枚だ」と言った。


 貨幣価値は、小銅貨が10円、銅貨が100円、小銀貨が1千円、銀貨が1万円、小金貨が10万円、金貨が100万円といったところか。


 合計で金貨4枚(約400万円)。

 一般的な盗賊複数の討伐の危険性から考えると、高いのか安いのかよく分からない。

 金貨4枚と薬草採取の小銀貨2枚(約2,000円)を受け取ると、無造作にポケットに入れる振りをして、マジックボックスに放り込んだ。


「あ、あとな、5人を犯罪奴隷として奴隷ギルドに売るから、その代金の7割はあんたのもんになる。後日取りに来てくれ」


(後で受け取りにいったら金貨2枚(約200万円)を渡された。5人は屈強で、まだ若くいため鉱山で働くのに十分な体力があるとのことで、ある程度の金額で売れたらしい)


「支部長さん、人質だった女性5人は村に送ってきた。で、残り25人の盗賊はどうすればいい?」と訊くと、犯罪奴隷として有資格の奴隷商人に売ればいいが、おそらくあまり値はつかないぞ?」とのこと。


 事前に30人を鑑定してみたところ、賞金首5人の適性職業は「盗賊」だったが、残り25人はそうではなく、農業・建築・計算など一定程度のレベルの者がいたし、今後の辺境伯領での開発を考え、「じゃあ残りの盗賊は俺が引き受けても?」と確認してみた。


「ああ、最低限の衣食住を保障する条件で、奴隷商人に隷属魔法をかけてもらい、自分の奴隷として使用すればいい。あ、そうだ、アルベルトとやら、ギルドカードを寄越せ。俺の裁量権限内でおまえさんをGランクからFランクに上げておくから」と、にやりとした。


 支部長はアルベルトに興味をもって尾行をつけたが、睡眠魔術であっさり振り切られた。


(セヴリーヌ嬢は支部長さんとのやりとりをじっと眺めていた‥‥)




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