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ご当地弁当には、無果汁100%ジュースに限る。

「おれ、弁当屋の売人(バイト)しているんだ。余ったやつ食うか?」

 名も無き魔物は悪魔飴に弁当を渡す。悪魔飴は、たまにこの魔物から弁当をもらうのだ。


「無果汁100%の飲みモノ、アル~?」

「果汁100%のしかないなぁ」

「無果汁100%のスキなんだけどナァ。しょうがない、それでガマンする」

 そういって飲料水も貰う。


「そんなに弁当が好きなのか」

「ウン」

 悪魔飴は弁当好きなのである。今までいろいろな所へ行っているというのもあり、いろいろなものを食べてきた。

 一番楽しかったのは、紐を引っ張ると暖かくなるというおもしろ弁当。「駅」と呼ばれる人間たちの集まる場所で買った。

 その時の駅は周りの人間たちはぴりぴりしていた。人間たちが待っている乗り物が、「何か」(おそらくは魔物だろう)を轢いて遅れていたらしい。悪魔飴には関係ないことなので、どうでもよかった。


 次は冥界の川のほとりで舌が赤くなったり青くなったりする添加物満載弁当。冥界には秘宝だか秘法があって、生身の人間がそれを狙って時々訪れるのだ。無事に帰れるかどうかは別として。

 悪魔飴は弁当を食べに来ているだけなので大丈夫。無事に冥界から帰れた。


 あまり好きではないのは、裏取引が盛んな裏路地で不法な肉をふんだんに使っている闇弁当。食べなれていない肉は、独特の風味で口に合わなかったのだ。この闇市を支配していた者(実は魔王)はある意味すばらしい方法で、人間社会に仇なしている。

 弁当を食べに来ただけなので魔王には謁見しなかったが、そのうち挨拶に行っても良いかなと思っている。

(300年前くらいから、思っているだけ)

 あと、あそこの弁当もなかなか良かった。天使の石像が美しい古代の空中庭園の墜落現場で……以下略。


 回想もほどほどに。悪魔飴は魔物にもらった弁当を食べ始める。魔物も隣で弁当を食べ始めた。どうやら自作の弁当らしい。

 気になったオマイは少しだけ弁当を少し貰うのだが、魔物が作った手作り弁当はお世辞にも……うまくはなかった。

 魔物の味覚は、人型に近いほど人間に近い。だから、この獣型の魔物とは、好みが異なっているのだ。


「……久々にマモノのごはんッテ、感じのウスアジなタベモノを食べたヨ」


 季節は秋。

 紅葉が舞っている。

 日差しも意外と暖かかった。

 今日も、魔王城は本当に平和です。



挿絵(By みてみん)


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