幼馴染のブランコ攻撃
「なるほどなるほど」
舞美は大きくうなずいた。
木田さんが、恥ずかしそうにしながら頑張って一からていねいに説明したのだ。
「てことはその下濡れちゃってるの?」
水道を出しミスったところまで詳細に説明された舞美は、下ろした髪をさらさらいじりながら、木田さんが着ているジャージを見た。
「うん。でももんちゃんも捕まったし、私の家ここからすぐそこだから、着替えてこようかな」
「そうだね。私と耀はここで待ってるから」
「ううん。先学校行ってて大丈夫」
木田さんは荷物と僕から受け取ったもんちゃんを抱えて公園を出て行った。
僕から木田さんに渡った瞬間もんちゃんのうねうね度が増した。
これって実はもんちゃん木田さんに懐いてるんじゃない?
「先行ってておっけーって言われたけど、待つか」
隣の舞美に僕は言った。
「早苗が好きだから?」
「は? 全く違うよ」
早苗は、木田さんの下の名前ね。
「……とりあえず、ブランコ乗ってお話ししよう」
どうしたんだ突然? よくわかんないけど、舞美という可愛すぎる幼馴染とブランコ乗れるならいっか。
僕は舞美について行って、舞美が右側のブランコに乗ったのに続き、左のブランコに乗った。
「早苗、可愛いもんね。お世話手伝って欲しいって言われて『よっしゃ』ってなったでしょ」
「……少しなった」
僕は舞美に正直に答えた。幼馴染とはなんでも正直に言い合える関係であり正直に言わないとバレる関係。
そして、それに対して舞美は、おおらかに笑う……という感じになるはずだったのだが、
「いたた……おい、舞美。ブランコを横向きに漕ぐのおかしいよね」
舞美は、ブランコを横向きに漕いでいるのだ。ていうか構造的に無理がある気がするけどなぜか漕げてるな。なんでだろう。とにかく僕に当たるんですけど。
「ふんっ」
しかもそのまま僕にキックまでしてきたんだが。
「決めた……。これから定期的に早苗のもんちゃんの世話を手伝うってことは、耀は忙しくなるよね」
「なるかもな」
「じゃあ……」
「あ、待っててくれたの? 二人とも。ほんとにごめんね……もんちゃんは家の飼育ケージにちゃんと戻せたよ」
とここで、無事制服を替えてきた木田さんがきた。
舞美は僕に言いかけたことを引っ込め、
「じゃあ行こう、早苗」
と、ブランコを飛び降りた。
僕も降りる。
「舞美ちゃんってブランコの漕ぎ方面白いね」
木田さんが未だ横向きに揺れているブランコを見て笑う。
ブランコが二つとも横向きに揺れていることから僕が攻撃されたことを察して欲しかったが……。まあいいや。




