朝、教室で二人
「なんか右側狭くない? もう少し向こう行ってくれないと肘が当たりそうで英語かけないんだけど」
「どうせどう書いても字汚いんだから変わんないじゃん」
「ひどい。英語はそんな汚くないと思うけどな」
「いや、これnとhの見分けつかないんだけど」
「……」
朝の教室で、僕は舞美にくっつかれながら英語のレポートをやっていた。なぜか軽くくっついて来る。なんでそんなんなのかわからないけど、英語できるアピールしたいんだったら普通に和訳教えて欲しいんですけど。……舞美の胸とか太ももとかに、意識を集中させるためのエネルギーがとられちゃってますます字が汚くなるし。
というか手伝ってもらってるのかこれは……。
周りを見渡せば教室には僕と舞美しかいない。鞄はいくつか見えるので、朝練に行ってる人はいるみたいだ。
「早く書こうよ」
「書くことが思いつかないんだよ! 大体、英語のファンタジーを読ませて感想を英語で書くとか無理だから」
実際日本語で読んで日本語で感想書いたって何も思いつかないだろう。なんか女の子が恋してて可愛かったら原稿用紙埋められるよ。英語だってがんばれるかもしれない。でもこんな変な話に思うことはない。
「それでも文芸部なの?」
「そうだよ。ラブコメしか読まないし、書くのもラブコメの文芸部員ですけど。ファンタジーは知りません」
僕は自分が好きなジャンルの本しか読まないことをアピールする。実際それの何が悪い。
「……じゃあ……終わったら、デートの約束とかどう?」
「デート?」
「ちがう、やっぱりちがうよ、デートっていうわけじゃない! 二人で出かけてあげるだけ」
「先々週くらいに出かけたな」
「その時はまだ早苗はいなかったでしょ!」
いやいたけど……生後15日であんな発育してたらどんだけおっぱい大きくなるんだよ(自分でも変だと分かるツッコミ)。
「くー、何とかしていい雰囲気にしたいのに!」
「いい雰囲気になるわけないだろこのクソレポート書いてて」
「もう! じゃあ早く終わらせてよ!」
「だから今考えてるんだよ感想を」
うわもう時間あんまりないし。あああああ……。
僕が焦るのは書き終わってないからなんだけど、舞美はなんか別の方向で焦ってる気がするな……。




