木田さんのおうち、もんちゃんのおうち
「木田さんの家はここか……。朝の公園とも学校とも近いわけだね」
「そう」
「確かにこの距離ならもんちゃんにょろにょろはってきそうだな」
木田さんの家は普通の一戸建てだ。
しかし、もんちゃんは自分の家に着いたと分かっているのか、さっきまで僕の腕でおとなしくしていたのに、にょろにょろうにうにし始めた。でもまだおとなしい方だ。
「長沢くん、入って」
「おじゃまします……おお」
木田さんの家に入ると、廊下にもんちゃんがはった後が付いているのが目に入った。
「あーあ、砂が。掃除しなきゃ」
「僕もやるよ」
「ううんっ、今日はお礼がしたいから、長沢くんは待ってて」
「あ、もんちゃんは……」
「もんちゃん、あっ、えーと、じゃあ……」
「僕がしばらく抱えてるね」
「……ごめんなさい」
「いやいや、全然抱えるのなんて嫌じゃないし」
廊下を進んだリビングのところでもんちゃんを抱えて待っていた。
しばらくして雑巾を持った木田さんが来た。
「お待たせ。じゃあ、私の部屋に」
「あ、ああ」
女の子の部屋! にモンゴリアンデスワームを抱えて入場だね。
で、入ると……おお。
普通の女の子の部屋……の端に、砂が引いてある大きなケージが。
なんというか……そこだけモンゴルの砂漠から切り取ったみたいになってる。
「あそこがもんちゃんのおうち」
「おお、じゃああそこにもんちゃん入れるな」
僕はもんちゃんをケージの扉を開けて入れた。そしてケージを閉めた。
もんちゃんが出ようとする気配はない。
「ありがと、長沢くん。私今からお菓子作ってくるからね、ちょっと待ってて」
「ありがとう……」
僕はもんちゃんのケージの前に腰を下ろした。




