旅立ち
四,
身長が145㎝になって、胸が前世の自分と同じくらいになった。もしかしたら、このために私は生まれ変わったんじゃないかな、私…なんて思ってみたり…。
そんなこんなで私は12歳になる。学校へ行ける。アルマ姉さんはもう16歳になって、旦那がいる。なかなかのイケメンで、村一番同士が結婚したと当時はものすごいくらい盛り上がった。名前はマーク。婿入りだ。だから、変わったことといえば、家族が一人増えて、私は成長したということだ。
「リリア、12歳になるんだな…まだ、学校に行く気か?」
お父さんは私にそう聞く。どうしてもいやらしくここ最近そればかり聞いてくる。私は溜息交じりに同じことを繰り返す。
「行く」
お母さんもアルマ姉さんもマークもみんな不満そうな顔をする。そんなに嫌なのか…?
「…わかった…なら、条件として特待生で入学しろ」
「………うんわかった……うぁ?!」
特待生?!えっ?!どういう形式でテストなのかもわからないのに?!そんな無茶振りある?!
「そのくらいしてもらわないとな…!」
私が言葉を失っているところをお父さんは豪快に笑って言う。この人は、自分が言っていることがわかっているのだろうか…?だけど、承諾しないといけない。
私にはすべきことがある。
「…わかった…」
*
時は数年前に遡る。私が9歳の時。ホーエン家の領地にある通達が届いた。それは、お父さんの徴兵命令だ。要するに、前世の世界でいう第二次世界大戦などで届いた赤紙が届いたのだ。ここの世界は科学が発展していないために争いが絶えない。まとまった考えがないからだ。隣の国との考えの違いから摩擦が起きて戦争が勃発する。平和だと思っていた世界が崩れていく。平和な生活はある種の理不尽で壊されていく。自然に、ゆっくりと。お父さんが死ぬことはなかった。だけど、村に流れてくる兵士たちは看病が間に合わないまま、生き絶えていく。血が生きていた名残のように流れていく。
聞いたところこの戦争はまだ続いている。そして、この戦争の元凶というのが………
*
大きな荷物を馬車に詰め込む。そして後ろを振り返る。家族がみんな私を見ている。もしかしたら、もう帰ってこないかもしれないしあわせなこの時間…
「ありがとう!行ってきます!」