家族
二,
〜月日は流れ
転生してから6年が経とうとしていた。私の身長は110㎝になった。綺麗な金髪に、蒼い瞳。私は見事に異世界に転生することができた。広大な草原の真ん中に立つ一本の木の影の下で本を読む。すると、肩に手が置かれる。
「リリア」
「あ、アルマ姉さん」
アルマ姉さんは私と同じ金髪に、お母さん似の紅色の瞳。とても美人である。というか、この辺では1番の美貌を誇っている。そんなお姉さん…
この世界は、生まれついた人間誰にでも、個人個人の『能力』が与えられる。それをこの世界では、『異能』と呼んでいる。人を殺せるような能力からどこで使うかもわからない能力まで。とにかくいろいろあるのだ。しかも、それが目覚めるのも個人差がある。遅い人はとても遅いらしい。
「そうだ!アルマ姉さんの異能見せて!」
「いいわよぉ〜!」
私の最近の主流は人の異能を見ることである。これがなかなか面白いのだ。いろいろあるから。アルマ姉さんは広い草原に向けて異能を発動する。
「草の戯れ」
草がざわめく。木の葉がざわめく。そしてそれらは形作られていく。
「クマさぁん!」
アルマ姉さんの異能は『草を自由自在に操る能力』。アルマ姉さんにぴったりな能力だ。だが……
「リリアはクマさんとウサギさんが好きだねぇ」
そう言って私の頭を撫でる。
…子供のフリするの結構きついんですよね…
村の方を振り向く。そこに馴染みながらも少し目立つ家がある。金持ちの家だ。そこが私の今の家。私の今の名前はリリアス・ルリ・ホーエン。商人貴族である。まさか転生したら金持ちの貴族なんて!
*
家族の団欒というものは私にとって珍しいものだった。なんたって前世では両親は共働きで家にいることがあまりにも少なかったから。
「今日も百発百中!晩御飯が豪華だな!」
お父さんは豪快に笑う。お父さんの異能は『弓矢で狙った獲物は百発百中仕留める能力』。ある意味最強である。金髪で蒼い瞳。ゴツイ体で、「体つきがいい」というのはこういうことを言うんだなと言う感じの体つきである。私はお父さん似だと思う。だけど、周りの人はお母さん似だと言う。
「そんなこと言って、いつも村の人に分け与えていて、殆ど家に持ち帰らないではないですか」
お母さんは優しく微笑む。お母さんは栗色の髪に紅色の瞳。お姉さんは完璧誰の目から見てもお母さん似だと思う。
「そういえば、リリアは将来何をしたいんだ?」
突然私に話を投げつけてくるお父さん。脅威である。
「…う〜ん、冒険者になりたい」
私の発言に、三人は苦笑する。
「女の子なのに?」
どうやらこの世界では『冒険者』というと、『男』で『女』というイメージか全くないらしい。
この世界では、科学が全く発展していないせいか、知らないことがとても多いため、『冒険者』という職業が存在している。その冒険者という職業の中でもまた種類があるらしいが…。
「……じゃぁ、異能訓練学校に行きたい」
「学校って…12歳にならないといけないぞ」
知っている。この世界では、12歳になるとほぼ成人扱いで、学校に行く権利を与えられる。ちなみに13歳で成人だ。そして、アルマ姉さんは11歳である。
「アルマ姉さんは何になりたいの?」
自分の話はうんざりしたのでアルマ姉さんに話を振る。すると、アルマ姉さんは夢見る少女のような(少女だが)表情をして言うのだ。
「お嫁さん…!」
「アルマがお嫁さんなんて…なんて可愛らしいんでしょう…!」
お母さんもまた同じような顔をしてうっとりする。
…聞くんじゃなかったな…この世で1番恐ろしいのは多分遺伝なのかもしれない……。




