生まれ変わるよ
ある村に、1人の女がいました。
女には、年の離れた兄と妹がいました。
兄はそれなりに優秀で、周りの人に恵まれていました。
兄は機械を作る工場に就職し、彼女もできて幸せそうでした。
妹は優秀で、美術が好きでした。
家族に褒められ、すくすくと育っていきました。
女は、そんなふたりに挟まれて、とても苦痛を感じていました。
私だって美術がしたかったのに、あの時は、ダメだといわれたから。
そう、女は親の言う通りにしか動けないのです。
何をするにも親の確認を取っていた子供時代。
その習慣が抜けきれず、親の言うとおりになりながら生きていました。
そして、気づいたら就職活動する時間になっていました。
あらあら、大変です。
だって、自分の意志で決めたことなんてほとんどないのですから!
親に早く決めなさいと言われる日々。
女はうんざりでした。
そして、女はこの世界からさよならするために、自らの命を絶ったのです。
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そして、新たにひとつの命がどこかの世界で生まれました。
可愛い可愛い男の子です。
上にも下にも兄妹なんていません!
親にも恵まれ、なんて幸せな世界でしょう!
しかし、この世界は少し不思議な世界でした。
魔法が当たり前のように使われる世界だったのです。
男の子には魔法の才能がありませんでした。
何故でしょう。
村一番の魔法使いに占って貰った結果、何かが男の子に絡みついているのが見えるというです。
何でしょう。
男の子は気づきました。
前世で親よりも先に死んでしまった罰だと。