模試監督
一部フィクションが混ざります
本居宣長についてはほとんど、正しいことが書けていません。ごめんなさい
バイトに行くために電車に乗っていると、ふと思った。最強のバイトはこの模試監督バイトなんじゃないかと思った。
もっとも良いバイトは何か。時給、稼ぎやすさ、楽かどうか、楽しいか。バイトのを考える良し悪しの観点はいろいろだ。例えば、塾講師、家庭教師。少し偏差値の高い大学生には大人気のバイトである。理由は何と言ってもその時給の高さだろう。1000を切るなんてところはほとんどなく。1000後半から場所によっては2000円、集団塾だとと4000円5000円なんてところもある。しかし、もちろん、良いことばかりでない。時給がいいと言っても、授業時間外の準備の時間は時給が発生しないことがある。そして、講師として、雇われてもすぐに授業を持てるわけではない。はじめは代講や週一などで働くことになり、なかなか稼ぎづらい。
ほかには、飲食なども大学生に人気だろう。賄いを目当てにする下宿生も多い。多くのバイト仲間が同年代の人で仕事でコミュニケーションをとることも多く、仲良くなれることも多いと聞く。塾講師と違い安定して、シフトが決まり、稼ぎやすい。一方で、時給は安い、忙しいとき。特に、年末年始やゴールデンウイークなどは大変だ。
派遣で、倉庫や工場での作業は、自分のプライベートを考えて、応募でき、時給もそこそこいいが、まったく安定しない。あと、拘束時間が、体力的にしんどく、人と話さず、坦々と地道な作業では病みそうになる。そういうのが苦にならないひとにはいいと思う。
まあまあ、こんな感じで主に、大学生に人気のありそうなバイトを挙げてみたが、もちろん、完璧とは言えないが、僕の思う最も良いバイトはこれから行く、模試監督だと、思う。とやっとこれで冒頭にもどってこれた。
時給は1000円を超えるのにやることで苦に思うことが、なに一つとしてない。いや、あるとしたら、そうですね眠くはなるかなってくらい。
作業内容としては、机の上に受験番号の書かれたカードを置いて、黒板に時間割など連絡事項を書く。試験前後のアナウンス、解答用紙を回収、数えるなどなど。
試験中は、ただ座っているだけでいい。座るのに疲れたら教室の見回りと称して歩ける。
「え~、でも、座ってるだけって、暇やん」
と言われた。しかし、それも……っと、駅に着いたこれから、会場に向かわないと、この続きは、試験時間にでも……
でだ、現在一二時間目の地歴公民の試験が終わり、国語の時間が始まって10分、これから70分座っているだけの時間が待っている。
さて、この時間を暇だと感じるやつはこのバイトの真の良さを引き出せないので、別のバイトを探してください。やることなんていくらでもある。
まず、黒板の字を極める。めっちゃ綺麗に書くということだな。これは、仕事の範疇だし、受験生のためにもなるのでいいと思う。音を立てないように注意しながらチョークを滑らす感覚はなかなかだ。
次に、受験生に対して、いろいろ考えられる。去年はあっち側で頑張ってたなあとか、答案除いて、もうそんなとこ?ああ後ろからやってるのか変な癖だなとか、いっそのことすごく上から目線で、はははっ、ご苦労だなあ、せいぜい足掻け苦しめとか思える。静かな教室で目の前に、座っている100以上の人がいると、ここを仕切っているのは俺だ。と調子に乗ることもできる。
他にも小説のネタを考えたり、なんならちょっと書いたり、男女比や左利きの人の調査をしたりほんとんに色々できる。そうそう、問題を解くというのもなかなかだ。意外とまだできるなあとか、答えなんかも受験生より早く見れる。
と、こんな下らないことを考えていたらもう残り15分だ。10分前には、アナウンスをしなくちゃいけないから準備をっとあれおかしい……。やはりだ。時間が止まっている。時計の秒針が動いていない!電池切れというわけではないようだ。受験生たちをみると案の定、皆シャープペンを持って止まっている。いたずらで一番前の席の子の頬をつついてみたが、反応はない。
教室を少しうろうろして、ドアを開けようとした。しかし、そのドアは固くなで動かない。なるほど、これが先輩の言っていた『ストップ』か。ということは国語か。間違いないこの時間地理の問題には触っていない。やはり文系の問題は調子に乗りすぎたか……。ああ、すまない。説明もしないで。
どこから説明しようか。まあ、はじめに、このバイトだが、この予備校では、一般には募集していない。実は、この予備校の卒業生のみで構成されているのだ。その理由は、信頼できるといううのもあるのだろうが、やはり、学力だろう。模試監督に学力は必要かと聞かれれば、即答でyesと答える。なぜなら、模試の問題を解く必要があるからだ。理由としては、問題の不備を見つけるため。とはいえ、これは強制ではなく、やんわりと推奨されている程度で、余裕があれば解いてみてよって感じだ。
しかし、僕はこれをできるだけ解くようにしている。というのも、解いた問題、文系理系などに応じて
、時給が上がるのだ。
しかし、この問題を解く行為、解いたからには責任が生じる。つまり、正解しないといけない。監督者が間違えていては受験生に示しがつかないのだろう。そして、間違えた場合、罰が与えられるそれが、『スットプ』時間が止まった部屋で正解を導き出さなければならない。正解をそろえられれば、時間は流れ始める。
教卓の上の国語の問題開いた。解いたのは、評論、小説、そして、古文。評論、小説に関しては間違っている気がしない。何度見直しても完璧だ。ああ、どうして、古文なんて手をつけたんだ。いや、ほんとは分かっている。僕はこの『スットプ』を信じていなかったんだ。しかし、実際に時間は止まっていて、こうして、愚痴を言っている間にも、体感の時給はどんどん下がっている。もういい早く古文の問題に取り掛からないと。
古文の問題は、現代語訳3問、理由や状況、心情などの説明が4問、最後に誤文指摘が1問。前の7問は5択、最後は6つの選択肢から2つ選ぶ。だから、選び方は全部で5^7*6C2=1171875通りだ。一つ一つためしていたのでは、時間がかかりすぎる、それに、それは正解したといえるのだろうか。まあどのみちもう一度、自力でやらないといけないだろう。
えーっと、第一問の現代語訳、これは自信がある。というか、これに自信を持てたから解き始めたようなものだ。ここは、覚えていないとどうしようもないのだから。つまり、この先の中身に関するところが問題だろう。まあ、それが一番難しいのですが……
今回の内容は、本居宣長の和歌に関する評論で時代の違う二つの和歌について、批評している、どちらも鹿がテーマだ。センター試験の古文は物語が基本だったはずで、こういったのは、京大の二次試験でよく見る印象だが、去年度のセンター試験で本居宣長の評論が出たから今年の模試はこんな感じのが多いのだろう。物語に戻ったら、どうするつもりなんだろうか。
二つのうち一つは百人一首にも載っている、奥山に~で始まるのだ。僕は結構好きな歌なんだけど、そっちのほうが、手厳しい批判を受けている。なんでだろうとよう見直しているうちに、自分の間違いに気付いた。ああ、なんだ最後には、どちらもそれなりに評価しているのか。といかなんでこいつこんなに偉そうなの?
さて、訂正もしたしこれで、もう大丈夫でしょう。時計を確認すると秒針が、って動いてない!どうして、これでもう完璧のはずじゃ
その後、僕は一時間問題と格闘した。ああでもこうでと、悩んで、最終的に評論の漢字の問題が間違えていた。なんということだ。そんなとこで躓くとは、いや、よく考えれば、実際受けたセンター試験で間違えたのは古文ではなく漢字だったろう。なにを同じことしているのだろうか。
まったくくだらないミスで一時間ただ働きをする羽目になった。これからはもっと慎重に問題を選ぼう。
究極のバイトとは何か。模試監督もこういった苦労があるのか。初めて知った。頭のいい人なら、間違いなく最高のバイトなのだが、難しいなあ
読んでいただきありがとうございます。
時間がたっぷりあるのが模試監督のいいところ、皆さんも是非