お礼じゃないよ?
「一緒にチョコ作ろうよ!」
「えっ、いいけど。……誰にあげるの?」
「えへへー、秘密だよ~」
「えー、教えてくれてもいいじゃん」
「だめー。ヒントはお世話になった人だよ♪」
こ、これは私に作ってくれるパターンだよね!
期待してもいいよね!
「次の土曜日に私の家に来てね~」
作った。
「……これ誰に作ったのって、きくまでもないか」
ハートの形のチョコには『先生ありがとう』の文字がかかれていた。
「顧問の先生にだよー。明後日、学校で一緒に渡そうね!」
その日は落胆したせいで早く眠れた。
次の日の次の日。
「あっ、先生いたー。先生~!」
「どうしたの? あら、チョコ? ありがとね」
「いえいえ~、ふたりで作ったんですよー」
「あらあら、ふたりともありがとうね」
先生に二人揃ってよしよしってしてもらった。
放課後。
「教室にみんな居なくなっちゃったし、そろそろ帰ろーよー」
私のテンションは一昨日から駄々下がり。机に附してうなだれている。
「あー、先にかえってていいよー」
「もー! それじゃあ、だめなの!」
「いいよいいよ、きにしないでー。ははは……」
返事がなくなる。帰っちゃったかな。私は少ししてから顔をあげた。
「……顔近い!」
「チョコ!……作ったよ。一人で作りたかったから。お世話になったとかじゃなくてね。本当に大好きだから」
「……わ、私もだよ! 私も好き」
「違うよ? 私と友達、やめなくちゃだめだよ。それでも、……それでも好きって言ってくれる?」
「も、もちろん! 違くなんてない!」
「…」
涙を流されたら力強く言葉にするしかない。私はそうしたい。
「好き! 大好き! 大好きだから!」
涙を拭き取って、私の前にチョコを差し出した。
「う、受け取ってくれますか?」
半分涙声であるところがまたかわいかった。
「よろこんで!」
近づいてきましたね~