表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/57

いつもの朝

たくさん張りすぎた伏線を回収できるか不安を抱きつつ、また新たな伏線を張ろうかと思います。正直、回収しきれる自信がありません。

 朝。カーテンを開けると、眩しい陽の光が部屋に差し込んでくる。

 外は雲一つない快晴! 

 空気は寒さのせいか、いつもよりも澄んでいる!

 鳥の囀りと共に聞こえてくる、仕事関係のメールの着信音!

 デスクの上に開いて置かれた、スケジュールがびっちり書かれた手帳!

 ああ今日も仕事したくねぇな!


 ベッドに投げつける勢いでパジャマを脱ぎすて、ワイシャツとスラックスを身にまとう。一瞬のノリで選んだネクタイで首を絞めつけ、まだ歯磨きをしていないことを思いだしてネクタイを外す。頭がまだ働いていないようだ。

 自室を出てリビングに向かうと、


「おっはー」


 当たり前のような顔で、神奈がソファに寝転がっていた。


「おはよ」


 俺もその光景を、当たり前のように受け入れてしまっているわけだが。

 テーブルの上には、神奈お手製の朝食が並んでいる。こうやって彼女にご飯を作ってもらうのは、最近よくあることだ。最初のうちは抵抗もあった。なぜなら彼女は、俺の命を狙っているから。だが、「住まわせてもらってるし、これくらいやらせろ」と傲慢な態度でお願いされてしまい、無下に断るのも命に関わる気がするので出来ず、何回か作ってもらっているうちに警戒心は無くなっていた。毒を盛られたことも無いし、むしろ普通に美味しいし。だから俺は今日も、殺し屋の作ってくれた無毒で美味な朝食を、有り難く頂くことにした。


「神奈、さっきから何を見てるんだ?」


 食べながら、ソファで寝転がりつつ携帯端末を見つめる彼女に、そう尋ねる。


「お前の会社のサイト」

「公式ホームページか? 何で急に」

「いや、公式じゃない。会社の社員の中でも限られた人しか見られない、裏サイトだよ」

「それをどうして神奈が見られているのかも気になるが、それ以前にそんなサイトがあったのか」

「社長のくせに知らないんだ」

「うっ。面目ない」

「仕事への不満だとか、人間関係の愚痴なんかが主な内容みたい。刻也の悪口とか、刻也が加担した、公になったらまずい不祥事とかを探していたんだけど」

「性根が腐ってるよな、お前」

「でも、このサイト内でもお前の評判は良いよ。『社長は目の保養』『仕事もできて気遣いもできる完璧な社長』『挨拶にも必ず笑顔で返してくれる。その笑顔に見悶えた』とかとか、つまんねーわ。お前が書いてるのかってくらい、褒め言葉しか載ってないじゃん」

「さすが俺。外面の良さには定評があるからな」

「内面ひどいのにな」

「お前もな」

「つまんねーから、刻也がくしゃみをする直前の不細工な写真を載せておいた」

「お前……!」

「でもその写真を見た社員たちは、『社長のいつもと違う素の顔が見られた、ありがとう』『ちょっと抜けた顔も可愛い、最高です』『この写真を拡大印刷して売ってくれませんか、お願いします』ってリアクションで白けたわ」

「大丈夫かな、うちの社員……」

「悔しいから、写真を拡大印刷して売ってやったぜ」

「ちゃっかり稼ぐんじゃねぇよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ