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もすうるしゃーの祟り

「ワン望愛泰夢への襲撃のときに、必ず言い残す言葉があったでしょ?」

「もすうるしゃーの祟り、ですか?」

「それ、どういう意味?」


 すると、囚人服姿の構成員が答える。


「その言葉は、ワン望愛泰夢への嫌がらせを始める前夜、みんなで話し合って考えたものなんですよ」




――某日。


「今話した通り お前らにはこれから、ワン望愛泰夢に嫌がらせをしてもらう。猿飛組長直々のご命令だ。しっかりと役目を果たせ」

「リーダー、嫌がらせってつまり、襲撃ってことですか?」

「それもあるな。具体的な方法はこちらに任せてくださるそうだが、猿飛組長はあえて嫌がらせと仰った。つまり、襲撃だけに留まらずにもっと多くを望まれているということだろう」

「なるほど。じゃあ例えば、ワン望愛泰夢の拠点に犬のフンを置くとか?」

「それも良いかもな」

「ワン望愛泰夢の拠点のトイレに、トイレットペーパーの代わりにヤスリを仕掛けておくとか?」

「それも有りだ」

「じゃあじゃあ、ワン望愛泰夢の拠点にあるペットボトル用のゴミ箱から、せっかく分けたキャップとボトルとラベルを取り出して、すべて一緒のゴミ箱にまとめてしまうのは?」

「お前……。なかなかの悪党だな」

「えへへ」

「方法は各々に任せる。ただし、猿山組(うえ)猿怒冷酸(私たち)に迷惑を掛けない範囲でやるようにな」

『了解』

「リーダー」

「どうした、英司」

「その嫌がらせをしたあとに、何か言葉を残すとカッコよくないですか? えっと……負け犬の遠吠え、でしたっけ」

「キメ台詞のことか? 確かにそれは良い案だ」

「猿飛組長からのご命令だから、組長に関するキメ台詞が良いっすかねぇ」

「『猿飛組長のかたき』とか?」

「バカ英司、組長を勝手に殺すな」

「それなら次郎さんは、何が良いと思いますか?」

「んー……。『猿飛組長の祟り』とか? 敵と祟りって、響き似てるだろ」

「でもよぉ、組長の名前出すと、もしワン望愛泰夢が報復とか考えやがったとき、組長が狙われるんじゃね?」

「じゃあ、組長の名前は出さない方が良いですね」

「組長から連想される言葉を、キメ台詞に入れるか。おめぇら、組長と言えば何だ?」

「かっこいい」

「喧嘩強い」

「SMプレイ」

「金髪が素敵」

「煙草が似合う」

「お腹がゆるい」

「口内炎に悩まされている」

「ん? リーダー、口内炎って?」

「組長、最近は口内炎が痛くて大変だそうだ」

「そうなんですか。口内炎は100個出来ると死に至る、恐ろしいものですからね」

「それ迷信じゃねぇっけ」

「なぁなぁ、キメ台詞に英語を混ぜたらカッコ良くないか?」

「おお! いいね!」

「待って。今ケータイで、口内炎を英語にすると何ていうのか調べるから」

「どうして口内炎を採用したんだ」

「あー……出てきたけど。これ、何て読むんだ? 『mouth ulcer』だとさ」

「も、もうす、う、う……? ダメだ分からん。リーダー、分かりますか?」

「小学校中退の英語力をなめるな。アルファベットも怪しいくらいだ」

「リーダー……」

「次郎さん英語得意でしたよね?」

「ああ。I,My,Me,Mine! He,His,Him,His!」

「それは何かの呪文か?」

「リーダー、これにはちゃんと意味があるんですよ。忘れましたけど」

「なら、これは何て読むんですか?」

「これはあれだよ。えっと……も、もう、もう……待てよ、ど忘れしたな」

「とか言って、読めないんじゃないですか?」

「おいバカおい、英司のくせにオレのことバカにしてんのかバカ。あー思い出した、これは『もすうるしゃー』って読むんだよ」

「『もすうるしゃー』か。カッコいいじゃん」

「ならキメ台詞は、『もすうるしゃーの祟り』とかどうですかね、リーダー」

「ああ、それで行こう。私たちは英語を使える天才集団だと、ワン望愛泰夢に思われるかもしれないな」


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