本題
まぁ良いや。ところで……えっと。今日アタシは、何をしに来たんだっけ?
「で、話っていうのは?」
豚からの質問で、ここに来た目的を思い出した。
「狗藤組に贔屓にされているアタシが来たんだ。思い当たる節くらいあるでしょ? 胸に手を当てて考えれば分かることだよ」
「殺し屋の胸に手を当てて考えれば良いのか」
「そこのセーラー服とだけは、話し合いじゃなくて殺し合いをお願いしたいんだけど」
真顔でアタシの胸元に手を近づけてきた、セーラー服の構成員を睨みつつ、心からそう提案した。
「うちのバカ英司がバカなのはいつものことだ。無視してくれ」
警察官の構成員は慣れた動きで、セーラー服の腕を捻りあげる。
「殺し屋が話したい内容は、だいたい分かります。ワン望愛泰夢に対する、最近の私たちの行動に関してですね」
「うん、その通り。色々と、嫌がらせをしているらしいじゃん」
「ええ」
「単刀直入に言うけど、それやめてほしいの」
「…………」
豚は静かに考え込んだ。
「もしかして、単刀直入の意味が分からなかった?」
「私はそんなアホな理由で黙ったわけではありません」
アホには違いないと思うんだけどなぁ。
「この前、狗藤組と猿山組が抗争を起こしたばかりだ。そんな時にこういうことをするなんて、命知らずにも程があるよ」
「心に染み入るようなお気遣い、感謝します」
1ミリもそんなこと思っていないだろうに、嫌味ったらしく返されてしまった。
「ですがこれは、私たちと、そして猿山組の名誉を護るために行っていること。あなた方に何を言われようと、止めるつもりはありません」
「つまり、お前らの意思と言うよりは、猿山組の意思で始めたことなんだな」
「猿山組の意思は、私たちの意思でもあります」
「どっちでも良いけどさ。本当に止めた方が良いと思うよ。狗藤組を敵に回すと面倒だ」
「そう思いますか」
「そう思うよ」
「どうしてそう思うんですか」
「え?」
どうしてって、それは。
「あなたが、狗藤組を敵に回したことがあるからですか?」




