表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/57

どうしてこんなことに・・・・・・

ここ最近 登場していなかった神奈が、やっと働きます。念のため、今一度確認しておきますが、彼女は殺し屋です。決して女王様ではありません。

「……うん、仕事。殺し屋の。……出来る限りとっとと仕事終わらせて帰ってあげるから、すき焼き用意して待ってて。……はいはい、んじゃまたね」


 電話の向こうで、まだ何か喚いている刻也の声を無視して、アタシは電話を切った。コートのポケットに通信端末をしまい、一呼吸おく。

 さてと、


「どうしてこうなったんだろう」


 電話から現実へと意識を戻したあと、湧き出た疑問が思わず声に出ていた。

 落ち着いて、今自分が置かれている状況を確認してみようか。アタシは現在、廃業となった遊園地の園内にいる。規模はやや小さいものの、観覧車やジェットコースター、メリーゴーランドにコーヒーカップと、定番の遊具が並ぶ。それらの電飾が眩しいくらいに光っていて、夜だというのにとても明るくて目が痛い。

 廃業しているのに遊具が動いているのは、とある組織がここを買い取って、四六時中稼働させているからだ。そんな、余程の金持ちか能天気が考えるようなことを実行しているのが、暴力団組織猿山組さるやまぐみである。そしてここは、そんな能天気の傘下にいる不良グループ、猿怒冷酸えんどれすの溜まり場。

 見渡す限り、アタシ以外誰もいないみたいだけど、昼間はあのメリーゴーランドやらジェットコースターやらで 猿怒冷酸 の構成員は遊んでいるらしい。アイツらの頭の中は年中お花畑なんだろうな。

 今日ここに来たのは、もちろん遊びに来たわけではなく、仕事をしに来たのだ。3日前に、暴力団組織狗藤組くどうぐみの組長から依頼された仕事。それの為に来たのだから、ここに居ること自体は何も不思議なことはない。じゃあ何で疑問が浮かぶのか。それは、ここまでアタシが目を背けてきた現在の状況にある。

 

 より詳しく言えば、アタシの服装。もっと言えば、まるでSMプレイでも始めるかのような、女王様のコスプレをしている現在の自分。羽織っているコートの下に、エナメル生地の黒光りしたワンピースを身に着け、手には大きなローソクとムチ。


「どうしてこんなことに……」


 もう帰りたくなってきた。恥ずかしいし、すごく寒い。アタシがこんな格好になっているのは、狗藤組のせいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ