青の国の病院事情と夏の国に関しての報告①
私は、青の国に来ています。・・・ただし、おかしなことがあります。黄の王様や今まで見た書物に書かれていた青の国とは大きく違うようです。
どこだか分かりませんが、ここは大きなお花畑です。少し先には大きな川が流れています。
「おや?」
川の対岸に、見た覚えのある顔が見えました。あれは、私が幼い時に亡くなった、お爺さんとお婆さんではありませんか。私は懐かしい気持ちになりました。
「おーい!おじいさーん!おばあさーん!」
私は駆け寄ります。しかし、お爺さんとお婆さんは、互いに顔を見合わせると、あきれた顔でため息をつきました。
そして、互いに手をスナップさせます。つまりあれです。シッシッ。っていう、動物とかを追い払う奴です。
可愛い孫娘に対して何とひどいことでしょう。私は文句の一つでも言ってやろうと走ろうとします。
が、足は中々進みません。次第に重くなり、私は意識が無くなっていきます。
「う、うーん・・・」
目を覚ますと、ベッドに寝ていました。ただし、見慣れぬ天井でした。耳を澄ませると波の音が聞こえます。
どうやら、ここは病院のようでした。私は、いったいどうしてこんなことになったのか記憶を辿ります。
秋の女王様との食事会が終わって、私は頭を抱えました。問題は解決からどんどん、遠のいているような気がします。
「どうしたの?頭を抱えて」
秋の女王様が、顔を覗き込みます。
「・・・いいえ、もう考えるのが辛くて。今日はもう休みたいのですが」
「あらそう?じゃあ、あの部屋を使ってちょうだい。」
「はい、ありがとうございます。では・・・」
ガチャ
「えっ!?」
「わっ!?どこから来たのかね?君」
目の前には見慣れた裁判所、黄の国の王室が見えました。王様が目を丸くしています。
魔法か何か知りませんが、どうやら王城まで飛ばされたようでした。秋の女王様、意外と雑でした。
「その様子だと、秋の女王様と、出会うことはできたようだね」
「は、はぁ・・・。まぁ・・・」
疲れてはいますが、報告はしなければいけません。しょうがなく、秋の女王様と話した内容を報告します。
「―――と、言うわけです。私の汗と血の結晶のような情報ですので大切にしてください」
「ふむ、青の国の夏の女王様か・・・。ふむ、しかし信憑性はあるぞ、外交員殿」
「そうなのですか?信憑性、あります?」
「王になるものにだけ、伝えられる情報だ。どうも情報によると、青の国の国民達は服もまともに着ないそうだ。野蛮極まりない。そうは思えないかね?」
「は、はぁ・・・。服を着ないで風邪をひかないのか気になりますけど」
「野蛮な青の国のことだ。夏が良いからと言って夏の女王様を監禁しているのかもしれん」
「い、いや・・・。秋の女王様に強制的にこの城まで飛ばされた、人間として言わせてもらえば。女王様達を我々がどうこうできるものでは無いと思うのですが・・・」
「なんにせよ。青の国に問題があることは間違いないだろう」
「そうですかね、私は女王様に問題がある説を押したいのですが・・・」
「とりあえず、青の国には何かしらのアプローチをしなければなるまい」
ここです、ここの発言が大事です。念を押しておかなければ。
「えー、コホン。王様?秋の女王様から伝言がありまして」
「ん?なんだね」
「えーとですね。青の国に行かせる人なのですが―――」「王様!王様!!」
突然、王室に兵隊さんがやってきました。
「なんだね!?今は大切な話をしているのだ!」
「秋の女王様からの手紙です!!女王様の伝書鳥が届けにきました!」
「何!?早く渡しなさい!」
そう言うと、手紙をつかみ取り内容を読み始めました。
「お、王様・・・。あのですね・・・・・・。もし青の国に行くのでしたら、自分の国の人をですね・・・」
王様はちらりと私を見ると手紙を渡してきました。
「ま、まさか・・・」
私は手紙を受け取ります。そこには、悪魔の言葉が乗っていました。
※P.S. 青の国には例の外交員さんを行かせるのが良いと思うわ。色々手伝ってあげてね。
「あ、あの・・・・・・。王様?」
王様は威厳ある顔で言いました。
「任せなさい、君の旅は我が国を上げて支援しよう」
「あ、はい・・・」
どうも、逃げられそうにありませんでした。