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四か国の需要と供給に関しての報告

 お城に戻ると、蒸気式の戦車に乗った兵隊さんたちが押し寄せていました。聞くところによると進行中に猛吹雪に会い、やむなく戻ってきたとのことでした。凍える兵隊さんたちの中心にいる王様に、私は先ほど女王様の塔で起きたことを説明しました。そして、例の地図を渡しました。

 王様は悩んでいましたが、まだ元気な兵士に指示をして薪を採りに行かせました。女王様が言った通り、この薪はしっかり火がついて兵隊さんたちを暖めました。

 私は、改めて王様に進行を止めてくれるように頼みました。

「王様・・・。お願いします」

「一週間だ・・・。節約しても薪の消費量から考えればそれ以上は待てない」

「・・・分かりました。ありがとうございます」




『赤の国の病気と白の国の浄水器』


 準備に丸一日かかってしまいましたが、私は女王様に言われたものを集めて、赤の国に向かいました。正直なんでこの状況をどうにかできるのが私なのか分かりませんが、何もしないわけには行きません。

フワフワ。ボフン!

無事に到着して一安心、と思いきや馬の蹄の音がします。赤の国の兵隊さんでしょうか。せめて話を聞いてくれればいいのですが・・・・・・。

ヒヒーン。馬が私の前で止まります。

「!?」

 私はぎょっとしてしまいました。だって馬に跨ったその人はこの国の戦争のための装備なのか革製のマスクのようなものを付けていたのです。私は思わず護身用の銃に手をのばします。

「待て・・・。儂だ」

「えっ」

 そう言いながら、マスクを取ったのは元王様でした。

「待っておった・・・。会いたかったぞ」

「え、どうも。でも、そんな泣かなくても」

 元国王様は、涙を流しています。それに鼻水も出ています。

「そんな私との再会がうれしかったのですか」

「ち、違う・・・。ずずっ・・・。はやり病のようなもので・・・とりあえず、ヘリポポに乗って誰かがこちらに来るのが見えたので迎えに来ただけだ。着いてきてほしい」

「はぁ」

 元王様はマスクをつけてお城に向かいました。私も二輪車でついていきます。赤の国の様子は昨日とは大きく変わっていました。外にいる人達はみんなマスクを着けています。

 

私は、お城に招かれました。今度は正面からです。王様の部屋まで案内されて入ります。目の前には王様がいました。マスクはしていますが私が入ってきたのを見てマスクを取りました。王様は言います。

「・・・まず、謝罪しよう。いきなり捕まえようとしたり、流石に礼儀を欠いておった。先日は戦争をする、ということで私を含めて兵士が皆、気が立っておったのだ」

「はぁ・・・。でも、泣いて謝罪しなくてもいいですよ」

「こ、これは違う。ハックシュン!!」

 そう言うと王様は大きなくしゃみをしました。



 その後、話を聞くとこの症状は、もともと、この国の国民病のようなものとのことでした。しかし、私が白の国に行ってから今まででは、あり得ない、スピードと症状の重さで全国民の方に広まったとのこと。

 また、白の国の塔が無くなったのとほぼ同時期に、赤の国の塔と春の女王様も消えてしまったとのことでした。

「原因は花の花粉とのことだが、我が国は花によって支えられている、と言っても過言ではない。どうすればいいのか・・・。幸い、食料はまだ持つが、戦争どころでは無くなった。このままではこの国は滅びることになるだろう。ヘッキュイション!!」

「なんだか、大変そうですね・・・」

 しかし、私は医者ではありません。どうすればいいのか見当もつきません。大体、冬の女王様が持って行けと言った物も医療器具ではないのです。考えている内に私は、のどが渇いていることに気が付きました。

「あの、真面目なお話し中に申し訳ありませんが。お水を一杯いただいても」

「あぁ、構わんよ。おい!誰か!」



「いやはや、すみません」ゴクリ

 お水にはわずかに味が付いているようでした。

「なんか甘フェックシュン!」

 今までの人生で出たことの無いような大きなクシャミが出ました。

「ずずっ。な、なんなんですか!?この水!?」

「すまんな・・・。水に花粉が溶け込んでしまっているのだ・・・。それが原因なんだが。水を飲まずには生きていけない。我々はどうしようもないのだ。クシュン!!ずずっ」

 その話を聞いて、私は持ってきた道具のことを思い出しました。



 私は、円柱型の道具を王様に見せます。

「それは?」

「白の国の浄水器です。城の国では冬は主に雪を溶かして水にするのですが、土や空気中のホコリで汚れているのでこの機械でろ過してから使うんです」

「どうやって使うのだ?」

「こうやって水を入れてですね・・・」コポポポ

 私は浄水器に水を入れます。

「下に水がたまるので飲むだけなんですが」

 ゴクリ

「あ、おいしい。・・・おや?」

 周りを見ると赤の国の王様と臣下の方たちが口を開けていました。

「し信じられんが。これはあれか?白の国の技術の結晶ということか」

「いや別に・・・。どこの家にも一台はあるし、子供が遊びで作ったりするレベルの技術ですよ」

「・・・・・・た、試しに飲んでみるとしよう」

 と、言うことで王様をはじめとして、城の人たちが浄水器でろ過した水を飲んだのでした。

 ―――大変だったのはその後です。



 夜になり、私は王様に呼ばれました。ちなみに、王様はマスクをしていません。私が王様の前に進むと王様は立ち上がりました。そして、深々と私に対して頭を下げたのです。

「この国に住むもの、全ての代表として例を言いたい。ありがとう、白の国の外交員よ」

「いえ・・・恐縮です」

 ろ過した水でうがいや洗濯、料理をすることでこの国の人たちの症状は大変落ちついたとのことでした。正直、私はただ、運んだだけなのであまり感謝されすぎると逆に恐縮してしまいます。

「礼をしたいと思っているのだ。・・・金貨を好きなだけ持っていって欲しい」

 私は考えます。

「いいえ、王様。金貨などいりませんわ」

「褒美はいらないということか?それはさすがに・・・」

「いえ、金貨では無く、宝石で下さい。持ち運びに便利だし、気に入ったら自分でつけても良いし」

 せっかく、ご褒美をくれるというのにそれを断るのは逆に失礼でしょう。たとえただ運んだだけだとしても、私の成果であることは間違いがありません。私は自分に正直に生きるのです。

「・・・ま、まぁ。いいだろう。おい宝石庫から―――――」

「王様?」

 王様は急に止まってしまいました。まるで、時間が止まったようです。気が付けばこの部屋にいる私以外の人は止まってしまっています。

 

と、目の端に赤いきれいなドレスとピンクの美しい髪が見えました。

「春の女王様!?」

 春の女王様は私の顔を見るとクスリと笑いました。そして、私に近づくと私の手に何かを握らせました。

 春の女王様は何も言わずに踵を返すと私から離れていきます。そして、気が付けば消えていました。


「外交員殿?」

 王様が私の顔を覗き込んでいます。

「はい?」

 私は、先ほどのことに、頭がまだついていっていませんでした。王様は、宝石の入った箱を私に差し出します。

「この宝石箱を授けよう。どう使うかは自由だが、この国の至宝でな・・・。大切にしてくれたまえ」

 私は宝石箱を受け取りたい気持ちを何とか押しとどめます。そして、王様に先ほど春の女王様から渡されたものを差し出しました。

「王様、宝石はキャンセルします。これをできるだけ沢山いただきたいのですが」

「構わんが・・・。こんなものは、庭に捨てるほど落ちているし」

 私は、お城に人たちに手伝ってもらい、荷物を一杯にして青の国を目指しました。




『青の国の建物と赤の国の種』

 

私は赤の国を出るとまっすぐ青の国を目指しました。今回は鉄炭を十分に持ってきているので予想より早く着きました。

青の国は私が滞在した時と随分様子が変わっていました。大きな木製の柵が出来ており、槍を持った門番さんが立っています。ただ、門番さんはひどく疲れている様子でした。

「あの~。すみません」

 私は門番さんに話しかけます。

「なんだ?・・・君は確か」

「白の国の外交員です。あの、王様に会いたいのですが・・・」

「あぁ、入ってくれ。最も、王宮はもうないがな」

「王宮が無い?それってどういうことですか?」

「どうもこうもないさ。取りあえず行ってみると良い」

「はぁ」

 私は、二輪車を進ませます。異変にはすぐに気が付きました。青の国は大きな海が印象的な国ではありましたが、海の近くには小さいながら森もありました。その森が、伐採された様子でした。

さらに、多くの建物が跡形もなく無くなっています。私がお世話になった病院も無くなっていました。

「何者だ!?」

 私は振り向きました。そこには、この国の王様がいました。しかし、以前の力にあふれた威厳はありません。ひどく疲れている様子です。王様は私だと分かると構えていた槍を下ろしました。

「君か・・・」

「王様、これは一体どういうことですか?なんで森と建物が・・・」

「そうだな・・・、説明はしなければならないな・・・。着いてきてくれ」

 そういう王様に着いていくと、多くのテントが張られた広場に着きました。王様は一番大きなテントに私を招き入れました。その中で王様は話を始めました。


「君が赤の国に旅立った直後のことだ。国民から赤の国を攻めるべきだという意見があがった」

「馬鹿なことを・・・なんでそんな・・・」

「ふむ、誰が悪いわけでは無い。儂は開戦を決めた。しかし、戦うには武器がいる。そのために、サーフボードや森の木々を伐採した。夏の木々は加工が難しいと説明したが武器を作らない訳にはいかなくてな・・・。愚かなことをしたと思っておる」

「それで、なぜ家までが無くなっているのですか?」

「・・・この国を津波が襲った。いままで最大のものがな。国民に被害は出なかった。しかし、森の木々を伐採してしまったことで被害は大きくなった。木々は津波を押しとどめてくれるのだ。我々に残ったのは、簡素な槍と住処を失った国民たちだ」

「そんな・・・。なんか方法は無いのですか?」

「我々も策を考えてきた。しかし、どうしようもない。夏の女王様は塔と共に消えてしまった。学者の予測では、今晩再び大きな津波が来るということだ。この国を飲み込むほどのな。この国の者たちはそれを受け入れるつもりだ。・・・きっと罰があたったのだ。儂も覚悟をきめた。・・・・・・一晩で森が再生すれば話は別だが」

 王様は、ため息をつきました。

「えっ!?一晩で森を?」

「あぁ、魔法でもないと不可能だ」

「で、できます!できますよ!」

「えっ!?一晩で森をか!?」

 私は、カバンに詰め込んだ赤の国の種を王様に見せたのでした。

 

 数時間後、私から説明を受けた王様は、国中から人手を集めさせました。

 

 そしてさらに、数時間後。学者さんの予想通りこの国を巨大な津波が襲いました。しかし、津波は砂浜に再生された木々が受け止めます。青の国は、守られたのです。



 国民たちの歓喜の中、先ほどの広場でお祝いが開かれていました。王様はその席で私をその中央に呼ぶと頭を下げて言いました。

「感謝する。外交員殿。貴方はこの国の救世主だ。あの種は君たちの国のものなのか?」

「え?いえいえ。言っていませんでしたか?赤の国の物ですよ」

 ザワザワと、国民の人たちから声が上がります。赤の国、との言葉に反応したようでした。

「そうか・・・あの国のものか」

 私が持ってきた種は、赤の国ではよく生える種類の木と言うことでした。特徴はどのような環境でも決まった量の水分があれば、どんなところでも数時間で決まった大きさまで成長することと、一年ほどですぐに枯れてしまうことだそうです。赤の国ではあまり使用しない木々とのことでした。

「なんにせよ。君には礼をしなければならんだろう。用意できる物には限りがあるが、何か希望はあるかね」

 王様は尋ねます。

「そうですねぇ・・・!?」

 私は背中に視線を感じて振り向きます。国民の中に見知った顔がありました。夏の女王様です。女王様は確かにそこにいるはずなのに、国民の方は誰も気が付きません。

 女王様は、テーブルに乗っていた小瓶を一つ指さすと。私に微笑みかけます。そして、ゆっくりと消えていくのでした。

「外交員殿?何を見ているのかね?もし希望が無ければ、この真珠を送ろう。この国の歴史で最大のものだ」

 そう言って王様は美しく巨大な真珠を差し出しました。私は受け取りたいのを押さえて言いました。

「あの・・・王様。この小瓶の中身をできるだけ沢山、いただきたいのですが」

「別に構わないが・・・。作ろうと思えば一日で作れるものだ。用意をさせよう」

 次の日、私は、荷物をいっぱいして青の国を後にしたのでした。




『黄の国の食料と青の国の調味料』

 

 私は、黄の国に到着しました。一見すると黄の国に異常は無いようでした。私は最初に来た時と同じように門に到着します。しかし、門兵さんは立っていませんでした。私は門に隣接している小屋を訪ねます。

「す、すみませーん。あの・・・。きゃあ!!」

 小屋には人が倒れていました。

「し、死んでる・・・」

「死んではいない・・・。君か」

 門兵さんはゆっくりと起き上がりました。顔色は悪くとても痩せた印象です。

「あの、王様に会いたいのですが。できれば、またペガサスに乗せて運んでいただけると・・・」

「悪いがそれは、できない。この国は壊滅の危機なのだ。それは、この国の国民と動物たちの危機と言うことだ・・・。まともに動ける獣たちも、人間も限られている・・・。門は開けるから一人で行ってくれ」

「はい・・・。いや、やっぱりあなたも連れていきます。明らかに具合が悪そうじゃないですか!」

「まだ、これでもましな方なんだがな・・・。悪いね」

 

 私は荷台に門兵さんを乗せて、お城に向かいました。門兵さんが言うように、国には人も動物たちもいませんでした。聞くところによると、病院や自宅で皆さん休んでいるとのことでした。

 私は、門番さんをお城の休憩室に案内した後、具合の悪そうな召使の方に連れられ王様の寝室に入りました。 

 ベッドには顔色の悪い王様が寝ていました。私に気が付いて起き上がります。

「大丈夫ですか!?この国に病気が流行っているようですが!?」

 王様はだるそうに答えました。

「・・・病気か。正確には食中毒と言うのが正しいな」

「食中毒ですか?」

「ふむ、どういうわけか今まで大丈夫だったキノコ、野菜、動物の肉に至るまで。ほとんどの食品に毒が生成されてしまっているのだ。何とか、備蓄の食料でつないでいるが」

「そんな馬鹿なことが」

「・・・しかしな、外交員殿。儂は原因を知っておる。罰なのだ、君が旅立って結局進展はなかった。我慢できずにな、青の国を攻めることを決めてしまった。そして、気が付けば秋の女王様と塔は消えた。そして、国中に食中毒が流行りきっていた。と言うことだ。儂は王失格だな」

「何か方法は無いのですか?」

「医者、植物学者、動物学者、薬剤師、漢方師、料理人・・・。この国のありとあらゆる職業の者に対策を考えさせた。しかし、ダメだった。我々は、毒のある食べ物を食べない様にしてきたことはあっても、それをわざわざ解毒しようとしたことは無いのだ」

「食品の・・・解毒ですか」

「まぁ、そんなことをする者などいないか・・・。外交員殿も悪いが食事を用意することもできん。できれば、この国から早く出た方が良い・・・。どうかしたのか?」

「黄の王様。方法が、あるのかもしれません」

私は、青の国の王様の話を思い出していました。



「フグジラ。と呼んでいるのだがな」

 そう言って青の国の王様から差し出されたのは、美味しそうなお肉でした。

「まぁ、美味しそうですね。食べていいので?」

「いや、そのままでは毒がある」

「えっ!?・・・これは嫌がらせで?」

「最後まで話を聞きなさい。毒があるがこの魚は大きく、様々な用途がある。油もとれるし、骨は様々な道具に加工される。しかし、肉を捨てることがもったいないと頭を抱えていた。味は美味なので命がけで食べる者もいたしな」

「すごい根性ですね」

「様々な方法を試した、地面に埋める。食べられる部位を探す。結局、海水を特殊な方法で加工し、塩を作る、その塩に解毒作用があることが分かり。こうしておいしく食べられることになったのだ」

 そう言うと青の王様は塩をかけてお肉にかぶりつきました。



 数時間後、黄の国のお城ではすべての部屋を解放して。食事会が開かれました。私が青の国から持ってきた塩が黄の国の食中毒にも有効だと分かったのです。王様は、全国民に塩を配った上に、大々的な食料の配給を行ったのです。それが、どういうわけか食事会になったのですが。

「そうか・・・。青の国が」

 王様は、この塩が青の国のものだと知ると少し考え込んでしまいました。

「もし、我々が攻め込んでいたら。その塩を作る技術も無くなっていたのかもしれんな」

「まぁ、可能性としてはあったのかもしれませんね」

「何はともあれ、君には褒美を差し上げよう」

 私は貰うものを決めていました。

「では、薪を。木材をできる限り分けていただきたいのです」

 白の国に現在最も必要なものです。

「木?・・・申し訳ないがそれはできない」

「な、何でですか!?」

「この国は、毎年伐採する木々の量を決めている。それを破れば動物たちの環境を壊してしまうからだ」

「で、でも・・・」

「本当にすまない」

 そう言って王様は頭を下げました。

「で、でも・・・!?」

 頭を下げた王様の先に、見たことのある顔が見えました。秋の女王様です。女王様は赤い動物の毛を持って微笑むと一瞬で消えてしまいました。

「木以外のものであれば、なんでも差し上げよう。宝石でも金でも、この国の畑や土地の権利でもいい」

 私は言いました。

「土地も宝石もいりません。王様、この国に赤い毛の動物はいませんか。その毛をいただきたいのですが・・・」

「赤い動物?いるにはいるが・・・。でも、彼らの毛は何の役にも立たないぞ。むしろ危険なものだ」

「でも、おそらくそれがわが国には何よりも必要なものだと思うのです」

 私は、赤い毛を大量に持って白の国に戻ることにしました。




『白の国の暖房器具と黄の国の毛』


「それが、この毛か・・・」

 白の国のお城で、王様は私が黄の国から貰ってきた毛をまじまじと見ながら呟きました。お城の外は雪が降っていますが、お城の中暖かくてむしろ暑いくらいです。

「ヒヒツジ。と言われるそうです。非常に燃えやすく、長い期間燃える素材のようで、黄の国では危険な物として処理されています」

「しかし・・・。我が国の鉄と蒸気技術を使えば」

「はい、この通りです」

 現在、この部屋を暖めているのはヒヒツジの毛を使用した暖房器具でした。

「しかし、ヒヒツジは黄の国だからこそ。繁殖しているそうです。何回も絶滅の危機になったのを、黄の国の方たちが保護することに決めたそうで」

「・・・そうか。なんにせよこの国の危機は去ったわけだな」

「いや、王様、まだ問題が・・・」

「分かっている。季節の女王様が消えたが季節が巡る気配はない。どちらにせよこのままでは」

「王様、まさかまた黄の国を・・・」

「いや、そんなことはせん。外交員、もう一仕事頼みたい。良いか?」

「はい、それが戦争を避ける方法なのでしたら」

「ふむ」

「さらに、追加で特別賞与がもらえるのでしたら」

「・・・ははは。君は本当にすごいよ」

 王様は、疲れながらも柔らかい表情で笑いました。

 


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