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小説に関する思慮エッセイ集~殴り書き録~

私が普段、小説を書くときに扱っている演出について。

 今回は私が普段書く小説の中で使っています演出を、自分の中で体系的にまとめてみたものをあげてみました。何かの参考になれば幸いでございます。



多重構造・対比構造


多重構造というのは、物語に二面性を持たせるというものです。登場人物を、ある感情や概念を擬人化したものとして描いたり、舞台を象徴として用いたり、暗喩を加えたり。そうすることでひとつのエピソードに、もうひとつの側面を付け加えます。表面上の物語と、その水面下で進行する物語。前者には、純愛だったり、悲恋だったり、アクションだったり、バトルだったり、分りやすいものを。でも後者はできれば、社会批判や、死生観、愛することとは何なのかという教訓めいたものにしたいです。


そして、対比構造。これは多重構造をさらに深くさせるのに必要不可欠であると考えております。いわば、物語の中で対立する概念や、感情を擬人化させて動かして、ぶつかり合わせることで、読者への疑問提起。ディベートのようなものを物語の中で進行させるのです。このような要素は、一回だけじゃなく、二回、三回と読み返すうちにスルメのように沁みだしていくものにしたいです。


伏線と、その回収


続いて、伏線について。私は伏線は最初からすべてばら撒いた状態で、回収していく形が最も望ましいと考えております。読者のために、展開に必要な舞台や小道具は、あらかじめ用意されているべきだと考えています。大変難しいですが……。「答えは全て冒頭に書いてある」という形式を目指したいです。後付けや、小出しの回収は極力避けたいです。完璧にできていることは、自分でもないですけど、できるだけそれを目指したいです。改めて考えたときに、すべての展開に意味があり、演出上の意図もある。すべてに納得がいくというものにしたいです。



フィードバック


これは私の使っている演出のひとつです。展開を転がすときに、自分の想定する読者フィルターをかますというものです。地の文や台詞が、読者に「その後の展開をどう予想させるか」を操作できるようにし、構想の中に「読者が予想するであろう展開」を組み込む。これは予定調和な王道な物語を書く際も、奇抜な展開で読者の裏を掻く際も使えます。私は主に、前者で使っています。


はっきり言って、私が書く物語なんて、予定調和で王道だらけです。

誰もがその後の展開を読めてしまうものだと思って書いています。

でもそれが、私は悪いこととは思ってないです。読者に予想が出来た上で、演出で勝負したいというのが私の意志です。ですので、今後も使い古されて、オリジナリティの欠片もない展開の話を書いていきます。私の書き方のスタイルである、ストラテジーを組むというのは、ミステリーだとか推理作品向きであるとも言われますが。私のこのスタンスは、ミステリーや推理作品にはある意味向いてないのかもしれません。


でも、ミステリーや推理作品も、展開が予想できないことが全てではないので、設定や構想が思いついたらチャレンジしてみたいです。


リフレイン


作中で特定のセリフや展開をぶり返すこと。これもよく私がやっている演出です。よくあるのは、作中で出てきた謎かけ。抽象的な内容で、一度読んだだけでは分らないような文章を台詞や地の文に仕込んで。その真意が明らかになった瞬間に、もう一度ぶり返す。推理作品で、すべての糸が繋がる瞬間に、犯人の怪しい言動や、現場の不審点が頭の中にずらずらと並びたてられるようなイメージです。少し露骨ではありますが、読者に対して伏線を回収したという意思表示をする方法としては効果的だと思います。


シンクロ


まったく違う箇所で、同じタイミングで別々のことが起こる。別々のことは、対比するようなことであったり、一方がもう一方を匂わせるようなものにします。例えば、戦争に行った夫が心臓を撃たれた瞬間に、帰りを待つ妻がコップを割ってしまうといったもの。この演出は、展開をわざと濁すときによく使います。


ぼかし、婉曲


ある事柄を表すのに直接的な表現をわざと省くこと。あえて、そうとは書かないこと。または、前提としてある設定を伏せた上で物語を展開させ、その伏せた前提を読者に読み取ってもらうという形で書く。これは読者にとってはある種の読みにくさ、伝わりづらさを与える危険性がありますが、効果的に働けば味わい深い文章になることでしょう。とくに、一人称で書いていると一人称に見えていない全ては、この演出がかかったかのような状態になります。


隠喩、暗喩、情景描写


ここら辺は私は、言葉遊びのような感覚で用いています。女性を猫に喩えたあとで、主語が猫に置き換わっている。逸話や寓話が引用される。あるいは、心情やその後の展開の予兆が、自然現象として現れていたり。私もよく用いてはいますが、ちょっとしたお遊びとして、隠し味として使うことが多いです。



以上、私が普段使っている演出についてでした。

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