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好きの形  作者: 良泉
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3 好きだけど…

派遣先で出会った妻子ある彼との恋。こんなに好きになった人は結婚していて…。こんなに好きな人と出会ったのに、自分は結婚している…。心から人を好きになれたのに、好きって言えない苦しさ…数々の修羅場…から、今も続く二人の関係。結末はどうなるのか、今の私にはわかりません…誰にも話せない二人の好きの形の話しです。不倫の恋に悩んでいる方へ…

 「あっ…安田さん…お疲れさまです。」


 「お疲れさま〜こんな所でどうしたの〜?」


 「途中から来たから、みんな酔っ払いになってるし、ノリについてくの疲れたから休憩してたんです。安田さんは?今まで仕事してたんですか?」


 「働いてたよ〜疲れた〜帰ろうかと思ったら笹木から電話来たからさ!でも来て良かったよ!…あのさ…西浦さん…こないだごめんね…」

 少し笑って、うつ向いたまま私に言いました。


 「…こないだの事覚えてるんですか?」


 「うん。俺嫌われちゃったかなと思ってさ…覚えてないって言いたいけど…もちろんハッキリ覚えてるよ。なんかチューしたくて、オレちょっと酔ったふりしてたかも…大丈夫?嫌われたかな…」


 「嫌ってませんよ…びっくりしたけど…恥ずかしいような、でもちょっと嬉しかったし…」


 「本当に?良かった〜ずっと気になってたんだ…」 そう言って彼は笑顔で私の顔を見た瞬間、ほっぺたにキスをしてお店に入って行きました。



 「よ〜し!みんな2次会行くよ〜」

 (係長…私、今日はここで帰りますね…)

 いつもは、3次会4次会…と最後まで残る私ですが、今日は眠くなっていたので、係長の畑山さんに伝え、帰りました。


 10分後…

 「もしも〜し!美穂ちゃ〜ん!何帰ってるの!戻っておいで〜みんな待ってるよ!今ね…」

 笹木さんからの電話でしたが、途中で電話が切れてしまいました。

 「ん?誰だろ…もしもし…」

 また携帯が鳴りました。登録してない番号でしたが、声は笹木さんでした。

 「ごめんね〜電池なくなって電話切れちゃった。美穂ちゃん、まだ電車乗ってないんでしょ?もう1軒だけ付き合ってよ!迎えに行くからさ〜」

 「…わかりましたよ!次で今日は本当に帰りますよ!最近ちょっと金欠だし…」

 「了解!オレ迎え行くからさ!これ安田さんの携帯なんだけど近く来たら電話して〜」

 「はいはい〜わかりましたよ〜」


 また私は2次会の店に戻る事にしましたが、思わぬ形で安田さんの電話番号を知る事が出来ました。

 (まぁ、かける事は無いけど、一応登録しとこっと!!)


 安田さんの携帯にも、私の番号が残っているハズなので、かけてきてくれる事を期待して彼の番号をメモリしました。

『682 安田さん(仕事)』


 お互いの電話番号を知ったハズなのに…相変わらず何も変わらない私達…

 私は、気付くといつも彼の事を考えていました。休みの日にも、ボーっとしながら気付いたら彼の事ばっかり考えていました。会社で、他の女子社員と話してる姿を見ると嫉妬する自分がいました…

 彼を好きになっていました…

 彼への気持ちに気付いてから少したった頃…安田さんと係長との会話に耳を疑いました。

 「龍太は元気?今何歳だっけ?」

 「あ〜4歳です」

 「龍太ってさ、ホント祐介そっくりだよね〜」

 (えっ…えっ…?龍太って…4歳?えっ…安田さん子供いるの?)

 ショックでした…安田さんには、4歳の男の子と2歳の女の子がいました。

2人の子供の父親でした。結婚もしていました…。

 たまたま今まで、彼が結婚してる事を耳にしなかっただけだったのか、私も結婚してるの?なんて聞いていませんでしたし…

彼は特に隠してたわけじゃなかったと思います。左手には指輪もありました。ずっとしてたのか、していなかったのか今まで気付きませんでした。

 彼の事は大好きでした。でも不倫は…憧れの人ではあるけれど、諦めなきゃと思いました。


 いつもの飲み会… 私は安田さんへの気持ちはまだ好きのままでした。こんな事を言うとずるいと思われるが、あの電話がなかったら…もしかしたら今頃私達は、また違った暮らしをしていたかもしれない…

 ♪プルルル…

 着信を見ると、先に帰ったハズの安田さんからの電話でした。私は、あの時携帯に番号を登録したんだなと思われるのが恥ずかしくて、安田さんと判らないフリをして電話に出ました。

 「はい…もしもし…」

 「もしもし。こんばんわ!誰か判りますか?」

 「え…誰でしょうか…?わかんないですけど…」

 「ど〜も。安田です」

 安田さんは、少し酔っ払っているようでした。電話で少し話しをして、もうちょっと飲みたいので良かったら一緒に飲みに行こうという事になりました。

 近くに居たので、すぐに合流してカラオケに行く事にしました。

 私が歌い終わると、彼は少し眠そうな顔をして、私の膝に頭を乗せて横になりました。

 正直、私は心臓がドキドキしていて歌を歌ってる場合じゃありませんでしたが、冷静に冷静に…自分に言い聞かせて歌っていました。

 でもお酒を飲んで、2人きりでカラオケに居た私達は、何度も何度も抱きしめてキスをしました。駄目だとは判りますが、ギュッと抱きしめてもらいました。

 カラオケを出たのは、朝の4時…彼の酔いはすっかり醒めていて、少し恥ずかしそうにしながら、手を繋いでタクシー乗り場へ行きました。

 「楽しかったね。じゃ、また月曜だね。ゆっくり寝てね」

 「私も楽しかったです。じゃまた来週…おやすみなさい」


 結婚していなければな…何度思ったでしょう。

 大人になるほど、素敵だなと思う人は、既に誰かの者になっている事が多く、人の者だから、手にはいらないから、奪いたいだけだ…散々悪く言われるけれど、不倫したくてしている人ってどれくらいいるんだろう。好きって言う思いは同じなのに…


 結婚してなければ良かったのに…

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