第三話
更新が遅れましたが、失踪はしていません、してませんです。
申し訳ありませんでした。
無事電車に乗り、事件のあった隣町の駅にまで来ることができた、が俺達が目の当たりにしたのは、異臭を放つ町だった。
思わず正義が言った
「くっそ、この匂いなんとかなんないかな、臭くてたまらんよ」
「え、まじ正義そんな趣味なの…引くわ…」
セインが正義からささっと正義から離れる
「そういう意味じゃないから!」
「ほらみんな…紙マスクならあるから…使いなさい…」
セインがマスクをくれた、こういう時は頼りになるな。
「サンキュー、セイン」
驚いたようにセインがこちらを見る
「あら…あなたがお礼なんて…不吉だわ…」
ごめん、俺ってそんなに性格悪い?ねぇ?悪いの?
「それより、例のビルまではここから十分ってとこだね、そこそこ近いや」
正義が話題を変える
「そうだな、じゃあ現場に着く前に事件で知ってる情報を整理しようか」
ここで情報の整理は大事だと思うしな
「賛成ね…」
「よし、じゃあまずは俺からだな!」
星矢が割り込んでくる
最初は星矢かららしい、この調査の発案者だ、情報はしっかり集めたんだろう、自信満々だ。
「ビル、溶ける、原因不明、以上!」
「ちょっと面貸せやあああ!!!!」
「お!落ち着けって!」
正義が止めに入って来た…が…!
コイツ、全ッッッ然調べて無かったじゃねえか、何なんだよ、しかも抽象的にしか事件把握してないし!
「ったく…やれやれだわ…ここは私の出番ね」
セインが自身有り気に笑う。
「お前…星矢と同レベルはやめろよ…」
「バッカじゃないの…私の情報は… あ ん な の とは…比にならないわ…」
「あ!?あんなの!?」
隣で星矢がいじけてる、いや、アレはさすがに…ねぇ?
「じゃあ言うわ…ずばり…この事件は腐らせるって事がキーワードね…」
「腐らせるだって?」
「ええ…それも強制的にね…」
「そ、そんな事が可能なのか?」
セインが呆れたように言う
「バカね…それが解らないから怪事件なんじゃない…」
「え、あ、ごめん…」
「あとはこの匂いね…きっと…ビルを腐らせた時の匂いじゃないかしら…情報では腐ったビルは凄い刺激臭がしてたらしいし…」
「すげえなそんなとこまで調べたのか」
「え…えぇ…まぁ…(全部ネット掲示板の書き込み情報なんですけどね…)」
次は俺の番かな…と言っても
「俺の知ってる情報もセインとあまり変わらないな」
「あ、俺も俺も」
正義が便乗して来た
「ったく、お前らぁ、調べる努力をしようぜぇ…?」
ため息をつきながら星矢が言うが
「お前には言われたかねぇよ!!!」
「はいはい…アンタ達…揉め事はそこまでにして…」
「え?」
「もうすぐビルが見えるよ」
もうそんな近くまで来ていたのか
「おっ、ついに例のビルとご対面か」
星矢が声を漏らす
しかし、俺達の目の前に現れたものは、ビルと言うにはあまりにも無惨で、十階建てだったビルは、一階から三階は存在を確認できるがそれ以上は溶けていて何がなんだかわからない。
「…コイツはひでぇな…」
思わず出た言葉だった。
「見た目も酷いけど…匂いも相当きついわね…」
言われて気付いた、確かに臭い、この世の物とは思えない異臭を放っている。
「やっぱり普通じゃない、どう考えてもこんなのは普通じゃない」
「そ、そうだよさすがにこれは普t…」
正義が喋っている途中で声がはいる
「お~い、先行ってるぞ~」
星矢がビルの入り口で手を振っている。
「おまっ!?何勝手に動いてんだよ!」
ぴょんぴょんと跳ねながら上を指差す星矢
「だってさ!上上!何か光ってるじゃん!俺とって来るからさ!」
「上ぇ?」
星矢が指さした方を見ると、確かに三階の窓に何か光ってるのが見える。
「本物のバカね…彼は…」
「仕方ない…二人はここで待っててくれ、俺は中に入ってあの光ってる物体を星矢と取って来る」
「お、俺も行くって…」
「いや、正義はここで待っててくれ、どうもいやな予感がする」
「い!?いやな予感だって!?やめろよ、縁起でもない」
「こんな状況なんだ、何が起きても不思議じゃない」
「そうね…こっちも十分に注意はしとくわ…気を付けて」
セインは理解をしてくれたようでよかった
「ああ、頼んだぞ」
そうだ、俺の直感が言っている、この事件は間違いなくただの怪事件じゃない。
その事件の何かが解るなら、まず何か、何か情報をこの目で知りたい。
俺は星矢を追いかけ廃ビルへと入って行った
「待てよ!星矢!っと…!どうした」
中に入ると星矢がエントランスに立っていた
「中は思ったよりきれいだな」
「でも何だか寒いぜ」
隙間風が吹くせいか寒く感じる。
「何だよアキラびびってんのか?」
「お前そのくだり前やったの覚えてねぇのか?」
気楽でいいよな、こっちはいやな予感で頭が痛いってのに。
「なぁさ…」
星矢が話しかけてきた
「何だよ」
「ここってさ、俺ら以外に人っているの?」
「いきなりどうした」
居るわけないだろ、こんな廃ビルに
「だって…ほら」
星矢が天井を指した。
よく周りの音を聞くと二階から足音が聞こえる。
そして音はコツリ、コツリと大きくなっていく。
間違いなく人が二階から降りて来る足音だった。
「…ッ…降りてくる!?隠れるぞ!!」
音は段々と近づいてくる、俺達のいる一階へと。
そう、俺は恐怖していた
何者かわからない謎の足音に
姿の見えない謎の悪夢に
異臭の漂う廃ビルで
俺は怯えなくてはならないのだ
それでも音は
止むことなく一歩一歩と進む
追い込むかのように…