第二話
七話くらいまでは文字数少なめで書いていきますので。
ある程度歩いたら最寄の駅へ着いた。
思っていたより人は少なかった。
「う~ん?あんな事件が起きたら、みんな行きたくなるもんじゃないのか?」
「あ…あんたたちの感性がおかしいのよ…」
そんなこと無いと思うんだがなぁ。
「じゃあ、切符を買うか」
「あ、俺は電子マネーあるから」
「わたしも」
え、そうなの、持ってないの俺だけ?
「あ~、俺持って無いわ~」
と思っていたら、星矢がこっちを見て言った。
「何だお前も持って無いのか」
なんか少し安心した、自分だけ時代についていけて無い感がしたが、そんな事なかったな、うん。
「だから、な…?ほら?」
ん?なんだこの手は?なんであいつは俺に手を差し出してるんだ?
……まさかな?
「なあ…?お前…何を持って無いんだ?」
「…!」
ゆっくりと、そしてはっきりと俺は星矢に質問した。
「…」
数秒の沈黙の後、ゆっくりと星矢は口を開いた。
「フフ………フフフ…」
「なんだって?聞こえんぞ」
「フフフ…私の財布の中身は五十三円です」
「お前が行きたいって言ったんだろうがああああああ!!」
「ぼべブッ!?!?」
腹パンしてあげた。
「…正義、バカ連中はほっといてさっさと電車に乗っちゃいましょう、近づくとバカがうつるわ…」
「そ…そうだね…」
「おい、ちょま…見捨てるなあ!」
「うぅ…だのむよ…あとで返すからさぁ………妹が…」
「そこは自分で払えよ!?」
ああ、くそ、もう電車着いてるじゃねぇかよ、このままだと正義達においてかれるじゃねぇかよ!
「ああもう!取り合えずこれで買って来い!」
時間が無いので俺は仕方なく野口さんを星矢に渡した。
受け取った星矢は笑顔で
「サンキュー、この借りは必ず返すぜ!…妹がな!」
あいつ後で妹に全力で殴られてくんないかな、あと返すなら借りだけじゃなく無駄な労力も返して欲しいんだが。
切符を買ってきた星矢と俺はギリギリ電車に間に合った。
「あんた達…普通に電車にも乗れないの…?」
遅れて乗ってきた俺達を見てセインが苦笑した。
いや、違いますよ、よく考えて下さい、悪いのはすべてあいつ《星矢》ですよ、俺悪くないよ。
「それにしても…不気味なくらい人が居ないんですが」
「そんなに近寄りたくないぐらい恐ろしい事件か?」
「ネタさえ掴めれば問題無い」
「あんたたちねぇ……って、あ!」
急にセインが息を乱して震えだした、ブルブルとそしてビクビクと。
「あっ…あっ……や…ヤバ…これやばィ…///」
うん、確かにやばい、見た感じ完全にヤバイ、これは完全にお子様に見せてはいけないパティーンのあれだ。
「お…おい、大丈夫か…」
「ハァ…ハァ…大丈夫よ…軽くイきかけただけよ…」
ごめん、どこが大丈夫か分かりません、だれかこの言葉の意味が理解できる人居ませんか、今の俺にはさっぱり全くわかりません。
「…胸ポケット…に…スマホを入れたのが…ハァ…運の尽きだったわ…」
セインはそう言うと胸ポケットからスマホを取り出した。
「な…なんだ、スマホのバイブレーションで軽くイきかけただけかぁ…そうか、ならよかっ…」
「「よくねえよ!!!!」」
「し…仕方ないじゃない…電車でのマナーモードは常識よ…」
「「あんたが非常識なんだよ!!!」」
ったく、このメンバーだとまともなヤツは俺しかいないじゃないか、まったくまったく。うん。
「そ…それより、おっちーから返信がいたわ…」
「話題変えやがった…まぁいいか、それで?」
「次の電車に乗ってうーにゃんと来るらしいわ…」
「うーにゃん?誰その人」
「知らないの?ほら、隣のクラスの」
「あ、あぁ、うん」
「わかってないわね…」
「うっ…!」
うーにゃんとは隣のクラスの友人で飛野宇海、通称うーにゃんである。
「まあいいわ…で、先に現場に行っといてだって、現場で落ち合おうって書いてあるわ」
「って事は俺達はこのまま現場に行けばいいって事だね」
「だから、そう言ってるじゃない…バカなの…死ぬの…?」
「ごめん、何かお気に触れることしましたかね…」
正義…、耐えてくれ、怒りの矛先が俺に向かないように。
とまあ、そうこうしているうちに電車は目的の駅へと到着した、しかし駅の周辺は怪しい匂いに染まっていた。
いや、比喩じゃなくてさ、…本当にくさい。
「ちょ…ちょっと何なのよ…この匂い…!」
「この匂い…かなり刺激臭がするんだけど…」
「ほほう、これはネタだけじゃなくてこの事件のスクープもゲットできそうじゃん」
「調子にのって事件に首突っ込みすぎると後悔するぞ」
「へぇ…まるで、あなたが後悔したことがあるみたいな言い方じゃない…」
「そんなんじゃねえよ」
別に後悔するのが悪いと言う訳じゃないが、この駅に着いて、この匂いをかいで、俺の感がこうつげた。
この事件は普通じゃない
こんなに匂いが充満していて被害も大きいだろうに、閉鎖もされていなければ、警官一人の姿も見当たらない、まるでこの町自体が捨てられたように…
そう、俺達は甘く見ていた
軽い考えで訪れたこの町
不穏な空気と匂いに包まれたこの町で
俺達は闇を見る事にのだろうか
それでも俺達は
暗雲に包まれた道の中を
進むしか無かった…