中学校なるもの№2
ま、間に合わなかったorz
そして少し短いです。
入学式の翌日、マルスはいつものように華凛と登校する。そしてクラスに入ると2人を遮る人影が存在した。
「おう、白鷺。ちょっと面かせや」
人影の1人、同じクラスメイトの不良が言う。
「……はぁ、めんどくさいの。わしがそなたらに何をしたというのじゃ?」
「は?そんなの決まってるだろ?気に食わないからだよ」
何かしら理由があるかと思えば理不尽この上ない理由であった。
(はぁ、これさえなければ学校と言うのは、素晴らしい場所なのじゃが……仕方ないかの)
「華凛よ、先行っててはくれぬか?」
「曇……」
「誰かは知らぬがどうすればいいのじゃ?」
「こうされればいいんだよ」
そう言って不良の1人が殴りかかってくる。以前マルスにちょっかいを出したガキ大将に比べればマシな動きだが、マルスからするとそれでも生ぬるい事には何の変りもなかった。マルスは悠々とその拳を片手で受け止める。その光景に殴った不良は一瞬驚きの表情をするが、すぐさま蹴りのモーションに入る。
(悪手じゃの……)
手が掴まれた状態で蹴りのモーション、つまりは一時的にバランスが崩れやすくなる状況に自ら持ち込んでいるのだ。悪手以外の何物でもない。それからのマルスの行動は早かった。まず、蹴りのモーション中に握っている手を自らの方へと思いっきり引く、それにより不良は突然引っ張られたことにより案の定バランスを崩す。それからマルスは体を半身にして道を作る事により、不良は顔面から教室に入るためのドアに突っ込んだ。案の定鈍い音と共に不良は床に崩れる。
「てめ、手を出したからには覚悟できてるんだろうな?」
「はぁ……お主らはバカなのか?少しは考えたらどうなのじゃ?わしが手を出した?わしが殴ったり蹴ったり等の暴力をしたのか?むしろ殴りかかって来たのはそっちなのじゃ。そこの所どうなのじゃ?」
「くっそがあああぁぁああああ、ふざけるなあぁああああぁぁぁぁ」
不良はと言うとマルスの発言に冷静さを失い懐から取り出した刃物をマルスに向ける。
「うわあああああぁぁあぁぁぁぁぁぁあ」
そんな叫び声と共に不良はマルスに向けて刃物で攻撃を仕掛けてくる。先に来た不良の手首をつかんだマルスは柔道の背負い投げの要領で不良を壁に叩きつける。それと同時に半身になることで後から来た不良の刃物を躱す。そして後頭部を掴んだマルスは顔面から地面に叩きつける。しかし、ここで不幸な事故が起きる。地面に叩きつけられた不良がその衝撃で刃物から手を放す。さらに不幸が重なり、刃物はマルスではなく華凛の下へと飛んでいく。そしてそれを見たマルスは反射の如く華凛に向かって飛ぶ刃物を自らの掌で止める。掌から滴るマルスの血。それからと言う物、教室の中は時間が停止したと言っても過言ではなかった。
マルス自身身体強化の無属性魔法を使えば刃物のキャッチは可能か否かで言えば可能であった。しかし、考えても欲しい。人間がそのような事が可能であるか否かについてだ。普通に考えれば不可能である。そのため、マルスは一番被害が少なく、且つ人間でも可能である掌でとっさに防ぐと言う選択をとったのである。
「く、曇……」
華凛はこの世の終わりとも言っても過言ではない程の顔と声で呟く。そして鳴り響く朝のHRを始めるチャイム。そのチャイムの音と共に入ってくる担任の先生、そして凍りつく。
「い、一体何があったんだ」
先生は凍り付いてしばらくして再起動したのか、辺りを見回して生徒に尋ねる。
そして生徒からぽつぽつと状況を聞いて把握する先生。それからの行動は早かった。まずマルスを保健室へと運ぶことである。この時、冷静な先生は出血多量を恐れてナイフを刺したまま保健室に行くように指示をした。辺りにいた生徒の1人が付き添いを申し出たが、マルスはそれを制して1人でゆっくりと歩いて保健室へと向かった。保健室に行くマルスの背中を見ている華凛はマルスの背中を眺めながら未だにその場から動くことが出来なかった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
今回の話は確実に現実離れしています。でも、小説だから良いよね……
うん、きっと大丈夫だ!