中学校なるもの
春休みが終わると待っているのは中学の入学式である。マルスはと言うと春休みの間は漫画やライトノベル、某小説掲載サイト等で魔法の勉強を存分に行うとともに、恋人である華凛とのデート、家族で旅行等有意義に過ごせた。そして、今度は待ちに待った中学校への進学である。勉強が一段と難しくはなるが、マルスにとっては未知との遭遇なので楽しみで仕方なかった。そして中学ではさらに交流する人が増えるので、それも合わせて楽しみであった。
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現在、マルスは体育館にいた。そう、中学校の入学式である。人数はざっと見たところ、1クラス30人程度の5クラスである。そしてクラスメイトはと言うと真、高志、美亜とは悲しい事に別のクラスになった。そして華凛はと言うと運良く同じクラスである。ちなみに、掲示板で同じクラスだという事がわかった時、華凛は人目も気にせずにマルスの事を抱きしめた。当時の本人曰く『あまりにも嬉しくて抱き着いちゃった。えへへ』との事だ。
少し話が逸れたが現在別の小学校出身の男子がステージの上に立って誓いの言葉なる文章を読み上げていた。正直暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で暇で仕方なかった(重要な事なのでいっぱい言いました)。気を抜いてしまえば寝てしまいそうな状況を何とか踏み止め、辺りを見回す。4つ隣の華凜はと言うと気持ちよさそうに舟を漕いでいた。華凛の隣の男子はと言うとその華凜の仕草に見惚れていた。そしてマルスの左側には女性が座っている。
そんなこんなで周囲の人間を観察しているとようやく暇で(以下略)暇で仕方ない誓いの言葉が終わると校歌斉唱であった。マルス自身非常に頭は良いが、そんなマルスにも弱点は存在した。それは、音楽である。マルスは音痴なのである。そのためマルスは校歌斉唱や音楽関連の事はほぼ全て口パクである。これは、周囲の被害を考えての判断である。マルスの音痴の度合いは先生に土下座される勢いで頼まれる程である。
また話が逸れてしまったが、校歌斉唱が終わると教室へと移動して教科書の配布、今後のスケジュールの確認、自己紹介である。そして教室へと戻って改めてクラスメイトを見る。まず30人中18人が女子であり、その30人の内華凛を除く同じ小学校の人は7人である。つまり、マルスの小学校の人はクラス内に9人いる事になる。他は全く知らない人々である。自己紹介が終わると、華凛はその容姿からかクラス内にてすぐに人気者になっていた。マルス自身はその変なしゃべり方で、笑われはしたが真のように話しかけてくるような人はおらずに1人で帰る準備をしていた。
「曇、帰ろ?」
「そうじゃの」
華凛はマルスの腕に抱き着いてそのまま周りの視線を気にせずに2人は教室を後にした。そして校門へ行くとそこには見慣れた人物が3人いた。
「曇ー……って相変わらずのバカップルぶりだな」
「白鷺君……周りの視線が……」
「ふむ?高志よ、細かいことなど気にした方が負けなのじゃ」
「そう言う問題じゃ……」
「たかみん、諦め肝心だよ!この状態のくもりんとかーちゃんには、何を言っても無駄だよ!無敵だよ!」
「そうだぞ高志、人間諦めが肝心だ」
「はぁ……」
そう、マルスや華凛の親友と言える真、高志、美亜である。ちなみにこの3人は卒業式の日に華凛が告白して付き合い始めたことを当日に華凛とマルスから聞いており、5人で春休みに遊びに行ったりもした。
そして、5人揃うと仲良く5人で帰り始めたがこの時マルスはマルスの事を睨み付ける視線に気が付かないでいた。
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さて、それぞれ家に帰るとマルスは早速漫画やライトノベルを読みだす。ここ最近分かったことがいくつかある。
まず、アレイヤードの世界における魔力に関する事だ。マルス自身大賢者と呼ばれる程魔法に精通していたからこそ分かったことなのだが、魔法の発動には魔力、そして魔力を魔力とは違う別の何か(仮にXと名付ける)に置換して、そのXが魔法を構成していることが分かっていた。さて、ここに来てマルスは魔力からXが作れるのであれば、Xから魔力に出来るのでは?と地球に来る前に研究していたが、結局のところわからなかった。しかし、地球のライトノベルやWEB小説を読んで1つの仮説が出来上がった。それは、Xから魔力を作り出すためには体内に入れる必要があるのでは?という事である。
マルスが生前行っていたのは、手にXを集めてそれを魔法を用いて魔力に変換しようとしたり、Xを集めて圧縮してみたりとしたが、Xを体内に入れるという発想は当時なかった。そして魔力は時間の経過と共にある程度魔力を回復することが出来る。つまりは、この時人間が行っている事は休憩、つまりは、呼吸だけなので空気中に存在するXを呼吸によって体内に取り込む。そこからXを魔力に変換しているから魔力が回復するのでは?と考え付いたのである。つまりだ、これを利用して圧縮して集めたXを体内に取り込めば半永久的に魔法を使い続けることが出来るのでは?とマルスは考えたのだ。地球ではXが存在しないっぽいので実験を行う事が出来ない。この事については、転生し次第要検証である。
次に、水の魔法に関する事である。アレイヤードでは、魔法によって1から水を作ってそこから攻撃を行っている。しかし、科学を学んだ結果、空気中に存在している水蒸気を用いる事によって消費する魔力を減らすことが出来るのでは?と考えたのである。詳しい事は勉強を続ける事によって判明するが、マルスの考えが正しければ、水魔法の消費魔力が半分程度で済むことになる。
「ふむ……科学とは非常に興味深いな。そして、漫画やライトノベル、WEB小説には様々な魔法に感するヒントがあるな。今後は、華凛には申し訳ないが少しこれらについて詳しく調べるとするかの」
そう呟くとともにマルスは貰った理科の教科書を開いて勉強を始めるのであった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!